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インナーマッスルの鍛え方 肩編 パフォーマンスを上げたいすべての人へ4つのステップ

ゆる筋トレコラム

皆さんこんにちは。ゆるポータル神戸が送るインナーマッスルコラム第4弾です。今回はインナーマッスルの鍛え方「肩編」です。

この記事はこういう方々のために書きました。

  • 腕を使うスポーツでパフォーマンスを上げたい人
  • 立甲が出来るようになりたい人
  • 楽器など腕を使う趣味でパフォーマンスを上げたい人
  • ダンスなどで腕の表現力を上げたい人

肩回りのインナーマッスルを鍛えると一言で言っても色々な方法がネットでは紹介されていますね。フットボールネーション15巻で紹介された「立甲」の理論にしても、「立甲が」が出来るには肩回りのインナーマッスルが使える事が必須になってきます。
さて、その肩回りのインナーマッスルですが、最もよい効率の良い「鍛え方」とはどういうものでしょうか?

それは自分の動きが「固く縮こまった状態から、柔らかくしなやかな状態へ変わる」鍛え方です。

どういう事かこれから見ていきましょう。
それでは参ります!

野球選手

Step1 「鍛える」の意味を理解しよう 

まずインナーマッスルを鍛えるという事の意味ですが普通の筋トレの様に太くしようと思うのは最初の段階では良くありません。
プロのパフォーマーを見てみたらわかりますがアマチュアと比べて動きが柔らかく滑らかですね。
どうしてあんな風に大きく柔らかく動けるかと言うと、関節を細かく繋いでいるインナーマッスルが効果的に使えているからです。
「肩が力んでいるよ」
と言うのはスポーツや習い事の経験がある方は一度は言われた事があると思いますが、「肩が力んでいる」と動きは滑らかになりませんよね。
力んでいるという事はつまるところ関節を上手く使えていないという事ですから、そういう場合、力みをゆる体操で抜いてあげると関節が滑らかに使えるようになり、自然にインナーマッスルも使えるようになってきます。
逆にインナーマッスルが使えている人は皆動きが柔らかいという関係があります。
ようするに固く縮こまった状態から柔らかくしなやかな状態へ変わっていくには力みが抜けて関節が上手く使える事、そしてそれはインナーマッスルが使える事とほぼ同じ意味という事が出来るのです。

Step2 重要なのは「骨」である事を理解しよう

肩回りに限りませんが運動を良いものにしようと思うと実は関節のコントロール能力を良いものにしなければなりません。
体を動かすのは筋肉ですから、関節のコントロール能力を上げようと思うと筋肉をどうにかすればよいのかな?と思われる方もいるかもしれません。
しかし実際にはそれを筋肉の側からしようとすると実は大変難しく効率が悪くなってしまいます。
説明すると筋肉の方が骨より数が多い(骨が200個程度に比べ、筋肉は650程度ある)のでコントロールしきる事が単純に難しいという事が言えます。
インナーマッスルを使える事と、関節のコントロール能力を上げる事はほぼ同じ意味です。そして骨が少しでも意識できるようになると関節の微妙な感覚がわかるようになり、自然とインナーマッスルも鍛えられます。そしてこの順序を取る方が遥かに効率が良いという事になります。
こう言うと
骨の意識ってなんやねん!?
と思われる方もいるかもしれませんが、すねの骨(脛骨)を触るとわかりますが骨にも筋肉と同じように触覚がありますのでさわれる骨はさわってあげると意識が高まります。
そのうち筋肉と同じように触らなくともどこにどういう形であるかわかるようになります。むしろ骨の方が筋肉に比べて形がはっきりしたものなのでわかりやすいという部分もあります。
(ちなみに骨の意識を鍛える(骨がどこにどういう形で存在しているかがわかるようになる)ゆるプラクティスもしっかりありまして、それは基礎ゆるの中の「ほゆる」(“ほね”のゆる)の事)と言ってゆるポータル神戸でもいずれ動画でご紹介予定です。)
ただ骨は筋肉の奥にあることが多いので、そういう部位は外側の筋肉(アウターマッスル)をゆるめてあげると段々とわかるようになってきます。
もう一つ骨に関してゆるプラクティスの視点から見て大事なことがあります。それは外部に影響を直接及ぼすのは筋肉でなく骨だという事です。
物を押したりするには支えが必要です。ヴァイオリンを弾くのも、ピアノの鍵を叩くのも反動に対する支えが必要なのです。同じようにボールを投げるのもボールを支える物が必要です。
人間の場合それは骨です。
また「立甲」にしても四足の状態で体を支える要素として、腕の骨だけでなく肩甲骨が参加することが「立甲」と言えるわけですね。そしてそれは肩回りのインナーマッスルが柔らかく自由に使える事と同じと言えるわけです。
ですからどんな運動でもインナーマッスルを鍛えるためには同時に骨の意識がきっちりある事が大事なのです

了平コラム
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腸腰筋系の筋肉は例外

別の機会に改めてお話しする予定ですが、腸腰筋と連動する筋肉(横隔膜、恥骨筋、ハムストリングス等)は全身の運動に対して及ぼす効果が絶大なのでそれを取り出して鍛える事は非常に重要です。しかし腸腰筋系の筋肉を鍛える時でも腸腰筋にかかわる骨(腰椎、骨盤、股関節)の意識がガイドになるという原則は同じです。
腸腰筋も横隔膜も直接触れませんが背骨は触る事ができます。
つまり背骨や腸骨、股関節の意識がはっきりしてくると次第に腸腰筋もより使えるようになります。骨格のコントロールとして背骨や股関節が自由に使えるという事は腸腰筋が自由に使えるという事なのです。
また腸腰筋のトレーニングをすると自然に背骨や股関節のコントロール能力も高まります。
このようにインナーマッスルと骨格、関節の関係は表裏一体なのです。

Step3 肩だけでなく「肩から腕」を鍛える事の重要性を理解しよう

ここで改めて確認したい事は「肩のインナーマッスル」とは何かという事ですが、普通は「肩のインナーマッスル」と言うと肩甲骨と上腕骨をつなぐ棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の4つの総称である「回旋筋腱板」の事を指します。しかし実はそこの筋トレをすれば動きが良くなる訳では全くありません

肩の代表的なインナーマッスル
肩の代表的なインナーマッスル

腕を使う種目でパフォーマンスを上げようと思うと、ゆる体操では肩甲骨も腕の延長と考えますので、結局のところ「肩のインナーマッスル」の筋トレをしても片手落ちで、まずは肩甲骨を動かせるようにする事と外側の筋肉(僧帽筋や三角筋等)の力を抜いて肩甲骨から腕が自由に連動して動くようなトレーニングが必要です。
(ちなみに話題の「立甲」ですら肩甲骨の有効的な動かし方の一つにすぎず、「立甲」もパフォーマンスアップのためには必要ですが、形だけ「立甲」が出来たからといってもそれだけで良いとは全く言えません。)
肩甲骨を動かせるようになる典型的なゆる体操は肩甲骨モゾモゾ体操、肩甲骨から腕の連動が良くなる体操は腕プラーン体操や肘クルン体操ですね。
また楽器演奏では一般的に筋力は日常生活程度ですみますので、筋トレではパフォーマンスは上がりません。特に演奏の精度を上げるには外側の筋肉の無駄な力みを抜いて肩甲骨から指先までが連動して自由に動く事が必要です。
これはダンスなどの腕を表現としてつかう種目でも全く同じです。
こうなるとゆるめるトレーニング、ゆる体操がジャンルを超えて有効なのがお分かりだと思います。

Step4 ゆる体操とゆる筋トレがなぜ効果的なのか理解しよう

この章は多少専門的になるのでご自分が興味のある部分だけを読んでもいいかもしれません。

スポーツへの応用

先ほども少し述べましたが、インナーマッスル一つ一つはアウターマッスルに比べて小さいものが多く、特に肩回りのインナーマッスルは小さいものが多いです。
ですから、例えば投げるという動作を取ってみても、ある部位を抜き出して一つ一つを鍛えてもそこばかりが動きの中で主張してしまって、むしろ肩甲骨~指先までの連動が悪くなることはままある事です。
そもそもインナーマッスルのトレーニングは、例えば投げる運動なら投げる運動という「全体の系」としてとらえないと無意味に終わることが多いのです。
ピッチングを例にとってみるとピッチングという運動はその初動の部分は重心の移動から起こります。
重心が移動すると運動量が発生し、その運動量をいかに腕に伝えていくかが重要なポイントになります。

ボールを投げるピッチャー
体重移動で発生した運動量を指先に伝える

これは重心の移動する距離はピッチングに比べて小さいとはいえ、テニスのサービスなども原理は全く同じと言えるでしょう。
最初は少しの重心移動でも、運動量が阻害されることなく移動していくと手に至った段階では物凄いスピードになります。
この運動量が阻害されることがないという状態が関節のコントロール能力が高いという事なのです。
ちなみに中国の伝統武術の世界ではこの原理を「発勁」と呼んで普通の力の使い方と明確に区別していました。
最初は太極拳のように大きなゆっくりとした動きで運動量の移動を意識していきますが、最終的に肩周りだけでなく全身の関節をゆるめる事によりほとんどノーモーションで強大な打撃力を出す事を目的とするのです。
野球でいうとイチロー選手がコンパクトな振りでも内野の守備を抜くような鋭い打球を飛ばす能力にたけていました。
また、骨がある程度意識できるようになり、関節のコントロール能力が増し、インナーマッスルが使えるようになると対応能力も増します。球技全般でいうと球の変化について行く事が出来るようになるのです。
具体的にいうと、スポーツではゆる体操で肩甲部から手までの各パーツをゆるめて自由に動かせるようになってからゆる筋トレで上半身と体幹も鍛えるのが良いでしょう。
先ほども述べたように、肩甲骨モゾモゾ体操、腕プラーン体操、肘クルン体操、上腕ジョワーン体操、手首スリプラ体操などが代表的なゆる体操と言えます。
またゆる筋トレの壁後ろプッシュや壁前両プッシュは上半身の筋トレですが自然に体幹も鍛えられるように出来ているのでその意味では一石二鳥ですね。

ダンスへの応用

私はダンスそのものの経験はありませんが、舞踊は好きでよく見ていました。見ているとやはり腕から手を自由に使える能力が表現力に決定的にかかわってきます。
しかも内容によっては腕をずっと上げっぱなしだったりするので筋持久力も相当必要となります。
それをしかも関節のコントロール能力をキープしながら、しないといけないのでやはり大変な事です。
もう亡くなられましたが、マイヤ・プリセツカヤの有名な「瀕死の白鳥」では、腕を水平に上げながら波打つような柔らかい動きが素晴らしかったのですが、当然三角筋などのアウターマッスルの持久力も必要としながら、柔らかさを演出するインナーマッスル系の動きも必要とする非常に高度なパフォーマンスだったと言えるのではないでしょうか。

しかし実際にはプリセツカヤ自身は三角筋の疲労などほとんど感じていなかったはずです。
インナーマッスルが絶妙に使えると、肩甲骨〜腕の運動といった全体の系として運動が行われるようになるからです。
これも結局のところ各関節のコントロール能力が非常に高いと言い変える事ができると思います。
最もプリセツカヤの「瀕死の白鳥」のレベルになるとすでに全身の運動と言った系でとらえる方が良いと思いますが・・・。

楽器演奏への応用

どの楽器でも肩甲部から指先までの動きが自由になる事は重要です。
ピアノ演奏でもほとんど腕を動かす事なくいきなり大きな音を出せるピアニストがいますが、それが出来るのも投げる動作がうまいのと同じように肩甲骨から指先までの連動がうまいのが理由です。
またピアニストがそのような動きができると、速いパッセージでタメが要らないので演奏が圧倒的に楽に正確になります。
それには筋肉よりも肩甲骨〜手の骨という骨の連携全体で運動を捉えて行った方が遥かに理解しやすく、そうする事で関節のコントロール能力のアップが図れるため、結局インナーマッスルの意識も高まり、自分の専門の中で自然と必要な分だけ筋力も鍛えられる事になります。
ヴァイオリンなどの弦楽器でも力を抜けば抜くほど腕の重みを十分に使えるようになりますから音の質が深みのあるものに変わります。

ヴァイオリンを弾く男

これに関してはクラシック音楽の世界では20世紀のヨーロッパのヴァイオリニストの方が現代のヴァイオリニストよりも一般的にできていたイメージがありますが、全体的に現代人は体が硬くなっていることと関係があるのかもしれません。
(ただし楽器の演奏は非常に複雑な運動と言えますので、演奏の価値がそれで決まるわけではないという事を明記しておきます)
管楽器では腕で楽器を支えながら演奏するものが多いので、楽器を支える骨格の意識がとても重要になります。出来るだけ無駄な力を使わず骨の意識で楽器を支える事によって支えながらも腕が自由に動くようになり、複雑な技術に対応する事が出来るのです。

まとめ

  • インナーマッスルを鍛えるよりもまずは使えるようになる事
  • インナーマッスルを使えた時の感覚は滑らかで柔らかい
  • 骨の感覚が鋭くなると自然にインナーマッスルが使える
  • インナーマッスルを使えるようになるにはゆる体操
  • 結果的にゆる体操はあらゆる種目に役立つ

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