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BOOK CLUB YURU.4『高岡英夫の「総合呼吸法」 呼吸五輪書: 呼吸の達人を目指せ!』

皆さんこんにちは。少し時間が経ってしまいましたが、運動科学総合研究所所長の高岡英夫先生の書籍『高岡英夫の「総合呼吸法」 呼吸五輪書: 呼吸の達人を目指せ!』(BABジャパン、以下『呼吸五輪書』)が発売されました。今回はこの本について自分なりの感想や、これから呼吸法をやってみたい、という方に向けて書いてみたいと思います。

高岡英夫の「総合呼吸法」 呼吸五輪書: 呼吸の達人を目指せ!

※リンクを押すとアマゾンの該当ページに移動します

最初に申し上げておきたいのは、この本は元々武術専門誌「秘伝」(BABジャパン)に連載されていた高岡先生の連載コーナーが書籍化されたものですので、基本的に「修行」をされている方を前提とした内容になっている箇所が多くあります。

それでも一般の方にとってもとても面白い内容ですのでぜひご覧になっていただきたいと思います。

(途中に出てくる【ベース】や【リカバリー】など【】つきの名称はそれぞれの『呼吸五輪書』に掲載されている呼吸法の名前です。まだ本を手にとっていない方のために念のためお断りしておきます)

呼吸法の辞典

私はまずこの本を手に取ってパラパラと眺めたときに「あ、これは辞典的な使い方ができる本だ」

と思いました。

そうなんですね。この『呼吸五輪書』はまず、私のように呼吸法を学んだことがある人にとっては「辞典」それもかなり重厚で質の良い内容の辞典として使えるのです。

ちょっと何かを確認したいと思った時など、辞典を引きますね。(今はGoogle先生ですが・・・)そういう使い方のできる本です。

では呼吸法を学んだことのない人にとってはどうでしょうか?

家に百科事典があった方は、目的も無くパラパラと辞典を眺めているうちに「なるほど、こんなことが世の中にあるのか・・・」と思った経験が一度はおありだと思います。特に質の良い百科事典だと止まらなくなりますね。
この『呼吸五輪書』は呼吸法に関してそういった経験ができる本でもあります。
もちろんこの本の内容を独習することも不可能ではありませんが、呼吸法の経験がない方にとってはこの本で独習するというよりも、「呼吸法というものはこういう世界なんだ」ということを知るための本、または「日常の様々な現象が呼吸という活動を通じて説明できるんだということを知るための本」というふうに考えてみたらどうでしょうか。

私の例でいうと、もう15年以上前の話になるかもしれませんが、呼吸法の【モーション】を始めて学んだとき思い出したことがあります

それは高校時代に指揮者の朝比奈隆さんに部活のオーケストラを指揮してもらった時のことです。

一見ただの怖そうなジジイ(笑)にしか見えなかったのですが、指揮台に立って腕を振り出した瞬間、自分が根こそぎ持っていかれるような経験をしたことがありました。

音を出すタイミングなど考えなくても合ってしまうのですね。

その時は

「いやあ、プロの指揮者というものはすごいもんや」

と漠然と思ったのですが、【モーション】を学んで、呼吸意識という概念でその時のことが説明できると知ったのでした。

このように日常には(実は)呼吸意識によって説明できるような現象はたくさんありますので、皆さんもおそらくそういう体験をしているのではないかと思います。

『呼吸五輪書』を読めば、その「メカニズム」がわかるようになるのです。

ゆる体操愛好者の方もぜひ!

ゆる体操愛好者の方々にとっては、「ゆる体操」というカテゴリーから見ると少し難しい内容かもしれません。しかしゆる体操の元になっている「運動科学」という理論がどう言うものか具体的に知りたい方はぜひチャレンジしてみてください。きっとゆる体操への理解が深まるのではないかと思います。

いつもやっているゆる体操、特に息ゆるはこの本の内容を一般の方向けに作り直されたものなのです。

例えば、「息ハートロトロ体操」ですが、背中で息を吸う、腰で息を吸ってみるというのは『呼吸五輪書』で紹介されている「均等呼吸」への入り口だったのですね。

なぜ「均等呼吸」というものが必要なのかは実際に本を読んでいただくとして、「均等呼吸」が必要であることを知ったとしても、「均等呼吸」ができるようになるわけではありません。

人間は理論を知るとより深い理解ができますが、先に理論を知ってしまうと体が固まってしまう(または、理論を知っただけではゆるむことはできない)という特徴もあります。ですからゆる体操では深い理論は文字情報としては紹介せず、リードの中に含まれている場合が多いのです。

ある程度ゆるむということを体が理解できるようになると、『呼吸五輪書』で述べられているような深い理論も体が理解することができるようになります。

特に「地の巻 呼吸法概論」の部分を読むと、普段から息ゆるをやっている人はそれだけで上手にできるようになるかもしれません。

また、修行、鍛錬ということにご興味がおありの方は「序に変えて」の部分や座談会の部分をじっくり読んでみるのとモチベーションが上がって良いと思います。

同じようにスポーツのパフォーマンスアップを目的にゆる体操、ゆるトレに取り組んでいる人も、自分の中で呼吸法の面から取り組むと突破できるかもしれません。

※実際に高岡先生は
「サッカー本の内容には呼吸法も入れたかったが、執筆当時のトレーニング業界の常識からは発想があまりにもかけ離れているので入れなかった」
というような話をされていたことがありました。しかし、その後漫画「フットボールネーション」等、メディアでその重要性が紹介されたことで呼吸の能力とパフォーマンスの関係は徐々に社会に浸透しつつあります。

またこの本は初めから通して読まなくても、ほとんどの賞が独立して読める内容になっています。さらに一つの章が理論編とトレーニング編に分かれているので、興味のある内容の章の理論編からつまみ読みでご覧になっても一つの書物として十分楽しめる内容だと思います。

経験のない方はまずはゆる体操から。

全く呼吸法やゆる体操の経験がないという方は、まずはゆる体操の「息ゆる」からやってみましょう。

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息ゆるはゆるポータル神戸のYoutubeチャンネルである程度取り上げられていますので、そちらを見ながらやって見ることをおすすめいたします。

特に「胸腹グー」は【ベース1】の要素が取り入れられているので『呼吸五輪書』のメソッドにチャレンジしてみたい方にはおすすすめです。

私の場合

ご参考までに自分の呼吸法のトレーニングメニューについて少しお話しておきます。

巻末に「レッスン・プラクティス・コミュート・ルーティン」というトレーニングの仕方についての解説がありますね。それに沿ってご紹介させていただきます。

レッスン

「レッスン」に関しては私の場合毎日必ずベース1〜3をやります。

そしてその時間の中で一番時間をかけるのは「坐骨モゾモゾ座り」です。

大体20〜30分ぐらい座骨モゾモゾ座りをやって、その後10分程度でベース1〜3をやります。

またほぼ毎日リカバリーはその続きでやりますし、それ以外のトレーニングも数日おきに交代でやっているような状況です。

最近やっているその他のメニューは【インターナル】と【メンブラン】ですね。

プラクティス

私の場合仕事がほぼ達人調整なので、調整前や途中によく【ベース0】をやります。

また、事務仕事の場合は仕事前と仕事途中に坐骨モゾモゾ座りや【ベース0〜3】、時々【コントロール】や【インターナル】をやったりもします。

仕事中だとレッスンの時よりも不正確になりがちなので注意したいところです。わずかな時間の中でどれだけレッスン並みに精度を上げられるかがカギですね。

コミュート

私はいつも通勤中の電車の中や電車待ちのホームで【ベース0と1】をやっています。

これに関しては以前このサイトのブログに書きましたので、よければそちらも参考になさって下さい。

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ルーティン

朝は(寝坊をしなければ!)ほぼ毎日【リア】をやります。また私は仕事から帰る時間がまちまちなので、仕事から帰って食事をしていない日は食事をしてから、少し寝ゆる等も含めてルーティンの時間を作っています。

その時の内容は「坐骨モゾモゾ座り」と【ベース0〜3】です。

私の呼吸法に関するトレーニングメニューは現在のところこのような感じです。いかがでしょうか?実は私は以前は立位より座位が苦手だったのですが、坐骨モゾに集中的に取り組むようになってから、「坐骨で立つ」という感覚が少しずつわかるようになりました。

最初はよく分からなくてもその気になってやってみればそのうちできるようになるものです。

総合呼吸法を本格的に学んでみたいという方は、運動科学総合研究所の講座に申し込むのが唯一の方法ですが、残念ながら現在は申し込み期間ではありませんので、次の募集を待たなければいけません。

外部リンク

次の募集までの間本をみながら独習という手もありますが、全く初めての方は当サイトの動画レッスン(毎回息ゆるをしているわけではありませんのでご了承ください)やYoutube動画の「息ゆる」を見ていただくなど、まずは体をゆるめることに慣れていただくことをおすすめいたします。

息ゆるだけでなく、他のゆる体操をやってみるのもきっと役に立つと思いますよ。

教室でゆる体操を学びたい方はコンテンツページへ/p>

中田ひろこがTwitterでゆる体操や体のことについて呟いていますので、よかったらフォローしてくださいね。
中田ひろこ@ゆる体操

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