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ゆる体操の三大効果(その3. 軸(センター)形成面)
当サイトでご紹介しているゆるプラクティスには「ゆる体操」「スーパーウォーク歩道」「ゆる筋トレ」「達人調整」の4つがありますが、中でもゆる体操は、自分自身で体をゆるめる方法(セルフケア)としては最高に効果が高いメソッドです。前々回の「その1」では筋骨格系での効果、前回の「その2」では体質改善、アンチエイジング、メンタル面での効果について書きました今回は、ゆるプラクティスを行なうことで体の軸(ゆる体操では「センター(用語集)」と呼びます)ができて来ること、また軸ができるとどういう心身の効果があるかを書いていきます。
体がゆるむと軸(センター)が通りやすくなる
ゆる体操をやって、体がよくゆるんで来ると、自然に体の中に軸が育ってきます。すでにゆる体操の寝ゆるをご存知の方などは、寝ゆるを数分間でも気持ちよく行ってからゆっくり立ち上がると、行なう前に比べて体がスーッと真っ直ぐになったように感じたり、まるで身長が少し伸びたかのように目線が高くなった感じがすることと思います。これは、寝ゆるをやったことにより全身、特に体幹部がよくゆるみ、背骨の少し前の位置に、上下に真っ直ぐに通る一線である軸(センター)が出来てきた効果です。
実は人間は誰でも体の中に軸を備えています。(軸が全く無かったら、立ち上がることすら出来ません。)普通の人の場合、軸は幼児の頃に一番良い形で通っています。小さな子供は大人に比べると体がよくゆるんでいてフワフワに柔らかいですよね。また、筋肉量もまだ少ないのです。そうしたまだヨチヨチ歩きの頃の子供は、大人のように筋肉をバシッと固めて動いているのではなく、体はフワフワにゆるんだまま、体の中の軸を使って歩いたりいろんな動作を行なっているのです。
残念ながら、通常は成長するにしたがって、体はだんだん固くなり、柔らかさを失っていきます。それに伴って、幼児の頃は見事に通っていた軸がだんだん薄くぼやけたり切れ切れになっていってしまうのです。
ですが、ごく稀に、大人になっても子供の頃と同じように、軸を持ち続けている人がいます。そういう人はいわゆる天才的な人であることが多いものです。
そういう天才的人物で無かったら、長い人生の中でただもう体が固まっていくしかなく、軸をも失ってしまうしかないのでしょうか?いいえ、そうではありません。
ゆる体操で体が良くゆるみ、柔らかくしなやかになってくると、また軸を取り戻すことが出来るだけでなく、より良いものにしていけるのです!
2.軸(センター)ができると、全ての身体運動が快適になり、美しくなり、優れたものになる
ゆる体操に毎日のように取り組むようになると、少しずつ体の中に軸が育ってきます。そうすると、まず体が以前に比べて真っ直ぐになります。力を入れてがんばらなくても、自然に姿勢が改善され、良い立ち方や座り方ができるようになります。この「考えなくても、自然に」というところが、ゆる体操の素晴らしいところです。体中に溜まっているコリや無駄な力みが取れて来るだけで、子供の頃にもともと持っていたものが戻って来るのですね。
軸というのは、意識(身体意識)ですので、目には見えません。体の中になんとなくスーッと上下に通っているような気がする…そういう感じであることが最初のうちは多いのです。
そして体のバランスが取れ、動きがムダのない合理的なものになってきます。動くのが楽しくなり、体を動かすこと自体が喜びになってきます。家の中の掃除をよくするようになったり、ウォーキングの距離が以前よりも自然に伸びたり、階段を昇るのが楽しくなったりします。そうした動きは外から見ると、スッキリしてカッコよく、美しいものです。
また、呼吸が楽になります。体の無駄な力が抜けて背骨が立って来ると、それまで悪い姿勢のために圧迫されていた呼吸筋(肋間筋、横隔膜筋等)が解放され、自由度が増し、その結果、気持ちよく自然に深い吸気と呼気ができるようになります。
フィギュアスケートの羽生結弦選手は、センターが非常に発達している人です。彼のジャンプが決まった時、見ていて何となく彼の体の中を通っている軸を感じる人も多いのではないでしょうか。そして、彼の演技に美しさを感じる方もきっと居られるでしょう。彼と同様、各種目で世界のトップを争う選手、サッカーですとメッシとか、陸上競技なら、絶好調の頃のウサイン・ボルトなどはまさに半端でなく良い軸を持っている人たちなのです。
3.センターができると、精神面もおおいに良い方向に変わる
世間ではよく「軸がブレない」という言い方をしますよね。物事や、誰かの人となりに一本スジが通っている、という意味で使います。
軸が通ると、落ち着きが出て人への包容力が高まります。心に余裕ができて、人に爽やかな好印象を与えます。また、相手との距離が自然に取れるようになりますので、親切でありながら、近づきすぎることなく、適切なアドバイスができるようになってきます。
さらに、リラックスしながら集中できる能力が高まり、困難な時にもハイパフォーマンスが発揮できるようになります。
軸の作用で、その時の状況が俯瞰するようによく見えるので、的確な判断ができ、行動を誤らなくなります。ちょうど、人よりも高い所に居て、全体の状況をみている様な意識なのです。経営者など、リーダー格の人にはぜひ欲しい能力ですよね。
また、問題から逃げたり、斜に構えたりすることなく、堂々と正面からとらえ立ち向かう能力も自然に高くなります。これは「センターtoセンター」と呼ばれている能力です。(それについての記事はまた後日書きます。)
軸(センター)という考え方や、体の中の考え方について、まだ慣れておられない方でも、こういう人たちをご存知ないでしょうか。
…学校時代、成績優秀で、人柄が良くて皆の人気者で、その上スポーツ万能という人がクラスにいませんでしたか?
または、職場にこういう人は居ませんか?
…いつも穏やかに微笑していて、話しかけやすいし、相談事にも気楽に乗ってもらえて、視野が広がって気持ちが楽になるアドバイスをくれる。実際の身長の割に背が高く見えて、歩き方がきれい。頭が良くて、サッと適切な判断を下せる。職場では上からも下からも信頼されている。皆のリーダー的存在。
…こういう人たちって、きっと皆さんの知っている人の中に居られるんではないしょうか?こういう人は、(ゆる体操をやっているかどうかに関わらず)軸が通っている人たちなんですよ。
ゆる体操によく取り組むと、皆さんもこういう人に必ずなれますよ。
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参考文献:『脳と体の疲れを取って健康になる 決定版 ゆる体操(PHP出版、2015年9月)