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足回りのつらい症状にゆる体操が効果的な理由

ゆる体操コラム

さて、皆さんは「足回り」のつらい症状というとどんなイメージを持たれますか?(ちなみにここで言う「足」とは足首から下の部分と思ってください。)
大人になると足回りにも様々な症状が出てきます。
足のむくみなどは代表的ですよね。他にも病名で言うと外反母趾、扁平足、開帳足、怪我なら捻挫等々・・・。
最近はスポーツが盛んですのでまだ骨が成長していない子供の段階から熱心にやり過ぎるとオーバーワークになり、足の甲を疲労骨折してしまう場合もあるようです。
今回はそんな「足まわり」の健康のためにはゆる体操が一番というお話をさせていただきましょう。

この記事はこんな方のために書きました

  • 足回りのつらい症状に悩んでいる方
  • スポーツや趣味で足回りの機能を高めたい方
  • トレーナー、治療師を目指している方
  • 足タレになりたい方・・・(笑)

様々な足回りの症状も原因は一つ

まず、様々な足の症状で悩んでおられる方に朗報です。足の症状は(感染症や痛風、膠原病などの原因がなければ)大抵一つの原因からきています。それは重心の位置がずれているという事です。
これについては運動科学総合研究所所長の高岡英夫先生がかなり以前から(1980年代後半ごろでしょうか)から提唱されている事なのですが、現代人の特徴として普通に真っすぐ立った時の重心の位置は、本来あるべきところよりもかなり前にずれているのです。
皆さんも何も考えずに足をそろえて立った時どこで一番踏ん張っているか感じてみてください。ほとんどの方は前の方(拇趾球)か前の外側の方になっているのではないでしょうか?
実感として図のような位置(足をそろえたときに左右で言うとうち側、前後で言うとなか側にあるので頭を取ってウナと言います)に乗れている感覚はないと思います。

足裏の重心の正しい位置と間違った位置
図1(足裏の重心の位置)

では、重心の位置がこのように前にずれるとどうなるでしょうか?

足の骨格の構造を見てみましょう。足首の関節(足関節といいます)に近いところは距骨や踵骨など太く大きな骨がありますが、足の先の方に行けば行くほど骨格の構造が細かくなっている事がわかりますね。
これはどう言う事でしょうか?
実は足は先に行けば行くほど体重を支えるようにはなっていないという事になるのです。建築物でも普通は重量がかかってくるところは一番しっかりした資材で支えるものです。
と言うことは普通に考えても足関節に近いところは太い骨が集まっているので、体重を支えるにはそちらの方が向いているという事になります。
ではどこで支えるのが良いのかと言うと脛の骨の真下です。膝から足首の間には骨が2本(脛骨と腓骨)ありますが、脛骨の方がずっと太いのでこちらの方が体重を支えるのに適しています。
ですから、足にしても脛骨の真下にある距骨が体重を支える位置になるのです。

足の骨格図(内側)
図2)足の骨格(右足を内側から見たところ)

図を見ていただいてもおわかりのように、正しい重心の位置は地面と接していませんね。ここが難しいところで、エッフェル塔や東京タワーのように足はアーチの構造をしていますから、重心の位置は地面と接していません。だからなかなか自分の重心の位置がここだというのがわかりにくいのですね。

しかしそのアーチ構造と、太い骨が集まっている事もあり、やはりここで体重を支えるのが一番合理的という事になります。
現代人は重心の位置がここから前にずれている事が多いわけですが、前にずれるとそこにはしっかり支えてくれるような太い骨がありません。また細かい関節も多い上に、そこに上から体重がかかると足がひしゃげてつぶれてしまうのですね。
これが最初に述べた様々な足の症状の大きな原因となっているのです。

扁平足はそのまま足のアーチが縦にひしゃげてしまった症状ですし、外反母趾は横にもひしゃげてしまった結果(これを開張足と言います)足のサイズが広がってしまって動きやすい指先が内側に曲がってしまった状態です。女性に多いのは女性の靴は先がすぼまっている場合が多いからです。

足のむくみも重心の位置がずれる事が大きな原因になっている場合があります。正しい位置より前にずれると前側は体重を支えるようには出来ていないので体を支えようとして筋肉が無駄に収縮してしまいます。
またそもそも前に重心がずれているという事は、真っすぐな棒を斜めに立てようとしている事と同じなので、つっかえ棒を前に入れてあげるか、逆に後ろ側に引っ張ってあげないと倒れてしまいます。
人間にはいつも支えてくれるつっかえ棒はありませんので(いくら良い伴侶がいてもいつも支えてはくれませんよね・・・)自分で後ろへ引っ張ってあげる役割が必要なのですが、それが主にふくらはぎの筋肉なのです
立ち仕事の方はふくらはぎがいつもパンパンに張ってつらいという方もおられるでしょうけど、それは単純に長い時間立っているからと言うだけでなく重心が前にずれてしまっているかもしれないという事を考えた方がいいかもしれません。
一般的に靴を買うには夕方にサイズを合わせるのが良いという事を聞きますが、これは夕方になると脚が疲労して、ひしゃげ具合が朝より強くなってしまうからですね。一時的な扁平足、開帳足という訳ですが、このような状態では血行も悪くなり、結果むくみもひどくなるので足のサイズが大きくなるのです。

正しい重心の位置に乗る

この症状は正しい重心の位置に乗れるようになるとウソのように楽になりますが、長年の癖があったりするとなかなか良い位置に戻せない方もおられるので、私の勤めている整形外科ではそれを助けるためにゆる体操の指導に加えてインソールをオーダーメイドで作ったりアーチがしっかりしているサンダルをお勧めしたりしています。そしてこのように重心がずれる事でいつも足回りの筋肉が張っている状態になると、当然靭帯もいつも緊張して疲労した状態になりますから、少し余計な力が外から働くと怪我をしやすい状態になってしまいます。
また重心の位置が前に乗っていると中足骨などに部分に余分な負担がかかるため足の甲の疲労骨折も起きやすくなります。
スポーツで足関節の捻挫を繰り返す方や疲労骨折の経験がある方はゆる体操でまず足回りをよくゆるめてから重心の位置を正しい位置に戻すトレーニングをして、場合によっては専門家に相談してインソールを入れた方がよいかもしれません。
そうすれば少なくとも足を自分で締め付ける事はなくなるので、(すでに骨が変形してしまっていたり、生まれつきの扁平足の方は治ることはありませんが)その人なりのアーチは回復し、症状は緩和されます。

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夕方の方が小さくなる足

これは余談なのですが、私は調子のいいときは夕方の方が足のサイズが小さくなるのです。
皆さんもおわかりだと思うのですが朝は頭がぼーっとしていたりしますよね。そうすると運動機能も落ちているので正しい重心の位置に乗ろうと思ってもなかなか乗れない時があります。
でも私は色々なゆるプラクティスの方法を知っているので、移動しながら、仕事をしながら体をゆるめて正しい重心の位置に乗れるようにするのです。
そうして正しい重心の位置に乗れると足のひしゃげ具合が自分なりに改善するので朝より夕方になると足が小さくなっているのですね。
ちなみに私は子供の頃から母親に扁平足を言われていましたが、去年正式にレントゲンを撮ってもらって測定してみるとかなり扁平足でした(笑)
ですから、持病の腰痛と同じように常に足回りの状態には気を付けています。

しかし正しい位置に乗るのは難しい

ではどのゆる体操をすればでウナ位置に乗ってくるのかと言うと実は中々これが難しいのです。高岡先生の本でいくつか紹介された方法はありますが、ゆる体操の中では直接ウナの位置に乗れるようにするトレーニングはありません
逆に言うとそれほど難しいのですね。
全然場所は違いますが以前からご紹介している「立甲」も直接それをするためのトレーニングはゆる体操にはありません。やはり難しいのである程度専門的なトレーニングが必要だからです。しかし「立甲」のトレーニングをする前の準備運動的なトレーニングは当サイトでもご紹介させていただいたようにゆる体操の中にはたくさんあります。
同じようにウナの位置に乗れるようになるための基礎的な体操はゆる体操にはたくさんあるのです。
ですから足に問題を抱えている方は、焦らず足回りの体操をじっくりやってゆるんだ体を作ることが大事です。
ですが本当の事を言うと、いわゆる「反り腰」の方や見た目がそれほど反ってはいなくても単に腰や背中が張っているだけで、背筋が後ろから体を押すような形になってしまうので重心は前にずれてしまいます。
ですから体全体を良くゆるめないと、足裏の位置だけを気にしてもとてもどうにかなるものではないのです。
とりあえずは寝ゆる黄金の3点セットをすれば足回りにつながる筋肉や腰回りをゆるめる事が出来ますから、何はともあれそこから始めるのが良いと思います。

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ゆる体操だけでも重心の位置は改善される

逆に中田ひろこの教室に通っていたサッカー少年が、特に足裏の重心の位置を直したりしていないのに足の疲労がとれ、パフォーマンスが良くなったという実例があります。
その少年は小学生低学年からサッカーをやっていて、6年生の頃には体がだんだんとつらいと思うようになってきたそうです。とうとう毎週治療院に通うような状態になり、心配したご両親が中田ひろこのゆる体操の教室に連れてきたのでした。
彼は私と同じように元々の扁平足だそうで、扁平足の人は正しい重心の位置に乗らないと足の疲労をためやすい傾向があります。サッカーのように激しいスポーツをやっているとなおさらその傾向は強くなります。
彼が通ったのはゆる体操初級の教室でしたので、基本的な体操をリードに乗ってするだけなのですが、彼は家に帰っても特に足回りのゆる体操に徹底的に取り組んでいたようです。
そうするとわずか2週間で毎週通っていた治療院に通わなくても良くなってしまったのです。その後サッカーでのパフォーマンスもあがり、チーム、監督から注目されるようになりました。
その後彼は中学に進んで忙しくなり教室に通えなくなりましたが、中学でもハイレベルのチームに進めたそうです。
彼の場合扁平足と言うハンデがあるので普通に他の人と同じメニューをしていては足に疲労をためやすい傾向があるのは仕方のない事です。
しかしこのようにゆる体操で全身と特に足回りをゆるめる事が、ハンデを克服しさらには他の選手よりも抜きんでてしまったという結果になったのでしょう。
足を使わない運動はおよそありませんので同じ事はすべてのスポーツに当てはまると思います。

まずはゆる体操で体をゆるめる事

このように基本的な全身のゆる体操に取り組むことで足回りの健康を取り戻し、さらに専門種目がある方はそのパフォーマンスが改善する事は十分に可能なのです。
とは言ってもやはり別の部位の体操をするより足回りの体操を中心にやった方が足回りの健康を取り戻すには当然効率がいいですから、近々それも定番の「10分シリーズ」でご紹介させていただく予定です。
ですが今すぐ何とかしたい!と言う方はやはり足回りと背中~腰をゆるめる事が出来る「寝ゆる黄金の3点セット」がお勧めです

寝ゆる黄金の三点セット【永久保存版】

もちろん立ち仕事でいつも足が疲れている方にも「寝ゆる黄金の3点セット」はお勧めです。
特にヒールを履くと足裏の重心の位置は前に行きやすくなりますから、そういう職場の方はゆる体操でよく疲労を取っておくのが良いと思います。

また、さらに進んで足裏の重心の位置について本格的なトレーニングをご希望される方は、十分にゆる体操をしてからゆる体操の開発元である運動科学総合研究所の「トップセンター」の講座に出られるとよいと思います。

足回りの機能を維持する事は超高齢化社会の観点からも大事です。日ごろからケアをして常に健康な状態でいるにはゆる体操が一番ですね!

  • ゆる体操をはじめとするゆるプラクティスは医療行為ではありません。よって足回りの諸症状に対する効果は個人差があり、この文章はあくまで私の個人的経験に基づくものです。また、この文章には医学に関連した話題も出て来ますが、そのすべてに統計的裏付けが保証されている訳でもありません。その点をご了承して頂いた上でお読みください。

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