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身体意識の低い人に触れられると自分の身体意識はどうなりますか?ゆるポータル質問箱【第14回】
こんにちは。ゆるポータル神戸の中田了平です。ゆるポータル質問箱へのご投稿への回答をお届けします。
Q1身体意識の低い人に触れられるとこちらの身体意識も低くなりますか?
逆に高い人に触れられると上がりますか?
結論から言うとこのような事は起こり得ます。
もっと言うと、触れる触れない以前のレベルで、同じ場を共有しているだけでそういうことはあり得ます。
しかし現実の結果は身体意識の高い低いのレベルよりも、お互いの信頼関係に左右される要素がかなり大きくなるとおもいます。
例えば身体意識の高いスターの公演やコンサートに行っても、そのジャンルに全く興味がなければこちらの身体意識が高まる事はないでしょう。
また、スティーブ・ジョブズは非常に高いレベルの身体意識を持っていたことが高岡先生の書籍で公開されていますが、長時間一緒にいると大変に疲れるタイプの人だったことが回りの証言でよく言われていますね。
逆にそれほど身体意識が高くなくても、気が合う仲間同士が集まれば快適な時間を過ごすこともできます。むしろ快適な時間を過ごすことによって身体意識が高まるという事はよくある事です。
学生の活動などで思いもかけない良い結果が出てニュースになったりする事はよくありますが、これはそういう場合の一例だと思います。
少し難しくなりますが、これは身体意識の理論で言う「リバース」がお互いにかかっているかどうかで結果がかなり違ってくる、ということになりますね。
ただ、ゆる体操も達人調整もそういうところとは別に自分がゆるむ事によって相手からの影響を受けにくくする事もできますし、ゆるみがすすむと自分が気にしていなくても自分のゆるみが相手につたわる事によって場の雰囲気が良くなることもあります。
このように状況によって結果はいくらでも変わりうるものだと思います。
Q2. 飲み物を注ぐ時にセンター・トゥ・センターを意識するとかえって味が崩れる気がします
今回は長文のご質問でしたので、まず全文をご紹介いたします。
飲み物を注ぐときのセンタートゥーセンターについての質問です。
コーヒーを淹れる時やワインを注ぐ時に,どうしてもCtoC(回答者注 センター・トゥー・センターの意味、以下、この表記で)を強く意識して行った時は優れた身体意識が出ない,崩れてしまったような味わいになりやすいような気がしました。
不思議に思っていたのですが,調べるとその飲み物の身体意識のポテンシャルを超えてCtoCをやりすぎると,飲み物の身体意識を壊す可能性があるという話があることを知りました。
ただ,私が「極意注ぎ」の通常の手順を丁寧にやると大抵のもので味が崩れてしまうため,私の場合は丁寧に行おうとしているときに意気込んでしまってセンター(と思っているもの)の質が硬く悪くなっているために味が悪くなっている可能性があるのではないかとも考えました。
質問としては,原因が前者のポテンシャルの問題である場合,どのように調整をして注げばいいのでしょうか.自分のセンターはしっかりと通した上で,ワインボトルなどとのセンターを合わせる意識を弱めるのか,自分のセンターそのものの意識を弱める(?)のか
また後者の,そもそも自分のセンターの質が意気込みなどのせいで悪くなってしまっていることが原因で明確に味が崩れるという場合があるのかということをお聞きしたいです。
長文の質問で申し訳ありませんが,ご教授いただけると幸いです。
よろしくお願いいたします。
お答えする前に私は高岡先生から直接「極意注ぎ」を学んだことは無い事をお断りしておきます。ですが、講座中に話題としてお話を聞いたことはありますし、直接教わった方から色々な情報を聞いた事はあるという立場でお話ししたいと思います。
また、「飲み物の身体意識のポテンシャルを超えてCtoCをやりすぎると,飲み物の身体意識を壊す可能性がある」というお話に関しては、こちらで文献が確認できないので今回は言及を避けたいと思います。
今回は大変に繊細な内容を含みますので、現在のところの私の見解と軽く受け取っていただければと思います。
まず全体を読んで感じた事は「身体意識を能動的にコントロールしようとしすぎている」ということです。
ご質問に
「コーヒーを淹れる時やワインを注ぐ時に,どうしてもCtoCを強く意識して行った時は優れた身体意識が出ない,崩れてしまったような味わいになりやすいような気がしました。」
とありますが、気になるのは「強く意識して」と言う部分です。
そもそも普通の場合、「強く」意識すると視聴覚的意識(映像を自分の頭の中にイメージする状態)になりやすい性質があります。
視聴覚的意識が強くなると緊張性意識集中の状態になりやすく、結果的に自分は一生懸命意識している状態でも身体はどんどん固まっていくのです。
「極意」は緩解性意識集中の状態でないと生まれてきません。
ですから私は気合を入れて極意注ぎをするときは、まずは体をゆるめて静止立位で自然とセンターが立ち上がってくるのを待ちます(もちろん調子によってセンターの出来具合には差があるものです)。
例えばコーヒーを淹れる時、調子の悪い時はケトルを持っただけで背骨が固まって垂軸がわからなくなったりするので、ケトルを持ってそれを傾けて、しかも一般に言われる美味しいコーヒーの注ぎ方を守って・・・、とするだけでも実はかなり困難な運動です。
対して調子の良い時は、自分が何も考えなくてもポットやお湯の状態に合わせて勝手に身体がセンターをキープしてくれます。
ゆるんでいればいるほど、ボトルやケトル、さらには流れ出る液体と自分の関係が自分のセンターとの相関として不思議とわかるようになるのです。
その時、自分のセンターだけでなく、お湯のセンター、ポットのセンターがそれぞれ自然と良い関係になっているのが感じられますが、こういう時のコーヒーはまず間違いなく美味しいです。
今回はわかりやすく身体意識の3要素の内のストラクチャーの話を中心にしましたが、クオリティ、モビリティに関しても基本的に同様です。
加えて言うとその飲み物に関する具体的な情報は大変に重要です。
コーヒーの美味しい注ぎ方、お湯の温度や好みの分量などの情報のことですね。
またワインなどの飲み物は大変に繊細ですから、何もしなくても抜栓してからの時間や温度で味は変わります。
ですからそもそも常に比較できる程度の安定性をもって注ぐという事は実は大変専門的な作業と言えます。
これを考慮すると、そもそもことの初めから毎回味は変わる前提で取り組まなければなりません。
私はコーヒーに関しては数種類の銘柄を一日3〜4杯飲みますが、同じ銘柄で上手く入ったとしても毎回味は違います。
しかも先ほど述べたような本当の意味の「良い関係」でコーヒーを淹れることができるのは100回に1回ぐらいでしょうか?
そして「極意注ぎ」を行って得られる結果というものはこのような具体的な技術を取り去った真奥にあるものなので、少なくとも「強く意識して」といった意識状態では感じることは難しいと思われます。
それを考えてみると、高岡先生の映像講座では「さりげなく」意識して、ということがよく言われていますよね。
ですから、色々と頭で考えるのではなく、結論は勝手に身体がコントロールしてくれるまでゆるむこと、少なくとも私は、それがゆる体操や高度運動科学トレーニングを実生活に応用する時に最も大切なものだと思って普段からトレーニングしています。
あとは上手くいっても失敗しても入った飲み物の味を楽しむ、これが上達のコツかと思われますが、いかがでしょうか?
結局自分の身体意識以上の仕事はできないのですから。
今回のQ&Aは以上です。
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