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腹横筋を鍛えてお腹を絞ろう

ゆる体操コラム

みなさんこんにちは。ゆる体操やっていますか?

以前、ゆる体操で体型が変わるという話をしましたが、特に気になるのはお腹まわりですよね。

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このお腹ぽっこり現象ですが、意外に体重やBMIに関係なく出ている人は出ているし、少し脂肪があっても見た目全く気にならない人もいます。

お腹が出ているというと世の中ではすぐに「腹筋運動だ!」という意見が見受けられますが、いわゆる腹筋運動は腹筋群の中でも腹直筋を鍛えるもので、実は腹直筋を鍛えてもお腹は絞れません。お腹まわりを絞るには腹直筋よりも腹横筋を鍛える方が大事で、腹横筋はゆる体操で鍛えることができます。

ゆる体操なので簡単ですし、毎日やれば辛いダイエット(私はすでにリバウンドしつつあります・・・)よりも確実に効果が出るので、「夏に向けて痩せよう!」と思うよりは今からゆる体操でお腹絞ってみませんか?

今日は「ゆる体操でお腹絞り」についてお話しします。

腹横筋とは?

みなさん腹横筋と言われても聞きなれない方も多いと思います。

まずは以下の図をご覧ください。

腹横筋解剖図

腹横筋は腹筋群の中でも一番奥に位置する筋肉で、いわゆるインナーマッスルの部類に入れても良いと思います。

そして、一番有名な腹筋である腹直筋と腹横筋が大きく異なる点は2つです。

  • 1.腹横筋は腹直筋と違い筋繊維が横に走っている
  • 2.同じく腹直筋と違い、お腹まわり全体をほぼカバーしている

そしてこの2点が「お腹絞り」に非常に大事なポイントになっているのです。

一つずつご説明します。

1.筋繊維が横に走っている

ちなみに腹直筋は腹”直”筋と言うぐらいなので筋繊維は縦に走っています。縦に走っているので収縮させると体を折り曲げる作用があります。クランチと呼ばれるいわゆる腹筋運動は腹直筋を鍛えているのです。

それに比べて腹横筋はこれまた名前の通り筋繊維が横に走っているので、腹筋運動では全く鍛えられません。

ではなぜ、腹横筋の方がお腹絞りに大事なのでしょうか?

それはコルセットと同じ理屈です。

コルセットは肋骨から骨盤の間のお腹のまわりを横に巻いて、マジックテープや、紐で絞るような構造になっています。

要するにお腹を絞るにはお腹まわりを横に締める必要があると言うことです。

もう一度、腹横筋の図を見てください。

おお!なんと筋繊維が横に走っている!(←さっき言ったやん)

ということは、腹横筋を引き締めるとコルセットと同じ作用でお腹が絞れると言うことですね。

しかも左右対称にある筋肉ですので、体幹を安定させる作用があるのです。

体幹の安定というと2の「お腹まわり全体をカバーしている」というところも大変重要になります

2.腹直筋と違い、お腹まわり全体をほぼカバーしている

体幹を安定させるには腹直筋も大事なのでは?

と思われるかもしれません。確かにないと困るのですが、鍛え過ぎると色々と問題があるのが腹直筋なのです。

腹直筋を鍛え過ぎる弊害について今回は一つだけお話ししたいと思います。

腹直筋は腹筋運動でもお馴染みのように体幹を折り曲げる運動です。

ですので、腹直筋を鍛えて、しかも常に引き締めるような姿勢をしていると、必ず体幹を折り曲げようとする力が働きます。ですので、姿勢を良く見せようとすると同じ力で腰や背中にも力を入れないといけなくなります。

これは自分の意志とは関係なく物理的にそうなるので、腹直筋を常に意識して立っている人は同じように腰や背中にも力を入れて立っているということになるのです。

体の前も後ろも力が入っているとどうなるかというと、その分背骨が縮んで何となく寸詰まりの感じのする体型になってしまいます。これはヘルニアの原因になりますし、さらに歳をとって骨粗鬆症などになると、圧迫骨折の遠因となってしまいかねません。

逆に疲労で腰痛になると必ず腹直筋も一緒に固まります。アウターマッスルが固まるとその奥にあるインナーマッスルは意識しにくくなるという関係があります。ですので、腰痛になって腹直筋まで固まると奥にある腹横筋を意識することが難しくなってしまいます。

また、常に腰が反っている姿勢になると、疲れてお腹の力が抜けたときあっという間にお腹ぽっこりの姿勢になってしまいます。これは大変ですね!

人間は体を支持する背骨の位置が中心より後ろにある関係で、背筋の力を抜くと立っていられなくなる(とはいってもできるだけ抜ける方が良いのですが)ます。ですので疲れた場合は必ず背筋ではなく、腹筋側の力を抜いてしまいます。
いくら意識して頑張っても気が抜けるとお腹がぽっこり・・・というのは体型を気にしておられるみなさんはご経験があるかと思いますが、これは体の構造上仕方のない話です。
そもそも腹直筋を意識して姿勢を保持すること自体に無理があるので、うっかりするとあっという間にお腹ぽっこりになってしまうのです。

このように腹直筋を常に意識して引き締めておくのはそもそも無理があるのです。
頑張ってやり続けたとしても不要な根性が必要な上に腰痛になりやすいだけです。

その点腹横筋はお腹全体を左右から引き締めるように働くので、むしろ背中から腰の負担を減らしてくれますし、横隔膜筋と連動して内蔵の活動性が上がるので便秘の改善になるというオマケまでついてきます。

どうでしょうか良いこと尽くしの腹横筋、鍛えてみようという気になりませんか?

では次は腹横筋を鍛えるための具体的なゆる体操をご紹介しましょう。

腹横筋を鍛えるゆる体操

息ハートロトロ体操・息スーハートロトロ体操

え?鍛えるのに呼吸ですか?と思った方もいるかもしれません。

ですが、腹横筋は呼吸筋である横隔膜筋の拮抗筋(逆作用をする筋肉のこと)なので、呼吸で鍛えるのが一番効率が良いのですね。

しかし、腹横筋はインナーマッスル系の筋肉なので、表層のアウターマッスル系の力を抜いておかないとスイッチが入ってくれません。

ですのでまずは息ハートロトロ体操、息スーハートロトロ体操をよくやって体幹のアウターマッスルをゆるめておく必要があります。
特にこの二つは簡単で体にも良いので、毎日のメニューとしておすすめの体操ですよ。

お腹ペコポコ体操

お腹ペコポコ体操は息を吐きながらお腹を膨らませたりへこましたりする体操です。

ペコポコなので最後はお腹を膨らませた状態で息を吐き切ります。

え〜!?お腹を膨らませるの!?

と思う方もおられるでしょうけど、十分にへこませるにはよく膨らませることも大切なのです。お腹を膨らませる筋肉は横隔膜筋です。横隔膜筋は腹横筋の拮抗筋です。ですので横隔膜筋が上手に使えるとその拮抗筋である腹横筋も上手に使えるようになるのです。

そして、へこますことと膨らませることでは圧倒的に膨らませる方が易しいのです。

ですからペコポコ体操をよくやることは大事です。

そしてこのペコポコ体操は、「息を吐きながらお腹を膨らませる」という通常とは逆の動作で終わるようになっているので、横隔膜筋の筋トレの要素もあります。

横隔膜が強くなると疲労がとれ、、姿勢を保持する能力が上がるので、ここでぜひ横隔膜を鍛えておきたいところですね。

お腹ペコポコペコー体操

さて、本丸のお腹ペコポコペコー体操です。

この体操はまず息を吸って、次に息を吐きながらへこましたり膨らましたりして、最後にペコーと言いながら息を吐き切ってお腹を絞ります。

絞り切った後になんでもいいので声に出して何か話をしてみるといいです。

意外に簡単にできる感じがするのではないでしょうか?

そうするとお腹を絞った状態で日常生活ができるようになります。

腹直筋と違って腹横筋系のお腹絞りは体に無理がないことがお分かりいただけると思います。そして腹直筋系の運動は体が固まりやすいので「ゆる筋トレ」のような特別の方法でからだに負担がかからないようにされるのがよいと思います。

お腹ペコポコペコー体操に関しては当サイトインストラクターの中田ひろこが5月度の初級レッスン(有料:5月5日公開予定)で素晴らしいパフォーマンスを見せていますので、ご興味がある方は一度見ていただければと思います。

2022年5月ゆる体操初級レッスン動画 講師:中田ひろこ

まとめ

  • お腹を絞るには腹横筋トレーニングを
  • 腹横筋のトレーニングは息ゆるで
  • 腹直筋系の運動は慎重に!

このように腹横筋を鍛えていつも意識できるようになることは、美容・健康のためには実は必須と言えます。

ただ、健康面で言うとお腹をへこますことも膨らますことも両方必要なのです。

ちなみに私はすっかりリバウンドして元の体重に戻りつつあります(所詮ダイエットなどはそう言うものです笑)が、この間仕事の昼休みにトレーニングをして、午後の仕事に戻ると

「中田先生最近痩せました?」

と看護婦さんに聞かれました。

ちょうどそのときお腹まわりを中心に軸(=センター)系のトレーニングをしていたので、全体的に体が細長く見えたのだと思います。

このように、へこます・ふくらます、どちらも自由にできる体になった上で、外出するときはへこます、といった便利な使い方ができるといいですよね。

さあ、これで夏対策もバッチリですよ!

※文中の横隔膜”筋”という言い方は医学用語としては正確ではありませんが、ゆる体操では横隔膜も鍛えるべき筋肉として捉えていますので、このように表記しました

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