(その1、筋骨格系)
column article
ゆる体操の効果はこんなにスゴい(即時効果と長期的効果)
「ゆる体操はどれくらい続けると効果が出るのでしょうか?」
こういう質問を、初心者の方々から今までに何度もいただきました。
私は、そういうご質問をいただくといつも、
「ゆる体操は即効性があります。すぐその場で効きます。けれども、続けるとさらに大きい効果があります。」とお答えしています。
また、効果を感じるためのコツもあります。
今回はこうした事柄について少し詳しく書いていきます。
ゆる体操には即効性がある
ゆる体操教室の体験レッスンに参加された方が、1時間程度のレッスンの後に、「あ〜っ、なんだか体がすごくラクになりました!」と感想を言われるのは、日常茶飯事です。
中には、寝ゆる(寝転んでやるゆる体操)の時に、気持ちよさのあまり寝入ってしまわれる方もおられ、「すみません、一瞬意識が遠のいてしまって・・・」とレッスン後にわざわざ懺悔(?)しに来られる方もよくいます。
体操で血行が良くなって体が温まり、さらに副交感神経優位にもなって、超リラックスされたから眠ってしまわれたのですね。(^^)
これらは、ゆる体操の即時効果の例ですが、もっと劇的な話もありますよ。
地元の高齢者生活支援センターに指導に行ったときのことです。
最初に、立ってやる体操を約30人の全員でやったのですが、その中に、初参加の80歳くらいの女性がおられました。見るからに足腰が衰えておられ、立っている足元もおぼつかなく、ぎこちない感じで体操をどうにかこうにかやっておられました。
しばらくして、寝ころんで行なう体操(寝ゆる)をやることになりました。全員が床にバスタオルを敷き、その上に仰向けになるのですが、その女性は自力で寝ころがることが出来ず、センターの職員に手伝ってもらって、やっとのことで仰向けになられました。
こういうことは高齢者にはよくあることで、体のあちこちの関節が固くなっているために、若い人には何でもないような、床に寝ころがるだけの動作が大変だったりするんですね。
さてその後、寝ゆる黄金の三点セットを中心に、時間にして約15分間・・・
家トレも寝ながらできる 10分間ゆる体操【永久保存版】(寝ゆる黄金の三点セット)
「じゃあ、皆さん。ゆっくり立ちましょうか〜」と私から全員にお声をかけ、センターの職員さんが先ほどの女性のところへササッと近づかれ、立ち上がるのを助けようとしたのですが、
何とその女性は、いきなり、誰の助けもなしにご自分でスッと軽く立ち上がられたのでした。まるで30代くらいの女性のように・・・!
私もアッ!と息をのみました。
その女性はその場に何気なくまっすぐに立っておられ、ニコニコ微笑しておられました。ごく自然に立ち上がれたのにご自分でも驚かれたと同時に非常にうれしく感じておられたのでしょう、その笑顔が輝いていました。
周りの人たちもそれはもうビックリ、「〇〇さん、さっきまでと全然違う!」「別人みたい!」「腰が伸びてる!」と大騒ぎでした。
まるで一気に何十歳も若返られたようでしたよ。
・・・というような、まるで奇跡かマジックのようなことがけっこうよく起こるのがゆる体操教室なのです。
全国にゆる体操指導員は私の他にも数百人いますが、その人たちは教室でこれに似たことを経験しているはずだと思います。
『脳と体の疲れを取って健康になる 決定版 ゆる体操』(高岡英夫著、PHP出版、2015年9月)には、ゆる体操の即時効果について次のように述べられています。専門的な言葉を用いた少し長めの文章ですので、ここでは箇条書きにしました。ゆる体操
<ゆる体操の即時効果>
- 脳と身体にわたる生化学的状態の改善を背景とする高い集中力と深いリラクセーションの同時あるいは別時達成
- 全身を一体としてのあるいは各部分に分けての血液・体液の循環と代謝の促進および疲労の積極的回復
- 全身を一体としてのあるいは各部分に分けての緩解(ゆるめときほぐすこと)を前提とした脳と身体のコーディネーション機能の促進およびインナーマッスルの活動性促進などの効果
ゆる体操はこのように、やったその場で効果が表れます。
ゆる体操には長期的効果もある
ゆる体操の即時効果は、そのまま時間が経つと、いつの間にか消えてしまいます。これ自体はごく当然のことで、仕方がないですね。
ですが、ゆる体操を継続していくと、より持続的な、体の根本的なところから変わっていくような長期にわたる効果が得られます。
例えば、猫背だったのが、ゆる体操を始めて数ヶ月もするとだんだんと自然に背中が真っ直ぐに伸び、姿勢が良くなることとか、
寝つきが悪かったのが、いつの頃からか良くなったとか
O脚だったのが、だんだん真っ直ぐな脚になってきたとか、
足裏に魚の目が出来やすくて、年中困っていたのが、(←私自身もそうでした)いつからともなくできなくなって、なめらかな足裏になり、立ち仕事が楽になったとか、
寒い季節は風邪をひきっぱなしで、治ってもすぐまたひいていたのが、だんだん引かなくなったとか、
腹立つことが減り、人間関係が良好になってきたとか、
もう数知れないと言って良いほど、いろいろな効果があります。
体操を長く継続することで徐々に、少しずつ、体が変わってくるので、ご自分でも気づかないことが多く、何かの折にふと「あれ?そういえば、この頃、・・・」と分かることが多いのです。
そして「ゆる体操が効いているんだな、やめずにずっとやっていて良かったな」と思って下さる方が多いです。
『脳と体の疲れを取って健康になる 決定版 ゆる体操』(PHP出版、高岡英夫著、2015年9月)では、ゆる体操の長期的効果を次のように述べています。ここでは箇条書きにしました。ゆる体操
<ゆる体操の長期的効果>
- 過労・慢性疲労の解消
- 睡眠の改善
- 各種の病気・障害の予防・治療(主幹的もしくは補助的方法としての利用)および回復
- 体質改善
- ダイエット
- 基本的運動能力の向上
- 全分野・種目に共通する根底的な能力(本質的能力)の向上
- 抗ストレス力の向上
- 精神的寛容度の向上
- 人格の変容
- 人間関係の改善、組織の改善などの効果(後略)
こうした長期的効果(蓄積効果)を得られやすくするのが、ゆる体操をやったときの気持ちよさです。
ゆる体操をやると、何となく気持ち良いので、教室で習ったり、動画を見てやった時だけでなく、何となく時間のある時にやってしまう。
そして、ちょっとやると気持ち良いので、また何かの機会に、やってしまう。
これの繰り返しで、ゆる体操はほとんど知らず知らずの間に続けることができるように創られています。
そういうことを繰り返している間に、脳は「ゆるんで気持ち良い状態」をどんどん学習していきます。誰でも、子供の頃はゆるんでいたのですから、これは「再学習」と言えますね。
ゆる体操の効果が出ていても自覚できていないことがある
このように様々な即時効果、長期的効果があるゆる体操ですが、時々、「ゆる体操をやっても、効果が出ているのかどうかよくわからない」と訴える方がおられます。
そういう方を専門家の目から見ると、「効果が出ているのに、ご自分では感じることがまだできていない」というケースがほとんどです。
教室でどんどんゆるんで来ておられるのに、ご自分でわからないというのは、これは少し失礼な言い方に聞こえるかも知れないですが、
効果を感じる能力が落ちている
からです。
別の言い方をすると、
ご自分の体の感じがよくわからない
というパターンです。
これは割とよくあることです。効果が今ひとつよく分からないこと自体はごく普通のことですから安心してください。
ではありますが、効果を感じる能力にはかなり個人差があります。ちょっとした効果でも敏感にキャッチして、喜んだり、もっとゆるんで行くためのきっかけとして利用出来る人と、そうでない人がいるのです。
ただし、「効果を感じている」という人も、効果の全てを感じ取れているかどうかとなると実は微妙・・・だったりします。
では、なぜ効果が出ているにもかかわらず、それを感じ取ることができないのかということに話を戻しますと、
私たちの体と、私たちの主体的な意識(普段、ものを考えたり感じたりしている意識)の間に少しコミュニケーションのギャップがあるからです。
私たちが何をどう思おうと、またどう感じようと、通常は私たちの体はそれに関係なく、ちゃんと機能していて私たちを支えてくれています。
私たちが自分の体の機能、例えば心臓の動きのことや呼吸のことを忘れていても、体の方ではちゃんと心臓を動かし、肺や気管を働かせています。
それと同じように、
ゆる体操をすると、体はちゃんとそれに反応して全身の循環を改善し、筋肉や皮膚のみずみずしさを回復させ、疲れた脳を癒したりしています。でもやっている私たち自身がそれを感じ取れていなかったりするのですね。
私は指導の専門家ですから、指導中に参加者の体にちゃんと効果が出ているのを見てとっています。ここは信用していただきたいところです。
ただ、ご自分でもだんだん効果が出ていることを分かっていただく方が良いですから、私はよく、レッスン後の生徒さん方に「肩のラインが下がりましたね。肩こりが楽になったでしょう?」とか、
「お顔がツヤツヤになりましたね」とか、
「さっきまでちょっと前のめりで立っておられたのが、重心が少し後ろに移動しましたよね。立ち方がずいぶん良くなりました。」等々、お声をおかけしています。
生徒さん方は、ご自分でも気づかずにおられたりするので、こうした言葉をよくおかけしているんですね。これがだんだんとご自分で効果を感じる方向へと進む助けになっているのです。
ただ、この記事を読んでくださっている全ての人がゆる体操教室へ来られているわけではありませんので、 そういう方には「体操をやる前にちょっと自分の体の感じを覚えておいて、体操の後にどうなっているか、もう一度感じてみる」という習慣を付けられることをすすめています。(ゆる体操の取り組み方)
<ゆる体操の効果を感じる方法:肩こりの例>
ゆる体操をやる前に肩を軽く回したり、上下したりして、その感じを覚えておく
↓
5分とか10分、肩こりにきく体操をやる(肩ユッタリ回し体操など)
↓
体操後、もう一度肩を軽く回したり上下したりして、体操の前後で変化があるかどうかを感じてみる
↓
少しでも良い変化があったなら、「やったー!」です。効果を感じることができたのですね。
もちろん、肩こりだけでなく、首のコリでも、腰痛でもやり方は同じです。
前後のチェックの時間はごく短くて結構です。長くても30秒くらいでしょうか。
時々でもやっていると、だんだん体操前後の変化がわかるようになってきます。慣れて来るとたった数秒でわかるようになるものです。
そして、よく分からなかったとしても、あまり考え込んだりせずに「そのうちに分かるようになるだろう」と、気楽に待つような気持ちでいながら、体操を継続することが大切です。
くり返しますが、ゆる体操の効果を感じるには、感じ取れる能力が必要です。そしてそれは学習可能です。
その能力は、上にあげたような方法で、誰でも、何才からでも今日からやれて、だんだん伸ばしていくことができます。
効果がより感じられるようになってくると、ゆる体操をすることがより楽しくなり、モチベーションも上がりますので良いですね!
まとめ
今回の記事は次の内容を書きました。
- ゆる体操には即時効果と、長期的効果(蓄積効果)がある
- ゆる体操の効果を今ひとつ感じられない人もいる
- 効果が感じられなくても、効果は実際には出ている
- 効果を感じる能力は、いつからでも育て、伸ばすことができる
以上です。読んでくださってありがとうございました。
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中田ひろこ@ゆる体操
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