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なぜインナーマッスルがゆる筋トレで鍛えられるのか?
巷で色々語られている「インナーマッスル」ですが、ゆる筋トレはそのままインナーマッスルを鍛える筋トレになります。なぜかというとゆる筋トレは表面の筋肉の無駄な力を抜くことで自然にインナーマッスルが使えるようになる筋トレだからです。今日はその理由をお話させていただきたいと思います。
この記事はこんな方々のために書きました
- しなやかなボディをつくりたい方
- 筋トレしてみたがいまいちシルエットが良くならない方
- スポーツでワンランク上のレベルに上がりたい方
- スポーツで怪我のリスクを減らしたい方
以下に進む前にこちらの記事を先に読んでいただくとさらにわかりやすいかと思います。
ー目次ー
1.普通の筋トレの長所と短所
「筋トレ」を一度はしたことがあるという方は多いと思います。スポーツをされている方にとって筋トレは必須ですよね。
ただし、この筋トレ実は長所と短所があるのですね。それを知っておかないと目的があって筋トレに取り組んでも色々な弊害が出てくることがあります。
まず長所は何でしょう・・・?
これは簡単です。筋トレは筋肉を太くしてパワーをつけるのが目的なので、一定のペースを保って食事もたんぱく質を摂取するように心がけるとパワーは段々とついてきます。
ではその弊害とは・・・?
ズバリ体が硬くなりやすいという事です。
この硬いという意味は鍛えた筋肉も硬くなりやすいですし、動きも固くなりやすいという意味です。動きが固くなるので当然関節の可動域も狭くなる傾向にあります。
なぜそうなるのでしょうか? 一つずつ見ていきましょう。
筋肉が固くなるワケ
筋肉が固くなるのはある意味当然の話です。なぜかというと筋肉は一旦組織が破壊されると修復・再生するときに以前より少し太くなるという性質があります。
筋肉が固いといけないの?
はい、いけません。アスリートをテレビで見ると物凄く立派な筋肉をしているし、普通は筋トレをしていると先ほどの理由で筋肉が固くなるので、きっとアスリートも固い筋肉をしているのだろうと思っている方もいますが、それは間違いです。
そもそも硬い筋肉では伸び縮みがしづらくなります。筋力は太さにも関係しますが、伸び縮みの落差にも関係します。ばねのエネルギーは基本長よりどれだけ伸び縮みしたかによりますよね。
筋肉もばねと同じような特性を備えています。
ということで筋肉が固くなると伸縮する余地がなくなるのでパワーが出なくなってしまうという訳です。
という訳で個人差もありますが筋肉が炎症を起こすので、硬くなるという訳ですね。人は加齢によって炎症から回復する能力が少しずつ落ちてくるので、大人になってから全くケアをせずに筋トレだけするとすぐに筋肉は固くなってしまいます。
動きが固くなるワケ
筋トレの動作はある部位の筋肉に集中できるように非常に簡単になっています。例えば弱った足腰を鍛える運動として処方されることの多いレッグプレスですがこの運動では腕は全く使いませんね。レッグプレスは歩きに必要であろうという事で大腿四頭筋を鍛えるワークですが、当然大腿四頭筋に意識を集中できるように簡単な動作になっているのです。しかし実際は歩くという運動は両腕、両足を交互に動かす運動なので、レッグプレスをやっても「歩く」という運動そのものが上手になる(バランス感覚や動きの効率など)訳ではありません。
また、代表的な普通の筋トレは大きな筋肉を鍛えるのを目的にしているものが多いので、どうしても動きが大雑把になってしまいがちなのです。
同じような理由でスポーツのパフォーマンスは筋トレによって下がることもあるのです。私は実際に色々な人から筋トレをしたのに思ったほどパフォーマンスが上がらなかったという話はたくさん聞いています。
これは筋力が上がるというプラスの効果が、動きが悪くなってしまうというマイナスの効果に相殺されてしまった結果と思われます。
歩きに上手下手?
え?歩きに上手下手があるの?と思われた方もいるかもしれませんが、高齢者の方で同じ年齢で似たような体格でも比較的若いときと同じように歩ける方と、日常生活には問題なくても「年を取った」感じの歩き方の方がいると思います。
同じような体格だったらそれほど筋力に差はないはずですが、どうして歩き姿に差が出るのでしょうか?
それは歩きという運動をコントロールしている脳のプログラムの劣化の問題で、要するに脳の老化によって歩きに必要なプログラムがバグるのです。
2.アウターマッスルとインナーマッスルを同時に鍛える奇跡のゆる筋トレ
その点ゆる筋トレは体が硬くならない工夫が随所にちりばめられています。
例えばクロス腹筋は見たまんま腹筋なので代表的なアウターマッスルである腹直筋を鍛えるのですが、気持ちよくと言いながら腹筋をさするので筋トレをしながらゆる体操と同じように副交感神経優位になれるという、普通ではなかなかできないことを簡単に達成してしまいます。
副交感神経優位=血流がよくなる、ので損傷した筋肉を素早く修復できるのです。
よってゆる筋トレは筋肉痛になりにくい筋トレでもあるのです。
またゆる体操と同じように、さするとその部分の力は抜けます。ですから、ゆる筋トレは筋力を発揮しながら、無駄な力を抜くという作業をさすりながらしているのですね。
無駄な力を抜くとどうなるか? 自然に奥深いところにある目には見えないインナーマッスルを使うようになります。クロス腹筋で言うと腸腰筋がそれにあたります。
つまり目に見えない筋肉であるインナーマッスルは余分な力みを抜く事(=さする事)で簡単に使えるようになるのです。
そうなるとどういう感じがするかというと、同じ動作でも楽に出来るようになるのです。つまりクロス腹筋でいうと腸腰筋がより働いてくれる分、腹直筋の仕事が減るという事になります。いい具合に役割分担してくれるという訳ですね。
実は本当に大事な事はこのインナーマッスルが使えるようになるという事で、見た目は普通の腹筋の動作に見えても腸腰筋が参加してくれることで大腿骨を引き付ける動作がものすごく強くなるのです。ですから見出しのアウターマッスルとインナーマッスルを同時に鍛えるという事の意味を厳密に言うと、アウターマッスルにとっては普通の筋トレ同じ意味ですが、インナーマッスルにとってはそれが使えるようになるというところが大きなところです。
実はインナーマッスルの鍛え方とはこのようにアウターマッスルの無駄な力を抜くことがすべての基本なのです。
またこれはゆる筋トレのクロス腹筋に限りませんが、クロス系の腹筋は右腕と左足を引き付けるようにする事で歩くという運動に関連付けているという利点もあります。歩くときに右の腕を前に振ったら左の脚を前に出しますよね。こういうところも出来るだけ日常動作が向上するようにできています。
インナーマッスルは関節を細かくつないでいますから、筋肉その物の意識が出来る事も大事ですが、スポーツでも日常でも実際に使う動きの中で鍛えていく事が「使える鍛え方」という事になります。
3.実はゆる体操はまんまインナーマッスルトレーニングである
見出しの通りなのですがもう少し丁寧に説明しましょう。
ゆる体操は体をさする事でその部位の緊張を抜いていきます。
ですから、自然に動きが体の深いところへと入っていきます。ゆる体操の負荷ではインナーマッスルを物理的に鍛える(筋肥大させる)事は難しいですが、インナーマッスルが使えるようになる(=使い方を鍛える)事は出来ます。
というよりもゆる体操はほぼすべての体操がインナーマッスルを使えるようになるためのトレーニングと言っても過言ではありません。
先ほどのバグの例でいうならゆる体操は脳のプログラムバグのデバッグ作業と言ってもいいかもしれませんね。
また、ゆる体操は「プラプラ」とか「プラーンプラーン」とか地面に向かって「ぶら下がっているもの」が運動するときの擬態語をよく使います。ぶら下がるという運動は重力を利用した運動なので、重力は体のあらゆるところに働いています。ですから外側の力が抜けると自然と奥深いところにあるインナーマッスルが使えるようになる仕組みなのですね。
また、ゆる体操のもう一つの特徴であるモゾモゾ、クネクネなどの波動運動も典型的にインナーマッスルの運動が誘発されてくる運動です。
というよりも、そもそも波動運動自体、インナーマッスルが活性化しないと起きない運動と言えます。
という訳でゆる体操はそのままインナーマッスルトレーニングになるのです。
むしろ使えるようになることを目標とするならゆる体操だけでも十分と言えるでしょう。
またゆる筋トレに取り組む方はゆる筋トレの前後にゆる体操をするとインナーマッスルのウォーミングアップ、クールダウンになるのでさらに素晴らしい効果が期待できます。
4.ゆる筋トレの効果
ではここからは実際にゆる筋トレでインナーマッスルを鍛える事の効果を見ていきましょう。
効果1 ゆる筋トレでしなやかボディになれるワケ
これは簡単です。
しなやかさというとストレッチのイメージが強い方もおられるでしょうが、関節の可動域を広げる事を目的とした単純なストレッチとは違い、ゆる筋トレでインナーマッスルが使えるようになると細かい関節の動きが自然に表れてきます。
繰り返しますが、インナーマッスルは関節を細かくつないでいる筋肉なので結果的に日常の所作が滑らかで柔らかい印象になるのです。
しかもインナーマッスルが使えている状態はアウターマッスル優位の状態より関節も強く使えますから(「強い」と「固まる」は感覚としてはかなり違います、念のため・・・)強く柔らかい=しなやかという訳ですね。
効果2 ゆる筋トレでシルエットが素晴らしくなるワケ
ゆる筋トレの特にライトブリッジは一見普通の背筋系の体幹トレーニングに見えますが、実は動きを主導する主導筋はもも裏のハムストリングスです。
背中は体幹を真っすぐにするだけの最低限の筋出力を目指します。そして腰はむしろ抜いていく感じなのです。
ですから終わったあと、腰が張るどころかむしろ力が抜ける感じになります。
腰の力が抜けるとだめなんじゃないの?と思われるかもしれませんが腰の力が抜けた分だけ支えが腰より下の部分に移動します。
そこに何があるかというとお尻ともも裏ですね。
そうです、もも裏とお尻の筋肉が自然にきいてくるのです。
姿勢を良く見せたいときに腰をぐっとそらす「反り腰」の姿勢を取られる方がよくおられますが、腰を反らすと実はお尻の筋肉はたるんでしまって全体としてボディラインは悪くなります。
むしろ腰の力を抜き気味にした方が必然的にお尻の筋肉が効いてヒップラインは良くなるのです。
そしてこのような関係は実は体のあちこちにあり、ゆる筋トレは体のそういう関係を考え抜いて作られています。
効果3 ゆる筋トレでワンランク上のレベルに上がれるワケ
これも簡単な理由です。もう一度ライトブリッジに登場してもらいましょう。
このライトブリッジは腰が床から「ベリーベリー」と言いながらはがれるように少しずつ体幹を上げていく運動ですが、どうして「床からはがれるように上げる」のかというと、実は背骨一つ一つの単位で体幹を動かしたいからなのですね。
最終的に体幹を真っすぐにするので当然のことながら腰背筋と腹直筋も使うのですが、動きが背骨の運動に支配されるので主導筋はハムストリングス(=もも裏)ですがその拮抗筋の腸腰筋も活性化されます。
ですから見た目より非常に高度な動きを「ベリーベリー」とか言いながら出来ちゃうのですね。
最初は腸腰筋を意識するよりは「ベリーベリー」という擬態語にはまった方がうまくいきますよ。
もも裏は外部に出ているインナーマッスル?
先ほど文中でハムストリングスと腸腰筋は拮抗筋の関係と言いました。これは一つ条件があって、「ハムストリングスを股関節周りで使う場合の拮抗筋は腸腰筋である」、という事です。ハムストリングスは二関節筋と言って股関節を進展する役割と膝関節を屈曲する役割がある筋肉です。この内、膝関節を屈曲するときはその拮抗筋は大腿四頭筋になり、運動としてはバックする時、ブレーキをかける時に使う使い方で、あまり良い使い方とは言えません。
ところが股関節を進展する使い方をするとき、その拮抗筋は腸腰筋になり典型的なインナーマッスル主導の使い方になります。ちなみにこの時強く収縮する部分はハムストリングスでも上部の部分です。
直接目に見えず触ることもできないインナーマッスルですが、関連する筋肉のうちハムストリングスだけが体表に出ているのですね。
大阪メトロの中心でもある御堂筋線は新大阪駅の手前で地上に出ていますがそれに似ています・・・
・・・は置いといて、ハムストリングスの上部を刺激すると次第に腸腰筋も使えるようになっていきます。
効果4 ゆる筋トレで怪我のリスクを減らせるワケ
前出のコラム内部リンク 「やっぱりインナーマッスルトレーニングが必要な5つの理由」
でも書きましたが、インナーマッスルは基本的に関節の一番細かい単位でついている筋肉です。
ゆる筋トレはその部分を刺激する作用がふんだんに盛り込まれていますから、先ほど述べたように自然と関節の動きがしなやかになります。
という事は日常でいえば躓いた時や、スポーツでいえば死角から急にボディコンタクトを受けてもそれに体が対応する能力が増すのです。
足首などはすねプラプラ体操をするとゆるんでくるのでこれだけで陸上のスポーツでのけがのリスクをかなり減らすことが出来ると思います。
5.まとめ
いかがでしょうか?
今回はインナーマッスルを鍛えるにはゆる筋トレとゆる体操が最適というお話をさせていただきました。
ゆる筋トレは安全で筋肉痛も起こしにくく、世の中の様々なニーズに対応している素晴らしいインナーマッスルトレーニングです。
またスポーツをされる方から、ダイエットをしたのにいまいちボディラインが良くならないという方まで様々なニーズに答える事が出来ます。
ぜひ一度お試しになって下さい!
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