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【リハビリの成果】扁平足にもゆる体操が効果的と言う話

みなさんこんにちは。以前私は当サイトのコラムで「足回りのつらい症状についてゆる体操が効果的な理由」と言う話を書きました。
今日は実際のリハビリの現場でゆる体操が扁平足に効果を上げたという実例をご紹介させていただきます。

この記事はこんな方のために書きました。

  • 扁平足など足回りの症状で困っている方
  • スポーツでパフォーマンスを上げたい方
  • トレーナー、治療師を目指している方
  • 痛みはないが足まわりが疲れやすい方

足回りの痛みが・・・

私は整形外科に努めています。扁平足、外反母趾、魚の目、タコ等様々な足回りの症状の治療も整形外科の範囲です。
その方は50台の女性でもともと股関節の症状で来られたのですが、股関節回りの体操をして段々と症状が治まってくると足回りの痛みが気になってきたという事でした。
体のどこかが悪いと重心の位置がずれたりするので足回りにも必ず何らかの影響は出るものです。その方も股関節の痛みが治まってくると足回りがだんだん気になりだしたという事が考えられます。

赤いスニーカー

その方を仮にFさんとしましょう。Fさんは改めて足のレントゲン写真などで扁平足と診断されたのでした。扁平足は生まれつきのものと、大人になってから起こる「成人期扁平足」があって、大人になってから起こるタイプの原因は重心の位置が(主に前に)ずれる事により足が縦につぶれてしまう事です
ちなみに私は子供の頃から扁平足だったようですが、陸上での激しい運動を長期間する事はなかったのであまりそれによる不利や障害を感じませんたことはありませんでした。しかし軽度の扁平足でもサッカーやバスケット、陸上競技など長期間の運動により子供でも足底筋膜炎など扁平足に起因する痛みを訴える事があります
大人の扁平足も症状は同じですが特に重心の位置がずれる事により起こるので、正しい位置で立てるようになるとある程度アーチが回復する場合も多いのです
整形外科の治療としては土踏まずの高いインソールを作ってアーチがつぶれないようにしてあげるのが一般的です。また、最近話題のビルケンシュトックなど外国製のアーチがしっかりしたサンダルをお勧めしたりすることもあります。
ちなみに私はビルケンシュトックを初めて履いた時アーチが高すぎて爪先がサンダルにつかないのですごく歩きにくかったことを覚えています。それほど自分の本来のアーチがなかったという事なのでしょう(笑)

Fさんの話に戻りましょう。
Fさんもインソールを作りました。ただしインソールを作ってもアーチを乗り越えて前に重心を持っていってしまうとせっかく作ったインソールの効果が出なくなってしまいます。
ですから「足回り」と「脚」全体ををゆるめて無駄な力を抜いたうえで正しい重心の位置を意識してもらう事が重要です。

インソールが「痛い」?

足回りのリハビリを始めたとき私は聞いてみました。

私 「どうですか? インソールの調子は?」
Fさん 「うーん、私は最初は脛やふくらはぎ、それと足の甲が痛かったんですが、今はインソールが固すぎてむしろ土踏まずが痛いんですけど・・・」
私 「あー、それね。結構みなさんおっしゃいますね。柔らかいインソールだと体重でつぶれてしまって意味がないので、ちゃんとしたものは固いんですよ。」
Fさん 「そうなんですね。固くて高いのでインソールに土踏まずが押されてしまうので痛いんですね。」
私 「そうですね。痛みの部位が変わっているので今回の痛みの原因はおそらくそんなところでしょう。でもこれからやる体操をすれば大丈夫ですよ。じゃあやっていきましょうね。」

普通に考えると
インソールが高いから土踏まずが痛い
と言うのはサイズが合ってないのでは?と思いますよね。でも、私の勤めている整形外科ではインソールをオーダーメイドで作っているのでそれで合っているのです。と言うよりもその形でないと扁平足を強制する効果が出ないという事になります。
実は市販のインソールは土踏まずを十分に盛り上げた形にするとFさんのような扁平足の人にとって最初は使いにくく、むしろ苦情になってしまう場合があるそうです。日本人は外国人に比べて土踏まずのアーチの角度が低い場合が多いので、市販のインソールは(苦情にならないように)土踏まずの高さをわざわざ抑えているという裏事情があります。また土踏まずのアーチを育てるためには素材の固さも本来はしっかりした固いものが良いのですが、そうするとFさんのように痛みを訴える人がいるので適当に柔らかい素材を使っているという現状があります。
ですからFさんが訴えている症状はある意味当たり前の事と言えるでしょう。

私は改めてFさんの症状がなぜ起こっているかを説明しました。要するに足に関しては正しい重心の位置は脛の真下、距骨の部分でそれ以外の部分に体重をかけ続けると足がつぶれてしまうという事です。ですからゆる体操を使った扁平足の改善の仕方は基本的に足回りをゆるめて正しい重心の位置に乗れるようにするという事です。
そして私は足裏から見た正しい重心の位置(ゆるプラクティスでは「ウナ」といいます。)を覚えてもらって時々そこを指で刺激してもらうように言いました。
このワークはゆる体操にはありませんので詳しい方法を知りたい方は高岡先生の著書「日本人が世界一になるためのサッカーゆるトレーニング55」をご覧になって下さい。

足裏の正しい重心の位置
足裏の正しい重心の位置(ウナ)

そしてメインはやはりゆる体操です。
私のように専門でゆるプラクティスに取り組んでいる人は良いのですが、いつもウナポジションを意識したり足裏を刺激したりすることは中々難しいものです。
ですから現実的にはインソールの力も借りて、出来る範囲で足裏のウナポジションを刺激しながら生活の合間にゆる体操を、と言う形でやっていくのが良いのだと思います。
また私の経験では足裏のウナポジションに関しては一時期でも真剣に打ち込まなければ中々本当にはものになりませんし、そもそも場所を正確にとらえて刺激する事も難しいのです。
そして結局のところ足回りがゆるんでこないといくら頭で正しい位置を理解したとしても体の方がそれを拒否しまいます
正しい知識は必要ですが、それもあくまで体がゆるんでこその事だということなのです。
体の事は体が覚えないと意味がないのです

扁平足に良いゆる体操とは・・・

体操は具体的には「足足系」と言われる「足スリ」「足首クロス」「足首縦スリ」などをやって頂きます
この体操はうっかりするとさする側の足もさすられる側の足も力が入りやすくなってしまいます。
さすられる側は脚全体の力を抜いて、さする側は特に膝から下の力を抜いてする事が肝心です。
そして可能なら内転筋を効かせて(内股を締めて)行う事が重要ですが、これは中々難しいので場合によってはそれほど指摘しない事もあります。
そしてこのようにポイントを守って出来るとだんだんさすっている感じがゴシゴシからスリスリに変わってきます。
そういう理由で足足系の体操は「○○スリ」と言う名前になっているのですね。
ちゃんと体操の名前には論理的に考えられた理由があるのです。
時々患者さんや教室の生徒さんで足足系の体操の話題になる時
「足をこすって・・・」
と言われる方がおられますが、その場合指導者としてこちらは注意しなければいけません。
「こする」時の擬態語は「ゴシゴシ」が適しています。
「さする」時の擬態語は「スリスリ」ですよね。
皆さん手でやってみてください。わかりやすいですよね。
足は手より力が抜きづらいのでつい「こすって」しまうのですね。要するに力が入っていて「スリスリ体操」なのに「ゴシゴシ体操」になってしまっているので「こすって」と言ってしまうのです
Fさんもやはり最初はゴシゴシ体操でした。

私 「それだったらスリスリじゃなくてゴシゴシって感じですよね」
Fさん 「難しいですー。というか足で手のようにさするなんて感覚がわからないです。」

こういう時最後の裏技(笑)として相手の足を私の足でさすってあげる時があります。
もちろん相手の了解はとりますよ(笑)! 
ゆる体操の教室ではゆる体操の指導員規則として身体接触は「ペア健康さすり」という体操を除いてしてはいけませんし、今はコロナ禍なのでゆるポータル神戸ではそれも避けています。
ですが私の勤めている整形外科のリハビリでは達人調整もしているので、リハビリに特化した裏技みたいなものですね。

私 「足で足をさするってのはこんな感じです」
Fさん 「えーー、全然違う! ホントに手みたい!」

大抵こんな感じで皆さんびっくりされますが、いつも言っているように私などは全然大したことない部類です。しかし才能がなくても20年も好きでやり続けていると、やっていない方と比べると色々なところで差は出るものです。

このように「手でさするように足でさする」事がどんな感じかわかってしまうと、自分がいかに力が入っているかもわかるので色々工夫するようになります。
そんなこんなでFさんは悪戦苦闘しながらなんとか足の力を抜いて「スリスリ」しようとしています。

足足スリスリ体操
足足スリスリ体操(足スリ)

Fさん 「私はこんなに足が固くなってしまっていたのですね・・・。」
私 「まあ、それは誰でもそうなんですけど、特に踏ん張ってしまう癖のある方はいますね。」
「あんまりやりすぎると太腿が疲れてしまう事もあるので左右頻繁に変えるといいですよ。」

などなどアドバイスをしながら、少しずつFさんもコツをつかんだようでした。

良いポジションに乗れると・・・

私 「じゃあちょっと立ってみましょうか。」
Fさん 「はい」
私 「どんな感じがします?」
Fさん 「あれ? なんか楽ちんで自然に後ろの方で立ってしまう感じです・・・。」
 「それからさっきより足裏のアーチが出来てる感じがします・・・、すごいですね・・・。」
私 「じゃあ、今日履いてきた靴を履いてみてください」
Fさん 「あれれ? インソールが痛くないわ? なんで?」
私 「一時的にですけどアーチが出来たからですよ。インソールの高さ程度にはFさんのアーチが出来たんですよ」
Fさん 「えー、すごい! これは楽ですね。特に足の先の方が楽です!」
私 「正しい位置で立てるとそれだけで少しはアーチが回復するんですよ。逆に足が疲れたり、重心の位置が前に行ったりすると足がつぶれるのでさっきみたいにインソールが下から押してくるような感じになるでしょ? そうすると普段自分が意識していなくても足が良い状態でない事がわかるんですよ。その時に出来る状況だったら体操をやればいいんですよ。そういう意味でもうまくインソールを使ってあげてください」
Fさん 「分かりました!やってみます」

巷では成人期の扁平足の原因を筋力の低下と捉えて「足裏の筋力を鍛えればよい」という話も聞きますが、足裏の小さな筋肉だけで全身の体重を持ち上げるほどの筋力を発揮するのは普通に考えても無理です。足裏の健康を取り戻すには骨格のアーチ構造を正しく使えるようにならなければだめなのです。
ですから逆にFさんのように正しく骨格を使えるような立ち方(足回りをゆるめてウナポジションでたつ)ができるとその人が本来持っているアーチは回復するのです。

私 「それから足裏の重心の位置は頭でイメージを描いても何の役にも立ちませんから、そんなことするよりは出来る時にしっかり刺激する方がいいですよ。また皆さんやっているうちに刺激する位置が必ず前の方にズレてくるのでそこは気を付けてください」
Fさん 「どうして前にズレるのですか?」
私 「土踏まずの真ん中あたりが押してて気持ちいいからですよ(笑) だからいつの間にか皆さんそこのマッサージになっちゃうんです」
Fさん 「えー、そうなんですか?気を付けます。」
私 「ではまた来てくださいね。もう一度言いますが足裏の重心の位置のワークを自分でするときはちゃんと正確な位置を取るようにして下さい。難しかったら足足系の体操をよくやって下さいね。それでも効果はありますから。」
Fさん 「わかりました」

ただFさんは1週後は都合がつかず、しばらく期間が空いてしまうようでした。私はぼんやりと不安を感じてはいましたが、1か月ほど空いてFさんの足のリハビリ2回目がやってきました。

私 「どうですか?調子は」
Fさん 「前より大分いいです。インソールも調子いいと思います。」
私 「それはよかったですね!じゃあちょっと体操と足裏のポジションの復習をしましょうか!」
Fさん 「はい、足裏はこうやって・・・。ここですね!」
私 「・・・。大分前になっちゃってますよ・・・。」
Fさん 「あれ?ここでしょ・・・? 足裏の抑えると気持ちいいとこ・・・?」
私 「ちゃうわーーーー!」

と言いたいところでしたが、そこはグッと我慢して(笑) また同じようにワークを進めていったのでした。
でもFさんの名誉のためにこれだけはお伝えしましょう。
Fさんは足足系の体操は上手でしっかり体操の効果が出ていたようでした
だから足回りがゆるんでインソールの効果もあって自然にポジションが改善され調子も良くなったのでしょうね。

そんなこんなでリハビリはいつも悪戦苦闘です。

ゆる体操をはじめとするゆるプラクティスは医療行為ではありません。よって扁平足に対する効果は個人差があり、この文章はあくまで私の個人的経験に基づくものです。また、この文章には医学に関連した話題も出て来ますが、そのすべてに統計的裏付けが保証されている訳でもありません。その点をご了承して頂いた上でお読みください。

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