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「気合いを入れて一生懸命」がダメなわけ〜緩解性意識集中について〜

ゆる体操コラム

こんにちは。ゆるポータル神戸の中田ひろこです。先日、こういうツイートをしました。

ときどき次のような質問を受けます。

ゆる体操に日ごろよく取り組んでいます。解剖学の本も見つつ、ゆるめたい筋肉や関節に集中しながらけっこう一生懸命やっているのですが、やったあと、正直あまりゆるんでいる気がしません。・・・どうしてでしょうか?

お答えします。それは「一生懸命」やっているからゆるまないのです。

でも、「一生懸命やることのどこが悪いんですか?」と問い返されそうですね。

一生懸命やると、体が固まってしまいます。「なんとかしなきゃ」「何が何でもやらなきゃ」という必死の思いは、人情的にはよくわかりますし、共感できますが、体が固まってしまって本来の能力を封じ込めてしまい、逆効果に終わるのです。

このような集中の仕方をゆる体操の専門用語で「緊張性意識集中」と言います。

いっぽう、気合いをいれないで、フワッと、サラッと何気なくできると、体がゆるみ、脳もよく働いて本来の能力がいかんなく発揮できます。超一流の人に多いタイプです。

この、

フワッと

サラッと

何気なく集中することを「緩解性(かんかいせい)意識集中」と言います。

ゆる体操を一生懸命やっているのにゆるまない

私はゆる体操の指導を始めてからこの記事を書いている時点で14年目になります。

今まで多くの人をご指導してきましたが、時々、真面目に取り組んでおられるのに「もうひとつゆるんでいる感じがしません」というご相談を受けることがあります。

そういう人によくうかがうと、たとえば「膝コゾの時は、いつも腸腰筋で脚を動かせるよう、よく意識しながらやっています」とおっしゃるのですが、

・・・残念ですが、それではゆるまないです。

たしかにこの体操を上手にできるようになると、腸腰筋が使えますが、腸腰筋は腰腹部の奥のほうにあって、その存在を意識するのはそもそも非常にむつかしいのです。

腸腰筋
腸腰筋は腰腹部の深いところにあり、感じることはむつかしい

ましてやそれを動かすというのは、大変な努力が必要ですし、そもそもゆる体操の初心者のうちはできません。

その難しいことを一生懸命やっているのですから、体にも脳にも大きな負担がかかり、結果的に体はゆるまないのです。 緊張性意識集中になってしまっています。残念ですね。

その逆にとくに何も考えず、ただダラ〜ッと「コゾコゾ、・・・コゾコゾ」とやって、教室の先生が「みなさん、どうしてコゾコゾっていうのか、知ってますか?膝コゾウ(膝小僧)を使うからなんですよ」という、もう何十回聞いたかわからないジョークに「ぷぷっ」と吹き出しながらやっている人の方がはるかにゆるみます。

こういう風になんとなくフワッとやっていると、体がよくゆるみます。緩解性意識集中の状態にうまく入れているのです。

これはもう、現場で数限りなく実例を見てきている私が断言する真実です。

緊張性意識集中とはそもそもが痛みや危険を感じる時のもの

緊張性意識集中の典型
研修などでビシビシ締め上げられているのは緊張性意識集中の典型

みなさんが、たとえば廊下を歩いている時にうっかりタンスの角で肩を打ってしまったとしましょう。痛いですね。ズキズキします。いやでも意識が打った肩の部分に集中します。

これが緊張性意識集中なのです。

または、

たとえば、非常にきびしい雰囲気の研修などで、朝から晩まで締め上げられて、その上うっかり居眠りなどしようものなら罰則が待っている、というような環境だとどうでしょう。

集中していますがとても緊張して体も脳も固まっています。これも緊張性意識集中です。

体がゆるむわけないですよね。楽しくもないですし、つらいばかりです。そうした中で伸び伸びとした能力の発揮など望めないです。

日本は諸外国に比べると、どうも学校教育からこの緊張性意識集中を良しとする傾向があるようです。

ビシッと背中を伸ばして、むつかしい顔をしたり歯をくいしばって勉強やスポーツをする・・・リラックスできないですね。

でも、将棋のプロの藤井聡太さんなどはどうでしょう。対局中も、眉根にシワ寄せてギリギリ頑張ってる感じはゼロ。勝利後のインタビューでもいつもふわっとゆるんだ表情ですよね。天才的な人は勝負がかかっている時にでも、意外なほどゆるんでいます。

いや、大切な、ここ一番という勝負であればあるだけ、よりゆるみ、ゆるみきることができるのです。それが天才というものです。天才とは緩解性意識集中がとても上手い人たちのことです。

自律神経的にいうと、副交感神経優位で、とてつもなくリラックスしながら、同時に脳を強烈に使うことができるのです。そういうことは、体と脳の深いところからゆるゆるにゆるんでいてはじめてできることです。

緩解性意識集中(ゆるんでさりげなく集中すること)は、緊張性意識集中(気合いを入れてがんばること)よりもずっとハイレベルだと言うことを、これを読んでおられるみなさんはよく覚えておいてください。

ふっと笑うと体がゆるむ

天才でない自分みたいな人はどうすれば良いの・・・という声が聞こえてきそうですね。それにお答えします。

楽しい気分でふっと笑うと良いです。

そんな楽しいことなんてないよ、コロナのせいでもう大変だよ・・・ですか?その気持ちよくわかります。

でも何気ない、ちょっとした楽しいことって一つくらいは誰にでもあるはずですよ。

朝、すれ違った赤ちゃんと目が合ったら、にこーっと笑ってくれたとか。

スマホで見る大好きなアイドルの動画とか。

なんでもいいんです。ふっと笑えるものがあると、その分ゆるめます。

ゆる体操はこの「ふっとした笑い」を存分に生かした体操です。

下の動画をご覧ください。「脇フワモゾモゾ体操」です。

脇フワモゾモゾ体操(18:12~21:15)

「脇をきもちよくさすると・・・わ、きもちいい」(18:38あたり)と言ってますね。これ、わき(脇)という言葉の遊び、つまりダジャレです。

ここで「ふっ」と笑えると体が(やっている本人が意識していなくても)フワッとゆるむのです。

そしてさらに、「わ、きもちいい」とダジャレを言うことで、自然に脇の部分に意識が集中します。それも自然にごくさりげなく、です。

それで脇がふわ〜っとゆるんで開いてくるのです。

これを「ほらほら、脇をもっと開いて!おいお前、何やってんだよ、もっと集中しないとダメだろう、もっと一生懸命さすって開くんだよ!」なんて怒鳴られた日には(緊張性意識集中)絶対にゆるみませんよね(笑)

緩解性意識集中は明るく楽しい世界

赤ちゃんは緩解性意識集中の体現者
赤ちゃんはゆるんで開き切って、外界の情報を吸収する。緩解性意識集中が自然にできている

私のゆる体操教室では、前述のようなダジャレのほかにも、ちょっとした楽しい、笑えるお話をたくさんします。

それによって教室の中の空気が楽しい、のんびりとした心地よいものになってきます。

そうすると体操の効果がどんどん出てきて、終わった時に「わー、気持ちよかった〜!」「ほぐれた!」「また次の教室が楽しみ!」ということになります。

明るく楽しく、ほとんど無意識のうちにと言ってもよいくらい自然な形で体のいろいろなパーツに意識が集中し、ゆるみときほぐれてくる。そして健康になる。

いつもそれを狙って、そういう雰囲気になるように、緩解性意識集中を存分に使えるようにいつもトレーニングしています。

機会があればぜひご参加ください。

教室に来れない人はYouTubeにたくさんゆる体操を紹介していますのでご利用くださいね!

有料のレッスン動画ですと、もっといろいろ楽しくしゃべってます(笑)ので、そちらもよろしければどうぞ♪

まとめ

  • 意識の集中には「緊張性意識集中」と「緩解性意識集中」の二つの種類がある
  • 緊張性意識集中は体が固まる。緩解性意識集中は体がゆるむ
  • 緊張性意識集中はもともと怪我や危険時のもの
  • 天才は緩解性意識集中がうまい
  • 誰でも笑うと体がゆるむ
  • ゆる体操は緩解性意識集中で体を明るく楽しくゆるゆるにゆるめるように作られた体操

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!ご参考になればうれしいです!

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中田ひろこ@ゆる体操

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