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脳疲労には気をつけよう

ゆる体操コラム

皆さんこんにちは。

突然ですがゆる体操で「脳疲労」を経験したことがありますか?

これは特に身体機能の開発としてゆる体操に取り組んでおられる方によく見られる現象です。

今日は意外に知られていない「脳疲労」に関する話題と私の体験をある程度ゆるプラクティスに打ち込んでいる方に向けてお話ししたいと思います。

1.ゆる体操で脳が疲労する

「ゆる体操は疲れを取る体操でしょ?疲労なんかするの?しかも脳?」

という声が聞こえてきそうですね。

皆さんは頭が疲れたと感じる時どの部分が疲れますか?
普通は頭の前側ではないでしょうか
しかし、ゆる体操で疲労する部分はなんと脳の奥、または横側や後ろ側です。

少しご説明しましょう。

確かにゆる体操は疲労を回復する効果のある体操ですが、意外にも脳をよく使う体操でもあります。

ゆる体操にはモゾモゾ、クネクネなど普段はあまりしない動きがたくさん含まれていますね。それをすることによって、体の中で使っていないところを動かすようになるのでコリが取れて代謝が改善し、その結果疲労が取れる効果があります。

しかし、普段動かしていないところを動かすということは実は脳を酷使する運動なのです。

こういう運動は、一般的にスポーツのフォーム練習などと比べても脳をものすごく使います。フォーム練習では普通は自分の使えるところだけを使い、体の中で使えないところを使うようには(指導者が指摘して適切に指導すれば別ですが)普通はなりません。ですから運動することで体は疲労しますが、脳はそれほど疲労しません。

ゆる体操で体の使えないところを使おうとすると、脳の中でも大脳の運動野、体性感覚野というところや、さらに小脳などの下位脳と言われる部分をよく使います。

脳の機能局在
脳の機能局在性

ですから勉強や仕事で疲れた時とは違い、脳の奥の方や後ろ側が疲れることが多いのです。

「ちょっと待って、そもそも体の中の使えないところって何?」

という声も聞こえてきそうですね。

使えないところの代表例は背骨まわりや肋骨まわりです。

こう言うとさらに意味がわからなくなる方もおられるかもしれません。

背骨や肋骨を使うとはどう言うことでしょう。

ゆる体操をやっておられる方は思い出していただければ良いですが、背骨や肋骨を使う代表的な体操は「魚クネクネ体操」や「いるかクネクネ体操」です。

ゆる体操でよくあるモゾモゾやクネクネという擬態語は、実は背骨や肋骨を使う運動をした時の感覚を擬態語で表現していたのですね。

では皆さん日常生活の中でゆる体操以外に背骨や肋骨を動かすことがあるでしょうか?

実際のところほとんどないのではないでしょうか?

体を動かす時、実際に動かす命令を筋肉に出すのは脳です。脳は大量のエネルギーを消費する器官なので無駄にエネルギーを消費しないために、出来るだけ効率よく働こうと(サボろうと)する性質があります。

ですから普段使っていない部分はいきなり使おうと思っても脳がなまってしまっていてすぐには使えなくなってしまいます。

普段運動していない人がいきなり運動すると体が疲労するように、ゆる体操で背骨や肋骨を使ったりすると実は脳の方が疲労してしまいます。

とは言っても初級教室でゆる体操をする場合は脳が疲労するというマイナスの効果よりも、代謝がよくなり血流が良くなるプラスの効果の方が大きく上回りますので、結果的に頭も体もスッキリするということになるのですね。

これがゆる体操でも裏メカ裏テクを使う中級教室や、同じゆるプラクティスのスーパーウォーク歩道ではさらに精密な動作が要求されてきますので、うまくやらないと脳を使い疲労するというデメリットの方が代謝を改善し疲労を回復するというメリットを上回ってしまい、結果的にトレーニング後に脳疲労が残ってしまうことがあるのです。

2.ゆる体操は脳機能の開発メソッドである

これは裏を返すと、ゆる体操をはじめとしたゆるプラクティスのメソッド群は脳の機能を開発するメソッド、いわゆる「脳トレ」であると言うことが言えます。

一般のイメージでは脳トレというと記憶力や読解力など、大脳の機能のうち特に人間らしい能力を鍛えるイメージがあると思いますが、大脳は記憶に限らず様々な機能を持っていますし、もっというと大脳に限らず内臓のコントロールなども大脳以外の脳の一部が担っていますので、大きく捉えるとそれらを鍛えるのも脳トレということになります(ちなみに内臓のコントロール能力は息ゆるなどのゆる呼吸法を行うと鍛えることも可能です)。

体の動きをコントロールするのも脳なので、運動を上達させようと思えばその運動に必要な脳の機能を鍛えなければなりません。一時脳トレと称して色々なパターンの記憶力を鍛えるゲームソフトや書籍が流行ったことがありましたが、これらの脳トレでは(当然のことながら)運動機能は鍛えられません。

本当に脳を鍛えようと思えば、ゆる体操のように体を動かしながら声も出しながら・・・、というように総合的に脳を使う必要があるということなのですね。

ということで、ゆる体操やスーパーウォーク歩道、さらにゆる筋トレなどに打ち込んでいくと体よりも脳の方が疲労するということが起こります。

3.脳疲労した時の感じは?

さて脳疲労した時の感じなのですが、だれでも普通に長時間頭を使った時は頭が重くなった感じがすると思います。基本的にはそれと同じなのですが、先ほども申し上げたようにゆる体操で脳疲労した時は同じ脳でも使う部分が違うので疲れる場所が違います。

具体的にいうと脳の奥や横側、後ろ側の方に疲労感があります。

また内側から眼球が押されているような感覚があったり、ひどくなると目が飛び出しそうな感じがしたりします。

さらにひどくなってくると下位脳が疲労してきます。具体的には小脳付近から背骨の方に向かって疲労感が溜まっているような感じがすることもあります。

どちらにせよ実感としてはどのパターンも猛烈に不快で仕事やトレーニングどころではありません。

でもこういう経験を(しない方が良い、というか本来はしてはいけないのですが)何回かしていると、普段でも体調の不調を感じた時それが下位脳由来の疲労であっても正しく認識できるようになります。

脳の疲労でもそれがどこからきているか原因が感じられるようになると、ブレインゆると言って脳の疲労をとるゆる体操がいくつかあるので、ある程度対応できるようになります。

そもそもゆる体操は脳疲労が起こりにくいようにできている(ローコスト・ハイリターン)のですが、それでも自分の能力を上げるために中級レベル以上で取り組むとやはり脳疲労はしてしまうものです。

そして先程のように本当に芯から脳が疲れてしまうと何もできなくなってしまうのでこの辺りは気をつけたほうがいいです。

4.脳疲労を起こさないように

体をゆるめるのも結局は脳の作用ですから、脳が疲労してしまっては体がゆるむことはありません。ですから脳疲労を起こさないように自分に合ったペースで行うのが基本となります。

ここでは私が感じている脳疲労にまつわる注意点をあげておきます。

こういう感覚があると危険ですよというようなことです。それは、

  • 一点集中している感じがある時
  • ゆる体操をやってもなかなかゆるまない時

です。

こうして並べて見るとなにか正反対のことのような気がしますね。これはあくまで「感覚」なので個人差はあると思いますが、これらは二つとも脳疲労を起こしている、起こしつつある時の典型的な感覚です。それをご説明します。

4−1.一点集中している感じがある時

集中していたらいけないの!?という声が聞こえてきそうですが、大抵の場合(特に一点集中)はいけません。これは緊張性意識集中と言って普通の人が集中していると感じられる時は脳の一部しか働いていない状況で、他の部分はすでに疲労して(あるいはもとから)使えていない場合が多いです。

いわゆる目の前のことしか見えなくなっているような状況ですね。

一方これに対してもとからゆるんでいるような人達は、緩解性意識集中と言って集中していても脳の色々な部分がよく活動している状態で、これは一点に集中しているような状況とは(感覚的にも)違います。

サッカーの試合などでよく見られますが、格下のチームがリードしている状況で勝てそうかな?と思ったら一気に相手にスイッチが入って逆転を許してしまったような状況ってありますよね。

まず序盤リードできる状況に関して説明すると、格下のチームは大判狂わせを起こすために最高の準備をしてきますので、前半はある程度体も脳もいい状態で臨むのに対して、格上のチームは今後を見据えてコンディショニングしてきますので、まだ全開のコンディションではないということが理由として挙げられます。

サッカースタジアム

では、なぜ万全のコンディションが90分間続かないのか?

それは、格下のチームと格上のチームでは集中の中身が全く異なるところにあります。

同じ集中でも格下のチームは緊張性意識集中、格上のチームは緩解性意識集中なのです。

緊張性意識集中は全身が硬くなった状態での集中なので脳がものすごく疲労してしまって長時間は維持できません。

それに加えて緩解性意識集中は全身がゆるんだ状態での集中なので、酸素も潤沢に脳にまわり長時間維持することができます。

ですから後半、特に残り5分のような極限状況では集中力に大きな差が出てしまい、そうなってしまうと中々戦術などの工夫だけでは取り戻すことができないので逆転を許してしまうのです。

余談ですが、サッカーの前後半45分という時間設定は絶妙に感じます。
なぜかというと人間は、緊張性意識集中ではおそらくサッカーを45分続けることは出来ないんですね。ですから試合終了間際にドラマが起こるのです。
サッカーのルールを決めた人が意識の集中に緊張性と緩解性があるという事に気づいていたとは思いませんが、おそらく経験的にドラマが起きやすい時間設定を選んだのでしょう。
これが仮に前後半30分だと緊張性意識集中でもなんとかなってしまって、いわゆる「ジャイアントキリング」がもっと起こりやすいかもしれませんね。

話を元に戻しましょう。
意識集中での「緩解性」と「緊張性」のもう一つの大きな違いは緊張性意識集中の状態では集中しようとすればするほどまわりが見えなくなる事と、しかも緊張性意識集中ではむしろ脳疲労しやすいので、逆に脳疲労のために集中できないという状況に追い込まれます。

ですから、普通の意味で集中していると思っているときはすでに脳は疲労しているのです。

この話で肝心なのは普通の感覚では緊張性意識集中が良い集中の仕方と思っているところです。

同じ集中でも緊張性意識集中と緩解性意識集中では集中の質そのものに格段の違いがあるのです。

要するに緊張性意識集中では(実は)たいして集中ができていないにも関わらず集中していると思っている(昔の言葉で「木を見て森を見ず」といいます)、そして体は固まっているような状態なので脳に血液も酸素も回らずすぐに脳疲労してしまうのです。

これは自分がずっとそうだったので(今もほとんどの場合はそうですが)はっきりわかります。

逆にそうでない(緩解性意識集中)の状態がわかってくると今までの自分の集中している状態がいかに無駄なエネルギーの浪費だったかがわかってきます。

それも自分が何度も指摘されながら徐々に気づいていくものですね。

というわけで、普通の意味で集中しすぎている感じがある時は大抵後になって脳が疲れてしまい良くありません。

これを防ぐには普段からゆる体操で擬態語を声に出してやるということが、最もやさしくしかも基本的で重要な改善方法です。

擬態語は脳の様々な部分を関連付ける働きがあると言われています。ですから脳の一部分に集中するのではなく、全体をバランスよく使う状況を作ってくれるのです。

一度寝ゆる黄金の3点セットを声に出してやってみて下さい。

寝ゆる黄金の三点セット【永久保存版】

声に出さないでやった時と、声に出してやった時は終わった時の感じが全然違うと思います。
声に出してやったときは体がホワーン、ジワーンとして何とも気持ちい感じがあると思うのですが、実はこれが緩解性意識集中の状態です。
人によってはこれが集中?と思う方もいるかもしれませんが、この状態でスポーツや楽器、読書や勉強などをするとその人のベスト、少なくともベターなパフォーマンスが出やすくなります。
このように緩解性意識集中と緊張性意識集中は全く感覚が異なるので注意が必要です。

4-2.ゆる体操をやっても中々ゆるまない時

これは先程の緊張性意識集中の状態でゆる体操をしているか、何らかの理由ですでに脳疲労をしていることが考えられます。

中級などで裏メカ裏テクを知ってしまうと、体操をしながら色々と部分部分を意識することが増えるのでどうしても緊張性意識集中の状態になってしまいます。

裏を返すとこれは、いきなりゆる体操に関する難しい知識を知ってそれに注意しながらやっても知識の分だけゆるむとは限らないということになります。

ですから当サイトでは初心者の方には初級をじっくり受けてもらってゆる体操でゆるむ感じを掴んでもらってから中級に進んでいただくようにしています。

やはり基本の基本は初級にあるのですね。

ゆるポータル神戸のYouTubeチャンネルより
楽しくゆるめる初級教室の動画です

またそれ以外では気付かないうちにすでに脳疲労しているという場合があります。

脳といえば大脳のイメージが皆さん強いのですが、脳には色々な機能があって例えば体温調節も大事な脳の機能です。

ですから夏場など高温の状態では体温を維持しようと脳がフル活動しますから、脳疲労してしまいます。
また風邪や寝不足なども脳疲労する原因ですし、運動不足やスマホ・PCのやりすぎも脳疲労の大きな原因になります。

軽度ならゆる体操をすると体がゆるんで回復しますが、知らない間に脳疲労が根深くたまっているような状態だと、こういう状態のまま回復目的でゆる体操をしても中々ゆるんでくれない場合があります。

実をいうと私もマルチワーカーで休息の時間がほとんどなく、睡眠時間も少ないので脳疲労が取りきれないままトレーニングをすることがよくあります。

私の場合ある程度トレーニングを積んできているので全然効かないということはないのですが、やっている途中から脳疲労し出したり、ある程度効果が出ても体操をやめるとすぐに体が固まり出してしまったりします。

こういう時はブレインゆるでよく脳疲労をとるか、どうしてもダメな時は諦めて(笑)寝たりします。

ただひたすら取り組むだけでは限界もあります。
マネージメント能力も必要という事は仕事と同じですよね。

4.まとめ

このようにゆる体操を含むゆるプラクティスは実は脳を酷使する最強の「脳トレ」でもあるので、脳疲労とどう向き合うかが良いトレーニングを積み重ねる大きなポイントになるのです。

この文章を読んだ皆さんも

そういえばこれって脳疲労かな?

と思い当たる節があればぜひ参考にしてみてください。

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中田ひろこ@ゆる体操

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