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「裏転子」生活のススメ

みなさんこんにちは。

突然ですが「裏転子」という言葉をご存知でしょうか?

このサイトにこられている方ならご存知かも知れませんね。

「裏転子」は運動科学者である高岡英夫先生が発見された身体意識の一つで太腿の上部からお尻の下部にかけて帯状に存在する身体意識のファクターです。

股関節を強力に後ろに伸展する役割がある身体意識で、結果身体を前方に強力に押し進めることができるようになります。

この「裏転子」ですが、簡単なゆる体操で身につけることができるにもかかわらず、「寝ゆる黄金の3点セット」などに比べるといまいち注目度が低いような気がするんですよね。

今回は「裏転子」と「裏転子」を身につけるとどれぐらい良いことがあるのかという点についてお話ししたいと思います。

1.裏転子ともも裏

近年、スポーツ特にサッカー界では、高岡先生のいわゆるサッカー本により腿裏を使うことの重要性が浸透してきました。

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このもも裏を最も効率的に使わせる身体意識が「裏転子」です。

詳しい説明はサッカー本を読んでいただくとわかるのですが、裏転子は軸(=センター)や3丹田と同じく人間にとって最重要とも言える普遍的な身体意識ですので、誰にでもあった方が良いものです。ですのでサッカー以外のスポーツや、またスポーツをしないという方々にもまずは裏転子の重要性を知っていただきたいと思います。

以下はバイオメカニクスの説明を含みますので、そのような話が苦手な方は2.裏転子があるとこんなに楽しいへ進んでいただいてもいいですよ。

1-1.人体最強の前方力

人間が移動するには体を前に進めなければいけません。そして体を前に進めるには体幹部に対して大腿骨を股関節周りで伸展させる必要があります。

そして大腿骨を伸展させる筋肉はハムストリングスと大臀筋なのですが、その両方を効率よく使おうと思えば、裏転子の位置にベルト状の意識があるとうまくいくのです。

これが裏転子が決定的に重要な理由です。

誰でも裏転子がある方が歩くこと自体が効率よく楽にできるようになるので、人生全体というスパンで考えれば、スポーツ選手に限らず誰にでもあった方が人生が楽に過ごせるということになります。

たとえば後期高齢者以降の年齢の方々にとって裏転子があるのとないのとでは、残りの人生の「質」に決定的な差が生まれてしまいます。

具体的には裏転子が強ければ強いほど歩く能力が維持されるので、多少筋力が衰えても若い時と同じように日常生活をおくることができます。

このように裏転子は誰にでも必要な身体意識なのです。

次は人が前に進むということをさらに詳しく見てみたいと思います。

1-2.前に進むとはどういう運動か

まず人間が前に進むという運動がどういうものか改めて説明したいと思います。

年をとって歩行能力が落ちてきた方が

「最近足が前に出なくって・・・」

とおっしゃるのをよく聞きますね。しかし歩くとき、走るときに重要なのは足を前に出すということではありません。

足を前に出すというのは実は二次的な運動で、人が前に移動するときに最初に必要なのは軸足を後ろに送ることです。

みなさん片足で立ったまま軸脚と反対の脚を前に出して下さい。そうすると出した方の足が地面から浮いてしまって、それで前に移動するには体を倒して足を接地しなければなりませんね。

これでは

  • 脚を出す
  • 体を倒す
  • 後ろの脚を引き付けて前に送る

の3アクションが必要になります。

では「軸足を後ろに送る」のはどうでしょうか?

慣れないと難しいかも知れませんが、これができると

  • 軸足を後ろに送る

1アクションで体が前に移動します。

(理屈で言うと反対の足をわずかに浮かすという動作があるのですが、裏転子があって軸足を後ろに送る動作ができると、反対の足は自然に浮きます)

このように軸脚を後ろに送る運動は脚を前に出すという運動に比べて非常に効率の良いやり方なのです。それに比べて脚を前に出すやり方は、効率が悪い上に脚を接地するときに体重が膝に余分にかかりやすいので膝を痛めやすいという欠点もあります。

そしてサッカー本を読まれた方にはおわかりだと思いますが、足を前に出すという歩き方は典型的なもも前歩きです。

ですので、歩くという運動に二つのやり方があるというよりも、脚を前に出して歩く、という感覚がある人はすでに歩き方がおかしくなってしまっているということです。

なぜ歩き方がおかしくなってしまうのか、という詳しい説明は高岡先生の複数の著書で述べられているのでそれをご参考していただければ良いと思います。

次は裏転子があるとどんないいことがあるかをお話ししましょう。

2.裏転子があるとこんなに楽しい

2-1.スタイル抜群に!

はっきり言いましょう。もしあなたがスタイルを改善したいなら裏転子を身につけることは絶対に必要です。

このサイトのダイエットのブログでもお話ししましたが、美しいボディラインを身につけるために重要なのはダイエットよりも裏転子です。

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美しいボディラインは裏転子がないとそもそも身につかないものなのです。

なぜかと言いますと、裏転子がない(弱い)人は体を支えるのにお尻からハムストリングスの筋肉を使っていないということになります。ですので普通に立った時にお尻の部分を支えるものがないので、お尻が落ちて重心が下がったみっともない立ち方しかできないのです。

裏転子がある人の典型的な体型

裏転子の部分で体を支えられないと落ちた重心を支えるのは腰か膝の役目になってしまいます。

腰で支える場合は腰を反らすので腰痛の原因になるばかりか、腰は反ってもおしりの下半分から太腿の裏側に張りがなくなるのでメリハリのない姿勢になってしまいます。
膝で支える場合は膝が曲がった姿勢になり、膝痛の原因になるばかりか「美しい」とは程遠い姿になってしまいます。

また二の腕の問題も実は裏転子と連動します。

いわゆる二の腕タプタプ問題は、二の腕の筋肉でも上腕三頭筋が使えていないことに原因がありますが、これは歩く時で言うと腕を後ろに振る筋肉なので脚で言うとハムストリングスと大臀筋と同じ役割です。

裏転子が身についてハムストリングスと大臀筋が使えるようになると、それに連動して上腕三頭筋も使えるようになるので、自然と二の腕が締まった体型になります。

この辺りのトレーニングは「スーパーウォーク歩道」で徹底的にやりますので、ご興味のある方はぜひ取り組んでみて下さい。

2-2.積極的な性格になれる

裏転子は人体最強の前方力を備えた身体意識です。

しかしみなさん、この「前方力」というとみなさんどういうイメージを抱かれるでしょうか?

陸上の100M等のイメージを持っておられる方も多いかも知れませんね。

しかし、裏転子で得られる前方力はそれだけではありません。

こんな例を想像してみて下さい。

小柄で高齢の方がいるとして、もしその方が買い物や家事で信じられないほどクルクルとよく動き、しかもそれを割とへっちゃらで、涼しい顔でやってしまうような方の場合、裏転子が発達している可能性が高いです。

皆さん、くつろいでいるときに何かを頼まれた時、立ち上がったり、起き上がったりするのが面倒に感じられることってありませんか?

ああいう場合、単純に体が固まって動きづらいというのもありますが、それに加えて決定的なことは「裏転子が弱い」ことです。
何かにつけてやり始めが億劫になるのは典型的な裏転子欠乏症状の一つです。

裏転子が発達して前方力が強くなると1−2で述べたように動き出しに矛盾がなくなるので、何かをしようと思ったときにタメや気力が不要になるのです。

結果的に、思いついたら即行動、という積極的な性格になってくるのです。

前方力というと単純なスピードと結びつけてしまいそうになりますが、単純なスピードは体格や筋力、筋力の質にも左右されるので、それだけでは裏転子が強いかどうかの判断には不十分なのです。

そしてスポーツ選手は引退すると遅かれ早かれ普通の人と同じ身体意識のレベルに下がってしまうので、裏転子もいずれ弱くなって消えてしまいます。

その点裏転子をきちんとトレーニングしていくと、才能的には裏転子が弱い人でも、意識なので歳を取っても鍛えることができるのです。

これを考慮してみると、100Mを9秒台で走る人より長年しっかりと裏転子のトレーニングをしている一見普通のおばあちゃんおじいちゃんの方が裏転子が強い、と言うことはあり得ます。

ただ、実際は100Mを9秒台で走る人は天性の強力な裏転子を持っているので、それを上回る裏転子を市井の高齢者が持つことは大変です。しかし不可能ではありませんし、もしそんなことがあったら楽しいと思いませんか? 当然私はそれを目指しています(笑)

なので、日常生活なら「寝ててもすぐに起き上がれる」とか、普通の人が嫌がるこまごました面倒なことも「嫌だと思う前に動いている」という感じであるとか、もっと言えば、誰もやりたがらないような難しい仕事を何の抵抗もなく引き受けて、さっさとやり切ってしまうような能力を備えた人が強力な裏転子(=前方力)を持つ人であり、スポーツ選手がそれを持っていたら、「何か考える前に体が前に動いていた」といった素早い動きが可能になるのです。

2-3.疲労がたまりにくい体になる

裏転子が身につくと日常のあらゆる動作に矛盾がなくなります。これが結果的に疲労を溜めにくい体を作っていきます。

2−1で話をしましたが、裏転子が弱いとおしりがおっこちてしまいます。ですので無意識にそれをフォローしようとして膝に力が入ったり、背中や腰に余分な力が入った姿勢になります。

これが慢性的な「疲労感」を生むのです。

現代人の「疲労感」についてもう少し考えてみましょう。

現代は様々なストレスが多い時代です。地球の裏側で起こっているようなことも毎日情報として入ってきます。情報そのものに善悪はありませんが、基本的にほとんどの情報はストレスになり得ます。

そしてそのストレスが現代人の慢性的な「疲労感」につながっていることは間違いありません。

しかし実は「疲労感」のもっと根本的な原因として、自分でわざわざ疲労を溜め込むような矛盾した体の使い方をしているということがあるのです。

裏転子がない(弱い)ということはその代表例です。

脚のある脊椎動物は基本的な身体意識の構造として裏転子を持っています。

猫も犬も鳥も生物として生きる前提として裏転子を備えているのです。

それが人間だけが裏転子を失ってしまっています。

現代人はこのようにすでに矛盾した構造を抱えて生きているのです。ですので生きていることそのものが疲労になってしまっているのです。

社会で戦う前に自分でわざわざ疲労をためていたら、世の中の様々なストレスを捌けるはずもありませんよね。

ゆる体操を知らない人は

本当に疲労をわざわざ自分でためこんでいるようなことをしているのか?

と思われるかもしれませんが、私自身がそうでしたし、今でも調子が悪くなるとそうなってしまいます。

ですので、「寝ゆる黄金の3点セット」で全身の疲労をとることは最重要ですが、無駄な疲労をためない、効率的な体の使い方を身につけるためにも裏転子のトレーニングは必須です。実際に裏転子がないと「寝ゆる黄金の3点セット」で体がゆるんでも、日常生活で活動している間にせっかくゆるめた部分が固まりやすいのです。

「すねプラプラ体操」や「ふくらはぎ膝コゾコゾ体操」でゆるめた下腿(※膝から下の部分)も裏転子がないと重心が下がってしまうので、立って歩いているとすぐに固まってきます。

「腰モゾモゾ体操」でゆるめた腰も、裏転子がないと立っているだけで余分な力が入って固まりやすい状態になってしまうのです。

次はその裏転子を簡単に身につけることができるゆる体操をご紹介します。

3.裏転子を身につける簡単ゆる体操3選

1.寝ゆる黄金の3点セット(「すねプラプラ体操」「膝コゾコゾ体操」「腰モゾモゾ体操」)

脚や腰がどれだけゆるんでいるかと裏転子の強さは対応しています。ですので裏転子のトレーニングをする前にそこをゆるめておくと効率が良いです。

時間があれば寝起きと寝る前、時間がなければ寝る前だけでも良いのでこの3つの体操は日頃から行うようにして下さい。

2.ハムスリ(「ウッススリスリ体操」)

立ったままできる裏転子のトレーニングです。片足になるので転倒に注意して下さい。

片足が不安な方は次の「片手ハムスリ」でも良いと思います。またリードをよく聞いて刺激する位置は正確にするようにして下さい。

3.片手ハムスリ(「片膝休み腿裏スリスリ体操」)

「片手ハムスリ」は「ハムスリ」よりは安全な体操ですが、「片膝休み」になる前の「両膝休み」の姿勢が実はほとんどの方が正確にできません。この姿勢が正しくとれるだけでもある程度背中~腰がゆるんで裏転子があることの証です。

ごまかしが効かない分だけある意味「ハムスリ」より難しいと言えるかも知れません。

ですので「片手ハムスリ」の前に「両膝背腰ダラー体操」の姿勢が上手にできるようになることを目指すのも一つの良い基準になります。

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「ハムスリ」や「片手ハムスリ」はそんなに時間がかかりませんから出かける前にやるのがいいですね。「出かけるときは忘れずに」というコマーシャル(古いなぁ・・・)が昔ありましたが、そんな感じでやると非常にいいです。

具体的には玄関でやるとかルーティン化すると良いと思います。

また戸外でも人目につかないところならやれますので、疲れてきた時にやると効果的面です。

ちなみに私は朝起床後、出勤の支度をした後に10〜20分間(寝坊をしなければ!)裏転子系のトレーニングをするようにしています。

参考までに私のメニューをご紹介させていただきます

  • 踵クル
  • 股関節の基礎ゆる
  • 片手ハムスリ
  • リアストレッチ
  • リアスクワット

(最後の二つはより高度な運動科学のトレーニング法です。詳しくは上記のサッカー本等をご覧ください)

4.裏転子生活のススメ

まずは毎日のゆる体操のメニューに「ハムスリ」や「片手ハムスリ」を加えてみましょう。

毎日やっていると段々と効果が出てくると思います。

ここで裏転子の効果を今まで上げなかったものも含めて挙げておきます。

  • 高重心(=ヒップアップ)になる
  • 動き出しにタメがなくなる(=性格も積極的になる)
  • 疲労がたまりにくくなる
  • 正しくやれば腰痛の改善になる

さて、日頃から裏転子のトレーニングをしていても日常生活で普通に使えるようにならなければ本当に身についたとは言えません。

とはいっても普段意識するのはなかなか大変ですので、まずは歩いているときに使えるようになりたいものです。

ゆる体操で身につけた裏転子を歩きに応用するやり方は「スーパーウォーク歩道」等でしっかりやっていきますので、有料コンテンツですが当サイトの「スーパーウォーク歩道」もご覧になってください。

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実際に中田ひろこのスーパーウォーク歩道の教室では、他の中田ひろこの教室に比べて裏転子の身につくスピードが早いという結果も出ています。

もし日本国民全員が現在のオリンピック選手並みの裏転子を持っていたら、様々な問題が解決に向かうでしょうし、日本と言わず世界中の人々が裏転子のトレーニングをすれば世界の閉塞状況は打破できると思います。

裏転子はそれぐらい強力な身体意識の因子です。

一人一人の力は微々たるものかも知れませんが、そばに裏転子の強い人がいると、自然に周りに影響を与えて、そのコミュニティ全体が裏転子による推進力を持つようになるものです。

ですので変わらない世の中に期待するより、さっさと自分が変わって強力な前方力を身につけてしまえば、その方が早いような気がするのですが、みなさんはいかがでしょうか?

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