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ゆるの効果は出ているのに脳疲労がひどい / 寝臥位センターってどんなですか? ゆるポータル質問箱【第16回】

ゆる体操コラム
お答えします!ゆるポータル質問箱【第1回】

こんにちは。ご投稿への回答をお届けします。今回の回答者はQ1が中田了平、Q2が中田ひろこです。

Q1. ゆる体操の効果は出ているのに反動の脳疲労でトレーニングに打ち込むことができない / よい動きはできるのに体調はむしろ悪化している?

大変長文のご質問でしたので、今回は質問を要約させていただきます。

要約

  • ①ゆるトレの効果は感じられ、良い動きもでてくるが、反動の脳疲労が酷い
  • ②脳疲労解消のメソッドをやっても、効く時もあれば全く気持ちよさを感じられない時もある
  • ③身体は動くのに、内臓等体調はむしろ悪化しているのでは?
  • ④③に関連してかお腹が鳴って困る また持病のアトピーが悪化した?
  • ⑤脳疲労が怖くてトレーンングに打ち込めない

実はこのような質問は大変多く、いままでも質問箱以外のゆるポータルのコラムやブログでそれとなく述べてきました。ですから、どれとどれを見て下さいという事も可能なのですが、これを機会にきっちりとお答えしたいと思います。ちなみにこの回答を作成するのに私は一度全文を書き直したりしたので、8時間程度の時間を要しました。この意味をよく考えていただけたら嬉しく思います。

ではお答えします。

まず大前提として、医学的な症状と思われるものについてはドクターよりアドバイスを受けてください。
これは全般的に言えることですが、病気に対してはまずはゆるトレーニングよりも医学的なチェックをすることが大事です。

ゆる体操・ゆるトレは、病気でない方が体調を整えたり、病気と戦っている身体を助ける「養生法」としての効果は期待できますが、病気を治す方法ではありません。

ですから③④に関しては、まだ相談していないなら、かかりつけのドクターに相談してみて下さい。

高岡先生の本にもゆる体操は治療行為ではないという事ははっきりと書いてあるのでよく確認してください。

またご質問の文章を読んで感じられるのは、ご質問者様は日頃からかなり疲労が蓄積しておられるのではないかという事と、トレーニングをする事でゆるむどころか固まる方向へと進んでしまっているのではないか、という事です。

トレーニングはゆるむようにやらなければいけません。

人間はその人の努力にかかわらず、トレーニングを積んでいるのに以前より身体が固まってしまうようなトレーニングをわざわざしてしまうという傾向があり、これを上達落下線の法則といいます。
これはだれでも陥ってしまう可能性があるので「法則」といわれているのです。

私が感じるところ、質問者様はこの状態になっていると考えられます。
そうなってしまう理由はいくつもありますが、最大のものは老化・疲労とマンネリです。
ご質問要約の③④に関しても、病的な原因がないならば、疲労や老化、さらにはマンネリによるマイナスの影響がトレーニングの効果を上回ってしまっている、と考えた方が良いかとおもいます。

ご質問者様は20年以上ゆるをやっていると言っておられますので、年齢も40歳以上かと思われます。

疲労や老化の面から言うと、この時期は仕事も責任のある立場に回されてストレスもたまりますし、年齢的にも老化が容赦なく襲ってくるので、いくらゆるトレといえども、今までと同じやり方でやっていては全く追いつかなくなります。

20代と30代は全く違いますし、30代と40代も全く違います。老化の度合いはどんどん早くなります。

間違っていたら申し訳ないのですが、ご質問の全文からは

「ゆるトレをやっているのに効果が出ない。」

という焦りが感じられます。

しかし、ゆるトレはゆるむようにやらなければいけません。焦っていてはゆるむはずがありません。 「良い動きが出来ているのに」と言われますが、多少良い動きができていても、健康が損なわれるようでは意味がないとお考えでしょうか。
ここはご自分が何を基準にするかです。
「良い動き」に本当に満足であるならば、それはトレーニングの効果です。筋骨格レベルのゆるが進んでいるという事でしょう。
しかし、「内臓の調子が悪い」ことに不満を感じるならば、単純に内臓〜細胞レベルのゆるが不足していると考えた方が良いのではないでしょうか?

ちなみに私は筋骨格レベルの自分の現在までの成長にはおおむね満足しています(結果には全く満足していませんが)。
しかし内臓~細胞レベルのゆるに関しては、最近になってようやくトレーニングしているという実感がほんの少し出てきたところです。
ですから、自分の現在の状態には全く不満です。

どちらにせよ、個人差はあるにせよ、効果が実証されているトレーニングで効果が出ない、ということは何かが間違っているのです。

それは先に述べた老化や疲労を考慮に入れていない、マネージメントの失敗が原因かもしれませんし、やり方そのものが原因かもしれません。

ゆる体操・ゆるトレのマネージメントとは

まずマネージメントの面から考えてみましょう。
その時どのトレーニングをするか、いわばメニューの選択はその人その人で当然異なります。適切なトレーニングを選ぶ、これはゆる体操・ゆるトレーニングで上達するための基本中の基本とも言える事です。
さらにゆるトレに限らず、疲労や老化とどのように付き合っていくか、そのマネージメント方法は大事な事です。
具体的には、あるトレーニングで効果が感じられない場合は、より簡単でコストパフォーマンスの高い方法をやってみる事がよいでしょう。

数字でいうと、50のリスクに対して100のリターンがある方法よりも10のリスクで30のリターンがある方法を選ぶべき、という事です。
もし疲労度が50のリスクに耐えられなければ、その方法はその時は全く効果をなしません(但しこれはあくまで例えであって、トレーニングの効果をこのように単純に数値化することはある意味危険です)。

これを踏まえた上で、今の状態をさらに上達するチャンスと捉えて、トレーニングのあり方を根本的に見直してみてはいかがでしょうか?

具体的には手スリスリ体操や全身スリスリ体操といったさすり系の体操や息ゆるに真剣に取り組んでみることをお勧めいたします。

ある方法が効くときというのはその方法が効く程度にはゆるんでいますし、効かない時は効かないぐらい身体が固まっているのです。

こういう言い方をすると身も蓋もないと思われるかもしれませんが、現実はそういうものですし、むしろそれに気づいて自分をきちんとマネージメントする事が上達への第一歩なのです。

さすりや息ゆるは簡単でローリスクですから、こういうメソッドで回復出来るほどその方法に真に熟達する事が肝心です。

ゆる体操・ゆるトレのマンネリ

次にマンネリ化についてご説明します。
何度も触れますが

「前より確実に体は動くようになったのに、体調は悪化しているのではないか」

とありますが、この一文からはご質問者さまがトレーニングに対して身体意識の3要素(ストレクチャー、モビリティ、クオリティ)の内、ストラクチャーとモビリティを重視している事が見受けられます。

逆にいうとクオリティに対する意識が欠けているように感じられます。
ただしこれは質問箱に質問をいただける皆様にかなり当てはまる事なのですが、一般的にゆるトレーニング全般に対してクオリティに対する意識が欠けている方が大変多いように感じられます。
身体意識の3要素のうちクオリティが欠けていると緩解性意識集中の状態になれません。
ですからクオリティを意識することは、初学の段階では「ゆるむこと」とほぼ同義です。
ここがマンネリ化を防ぐポイントです。ようするにゆるんでいないのですから、いくらトレーニングをしても、ある程度「良い動き」が出来たとしても、実は体は固まり始めています。それを防ぐのがクオリティで、ゆる体操でいうとそれは擬態語なのです。
「ダラー」とか「フワー」とか「プラーン」とか、こういう言葉がないと人はゆるむことができないのです。
さらに高度なトレーニングをされるならば、ただ擬態語を言っているだけでなく、自分のからだに染み込むように言う必要があるのです。

そのような事情により質問者様のような状況の方は、クオリティ重視でトレーニングをやってみると乗り越えられる場合があります(但し本当に上達してくるとストラクチャー・モビリティ・クオリティの3方向からのトレーニングが必須です)。

という事で、②の「脳疲労解消のメソッドをやっても・・・」というのは要するにクオリティの意識が欠けているのです。はっきりいってしまえばゆるんでいないのです。⑤も同じことと言えます。
高岡先生はご自身の動画のなかで、「気持ちよ」くとか、「ダラー」とか身体意識のクオリティ面に浸入するような操作言語を欠かすことはありません。もちろん私どものゆるポータル神戸の動画でも同じです。
ですから、動画をみながらやると、ご自分が意識しなくても自然に潜在意識でクオリティ面が活性化されます。ですがこの事に気づいていないと、自分でトレーニングするときはクオリティの意識喚起を忘れてしまいがちです。
ここを怠ると、高度なトレーニングをすればするほどものすごい脳疲労に襲われます。

さらに、脳は背もたれ首モゾモゾ体操等で物理的に刺激することも可能ですが、実体的に運動をする器官ではないので、クオリティが圧倒的に大事です。

内臓にしても、総合呼吸法の「リカバリー」等で直接アクセスする方法はありますが、息ゆるがちゃんとできていないと、効果は表面的なものにとどまってしまいがちです。

ですから一つ一つのメソッドに対してもっと謙虚になり、毎回新しい気持ちで望む事が大事だと思います。

これがマンネリを防ぐ最大の方法(=心構え)です。

これは私がいつも心がけている事ですが、高岡先生の動画を見ながら何かのメソッドをすると毎回毎回自分には自分の身体やメソッドそのものに対する謙虚さが足りないと思い知らされます。

自分一人でやっていると、どうしても自分の殻に閉じこもってしまって謙虚さも失いがちです。

運動科学総合研究所の宇天気功のメソッドには

「外を敬い、内を謙虚にす」

という言葉がありますが、

「20年やっているのだから効果が出ないはずはない」

とどこかで思っていませんか?

それが大きな落とし穴になっていませんか?

いままでやってきた積み重ねなどは結果であって、そこから上達するには常に新しい気持ちでトレーニングに接するべきですし、それができないようなメンタルや疲労の状況ではゆっくり体を休めたほうがましです。

簡単な体操に熟達する

繰り返しますが大事なことなのでもう一度詳しく言っておきます。
私は上達のカギはより簡単な「ローコスト・ハイリターン」のメソッドの効果を引き出せる事だと思っていますし、もちろん高岡先生もそのことにたびたび言及しています。

そうしていると、日常生活で常にそのメソッドに取り組めるようになります。

いくつか例を出してみましょう。

ゆる体操に「踵クルクル体操」があります。さらにゆるポータル神戸のスーパーウォーク歩道の動画ではハイテク版の「ハイテク踵クル」もご指導しています。高運動総研の高度運動科学トレーニングの動画ではそれがさらに「把由足転子回解法」へと発展していきます。
この3つの体操は見た目はほとんど変わらない体操です。

しかし「把由足転子回解法」はベースである踵クルクル体操がかなりのレベルで出来ていなくては、取り組むことすら不可能です。
脳が疲労している時にいきなりこの体操をやったとしても、狙う効果は得られないばかりか、さらなる脳疲労で体が固まってしまうでしょう。
こういう時はリードを聞きながらのんびりとした気持ちで踵クルクル体操をやった方がはるかに得られるものが大きいと思います。

疲労についてはどうでしょうか?
高岡先生はその著書である「高岡式超最強の疲労回復法」の中で、疲労の大部分は横隔筋の疲労が原因と述べています。ですから普段から横隔筋をよくトレーニングしておく必要があります。
横隔筋を鍛えるには呼吸法です。
呼吸法は慣れればどこでもできるものが多いですが、例えば総合呼吸法の「ヒンジ」「マッスル」さらには「メンブラン」や「トライアングル」といった横隔筋をはじめとした体幹のインナーマッスルを鍛える最難関クラスの高度な呼吸法に成功すれば、体幹部の奥深いゆるみが得られ、結果的に内臓もゆるんでくるでしょう。しかしこのクラスのメソッドを成功させるには同じ総合呼吸法の「ベース」ができなければ話になりませんし、「ベース」がいつでもどこでも出来るには普段から「息ハートロトロ体操」や「胸腹グードシッ体操」などに常に取り組んでいなければなりませんね。

そういった、ローコスト・ハイリターンの体操がその人の基盤となって脳が鍛えられ、より難しい「ハイコスト・超ハイリターン」のメソッドを成功させる事が出来るようになるのです。

ちなみにここに書いた事は常にわたしが心掛けている事であって、すでに出来てしまっている事ではありません。疲労がたまると息ハートロトロ体操でも背中がすぐに固まってしまいます。
ですが、少なくともこういった考え方が必要と思い、書かせていただきました。
長文のご質問なのでついこちらも長文になってしまいましたが、そろそろ話をまとめておきましょう。

  • まとめ
  • 効果がうまく出なくなっている時はまず上達落下線の法則にはまっていないか考えてみる
  • その上で老化と疲労が溜まっていないか、日常を見直してみる
  • マンネリを防ぐためにつねに新しい気持ちでとりくんでみる
  • できれば、自分より上手な人の動画を見ながらやってみる
  • 動画が見れなければ音声リードだけでもOK

中田ひろこのYoutube動画は無料でいつでも見られますので、疲れた時はリードを聞きながら息ゆるや全身スリスリ体操をやってみてはいかがでしょうか?

身内のことで恐縮ですが、全日本ゆる体操デモンストレーターである中田ひろこのリードはクォリティがよく練られていて聞いているだけでもゆるんできますよ!

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Q2. 中田先生は寝臥位センター錬成法をやっているということでしたが、どんなトレーニングをしているのか教えていただきたいです。

「寝臥位センター錬成法」とは、高岡先生ご指導の講座のひとつです。ご質問者はこの講座に興味があって、受講を検討なさっているのだと思われます。

ご質問者は私が講師をしている有料動画(ゆる体操中級)の受講者であり、私はこの方が日頃どういうトレーニングをなさっているかを少しは存じ上げていますので、それに沿ってお答えします。

寝臥位センター錬成法は、まだ座ったり立ったり出来ない時期の赤ちゃんが行っているセンタートレーニングですので、講座名の通り寝た姿勢で行います。

仰臥位が多いですが、横臥位のものもあります。

寝転んで行うので、かなり楽です。

私は寝ゆるの後についでにやったりします。

また、仕事を前にしてセンタートレーニングをしたいけれども、疲労が溜まっていて立位のセンタートレーニングはちょっとキツいなと感じる時などに重宝しています。

○○さんも日頃は寝ゆるが多いとのことですから、寝臥位センターを習われるとトレーニングが充実すると思います。

具体的なやり方は、守秘義務がありますのでお伝え出来ませんが、基本的に楽しくて、のびのびとリラックスしてできるメソッド群です。

歩道や軸タンブリング等、立位で作るセンターに比較すると、フワッと柔らかいクオリティのセンターになりますよ。

寝臥位センター錬成法が発表されたのは、たしか10年以上前のことで、私はその頃から全講座(初級、中級、上級)を受講しています。

自主トレとして今でも一番良く自宅で行っているのが、最初に習った「仰臥天空真双法」と「横臥回平軸研磨法」の二つです。どちらも高度運動科学トレーニング動画サイトにある『寝臥位センター錬成法 I 初級』に収録されています。

外部リンク

その講座、今は何とたった9,000円で受講できるのですね!内容からは信じられない料金です。その点からもおすすめします。ぜひ取り組んでください。

今回のQ&Aは以上です。

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