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家トレを超えた“どこでもトレ“、「お腹ペコポコ」体操

ゆる体操コラム

ゆる体操の中の息ゆるに「お腹ペコポコ体操」ってありますよね。普段からやっているという人は少ない、どちらかといえばマイナーな部類に入る体操かもしれません。しかしのこの体操は一つで6回お得なローコストハイリターンな体操なのです。それを今回はご紹介させていただきましょう。

1.お腹ペコポコで話題の腹圧呼吸が・・・

トレーニング業界で最近話題の「腹圧呼吸」。大雑把にいうと吸っている時も吐いている時もお腹を膨らませたままでいるという呼吸ですが、そんな事どうやってするんだろう?と思いますよね。
しかし実はゆる体操の中に簡単にそれが出来てしまう呼吸法があるのです。
それは一連の「息ゆる」の中の「お腹ペコポコ体操」です。
この体操は息を吸ってお腹を膨らませ、あとはペコーポコーペコーポコーと声に出しながら、ペコ、ポコに合わせてお腹を膨らませたりへこませたりするだけの簡単な体操なのですが、それがなぜ、あんなに難しそうな腹圧呼吸になるのか???
理屈は簡単です。ペコーポコーと声に出しているのですからその間は息を吐いています。吐きながらへこましたりふくらましたりしているのですから、息を吐いている時もお腹が膨らんでいる時間があるという事になります。

お腹ペコポコ体操
お腹ペコポコ体操

そうなのです。実は一見難しそうに見える腹圧呼吸が割と簡単に出来てしまうのがお腹ペコポコ体操なのです。ただし、体が固まったままやるといろいろな部分でマイナス要素が出る可能性があるので、やる前はできれば息ゆる一式を、時間がなければ息ゆるの息ハートロトロ体操だけでも最初からやってからした方がより効果が出ます。

2.ハイパフォーマンスを保証するインナーマッスル筋トレ

さて、普通人間はリラックスした時は腹式呼吸になると言われています。念のために説明すると腹式呼吸とは吸うときにお腹がふくらみ、吐くときにお腹がへこむ呼吸です。試しにご家族が寝ているときにこっそりお腹を触って(起こさないように注意して!)みてください。どうでしょうか? 呼吸に合わせてお腹がふくらんだりへこんだりしていることがわかると思います。さらによく見て見ると吸っているときにお腹がふくらんで、吐くときにお腹がへこむのがわかりますね。このように人間はリラックスしているときは自然に腹式呼吸をしていると言われています。
そして、この腹式呼吸は筋肉でいうと横隔膜が主導筋になって行われている呼吸です。横隔膜が緊張すると膜が張ってきて板のようになり、肺の容積が広がって息が入ってきます。逆に横隔膜が弛緩するとドーム状に広がり肺が押し上げられて息が出ていきます。これが腹式呼吸の仕組みです。

腹式呼吸
腹式呼吸


お腹ペコポコ体操では息を出しながら(ペコーポコーと声に出しているので)お腹をふくらます時があるのでこの時は普通の腹式呼吸と逆のことをして、横隔膜に負荷をかけているのです。横隔膜は体の深いところにあるインナーマッスルでもあるので代表的なインナーマッスルの筋トレになるという訳ですね。

そしてもう一つ大事なことは、横隔膜の一番下の部分は背骨につながっているのですが、ここは代表的なインナーマッスルである腸腰筋(大腰筋)がついているところでもあります。体のなかで近くにある筋肉は一緒に活動するので横隔膜を意識的に動かすことによって同時に腸腰筋も鍛えられるという事になるのです。
実際に息ゆるをやった後は「不思議と脚が軽くなる」と言われる方がいますが、実は不思議でもなく、横隔膜を使うことで腸腰筋も連動して活性化し、脚を上げる動作に自然に腸腰筋が参加するようになるので脚が軽くなった感じがするのです。

3.「家トレ」をはるかに超えた「どこでもトレ」?

ゆる体操はどの体操もいつでもどこでもできるデザインのものが多いです。それはなぜかというと例えば肩が凝ったらその時すぐにほぐせる体操でないと使えないですよね。そういう訳で健康体操でもあるゆる体操は家トレに適している、というお話はこのコラム・ブログでも折に触れ、させていただいています。ところがそのゆる体操の中でも手足を動かさない息ゆるはほとんど見た目が変化しないのが特徴で、その中でもお腹ペコポコ体操は傍目には体操をやっていることもほとんどわかりません。
この体操は基本的に座った姿勢で行いますが、慣れると立ったままでもさっさとできるようになります。シャツをアウトにしているとそれだけでもわかりにくいですし、冬場で服を着こんでいるときは外目にはやっていることが全くわからないと言ってもいいでしょう。また上手になればなるほど軸(センター)が鍛えられるので、ほとんど微動だにしていないように見えます。実際に私は駅の待ち時間や電車の中でよくやります。また最近はスマホが普及して誰も他人のしていることなど見ていない(笑)ので、その意味でも全く気にされることがない体操ですよね。
という事で「家トレ」すら超えた「どこでもトレ」ともいえるすごい体操なのです!

4.高岡式超最強の疲労回復法!

つい先日もブログ「Book Club Yuru.1」でご紹介させていただきましたが、高岡英夫の最新著書「超最強の疲労回復法」では全身疲労は横隔膜の疲労が原因と述べています。実はこの件は非常に斬新かつアグレッシブな視点で、今までここまで言い切った内容の本、論文は(著者の過去の本、文章も含めて)なかったのではないでしょうか?
 全身疲労の原因の多くが横隔膜の疲労だとすると疲労対策として横隔膜を鍛える呼吸法をやらない理由はありませんよね。
この本ではさらに本格的な横隔膜のトレーニングである「呼吸体操」という方法が紹介されていましたが、いきなりこれは大変だ・・・と思われる方がいたら、お腹ペコポコ体操とほかの息ゆるをセットにして取り組むのがお勧めです! これだけでも内臓の疲れもとれる上に最近問題になっている骨盤底の筋力低下を防ぐ体操もあるので、実にいいことづくしなのです。
しかもこれらの息ゆるも同じように体操をしていてもほとんど見た目が変化しないので、周りの状況に注意しさえすればどこでもできます。

5.「根本的」な腰痛対策に

お腹ペコポコ体操を続けていると、体を支える筋肉のバランスが変わってきます。普通は姿勢を維持するときは腹直筋(いわゆる腹筋運動で使う筋肉)と背筋の意識で体を支えている場合が多く、実際にほとんどの皆さんの感覚もそういう感じではないのかなと思います。
ところが先ほども述べたようにお腹ペコポコ体操で横隔膜と腸腰筋が活性化して鍛えられてくると、この横隔膜と腸腰筋も体を支えてくれるようになります。また腹圧呼吸ができるようなると常にお腹の圧力が効いた状態になるので、内側からエアバックでお腹と腰を支えているような状態になり腰の負担が減るのです。
さらに「お腹ペコポコ体操」で“ペコー”の時はお腹をへこませますが、お腹をできるだけへこませようとすると腹直筋でなくその横にある腹横筋が自然と使われるようになります。この腹横筋は体を横から支えてくれ、胴体を安定させてくれる働きがあるので体幹トレーニングでも非常に重要視される筋肉でもあります。この腹横筋が腹圧を高めるのでさらに“お腹のエアバッグ“を強化してくれる働きがあります。
現代人一般に姿勢がよいと言われている方でも、腰を必要以上に反らせる姿勢になってしまっている場合が多いのが特徴です。この姿勢は典型的に腰痛の原因になるのです。しかしお腹ペコポコ体操をして“お腹のエアバッグ“が効いてくると自然と腰の無駄な反りがなくなり、腰にも息が入るようになります。そうすると軸(センター)の効いた姿勢になってきます。
結果的に筋肉面でも骨格面でも腰の負担が減り、腰痛の対策になるのです。

6.ペコポコペコーでウエストシェイプ!

でもお腹をふくらませた姿勢なんて死んでもとりたくない!という方もおられるでしょう・・・。それには実によい対策があるのです。
“ペコポコペコー“で終わる「お腹ペコポコペコー」体操をやればいいのです!え? そんなことでいいの? と思われるかもしれませんが、嘘のようなホントの話、それでいいのです。「お腹ペコポコペコー」体操では最後にお腹をへこませて終わるのでウエストをシェイプした状態になります。腹直筋でへこまそうとするより腹横筋でへこませる方が前から見た時のお腹のたるみもなくなるので手っ取り早く見た目のスタイルを変える事が出来るのですね。
もう一つ言えることは(繰り返しますが)息ゆるは軸(センター)を崩さないことを大事にするので、お腹に陽圧をかけても腰側も同時に膨らむようにします(これは息スーハートロトロ体操でやりますね)。この件に関しては人気サッカ-漫画「フットボールネーション第14集」

フットボールネーション14

でも取り上げていましたが、そういった点で単にお腹をふくらました時のようには前には出っ張らないという見た目の長所もあります。特に腰が反った姿勢で腹圧をかける呼吸法をすると腰に息が入らず、腹圧がすべてお腹にかかってしまいお腹が出っ張ってしまうので気を付けてください。ですから実は「腹圧呼吸」という言葉は(失礼ながら)言葉としては少し足りず、ゆるプラクティスではゆるんでいる体で横隔膜を下げると必ず腹と腰がバランスよく膨らむという考えをしているので(実は体の柔らかい赤ちゃんはそうなっています)、これを「腹腰呼吸」または「均等呼吸」と言って呼吸法の基本としています

腹腰呼吸
腹腰呼吸


少し話がそれましたが、実際問題としてはお腹をふくらました状態とへこませた状態をどの程度のバランスにするかは目的に合わせて自分で判断すればよいのです。
より見た目のスタイルをよくしたい方はへこませる「陰圧」を基本とすればよいわけですし、スポーツなどで体幹をより安定させたい方はふくらませる「陽圧」気味にしながら腹横筋も利かせれば強い体幹部を作れます。「お腹ペコポコ体操」に取り組めばわかってきますが腹直筋と腰背筋だけで作った体幹はそれほど強固なものにはなりにくいのが現状です。
「お腹ペコポコペコー体操」でも「お腹ペコポコ体操」でもふくらます、へこます両方の動きが入っているので続けているとどちらも自由にできるようになります。ここが一番重要なところなのです。

ゆるポータル神戸ではゆる体操初級の教室から息ゆるも取り入れていますのでいつでも参加できますし、ゆる筋トレとの相性も良いので筋トレの効果も格段にアップしますよ。

これからは個別の体操についても効果、やり方についてブログ・コラムで積極的にご紹介していくつもりです。
以上、いいこと尽くしのお腹ペコポコ体操のご紹介でした!

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