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祝フットボールネーション16巻(一ノ瀬ついにFW覚醒!回)発売!(ネタバレあり)
さて、このサイトでもフットボールネーション関係の記事は時折書いてきましたが、ついに16巻発売ですね。
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今回もバッチリ感想など書いていきたいと思います。
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ウンチクなし回だけど・・・
巻末にもありますが、今回は「ウンチク」なし回で、特に運動科学、ゆるトレ、ゆる体操に関する内容は具体的にはありません。
私は単行本派なので連載の状況は見ていなかったのですが、流れ的にも決勝延長戦で佳境だし、プレーの方が気になっていたので、
16巻はウンチク無しなんじゃないか?
と何となく思っていたのですが、むしろ試合の流れやプレーの面で1冊を通して楽しく読ませてもらったのでよかったです。
16巻は15巻からの続きで筧の投入によって、東クルが試合のペースを握られピンチに陥ると言う流れですが、選手のポジションの入れ替わりや、マークに付いたり離れたりする部分の描写が楽しく、サッカーの経験がない自分としては、1ファンとしてフィールド上の選手の目線で次のプレーを考えながら読む楽しみがあって、思わずニヤニヤしながら読んでいました。
一ノ瀬のゴールが今回のクライマックスだと思いますが、その前の筧のパスには読んでいる私も完全に騙されたので、結構ショックですね(笑)
ちなみに最初に読んだ時は一旦一ノ瀬が外に開いてパスをもらってから、もう一度筧に渡して中に切れ込むのかな・・・と思ったのですが、それだと一ノ瀬がゴールする(これは流石に展開としては予測できる)にはもう一度パスをもらわないといけないので、あの密集ではゴールの確率が下がる(と筧と一ノ瀬が判断した)感じなのでしょうか。最短のところを筧のパスが通って見事一ノ瀬のゴールに繋がりました。とにかく2人には完全にやられたので自分はDF失格決定しました(笑)
その点で言うと一回読んで流れをざっとみてから、2回目は戦術的な人の動きとかをチェックしたりしてみたのですが、一ノ瀬がゴールするあたりの描写は本当に大武さんのサッカー愛を感じますね。
(Twitter見てると、いつも深夜にサッカー見てるもんな。健康にも気をつけてくださいね。)
さてタイトルにもありますが、今回は主人公沖のライバル、一ノ瀬がFW覚醒(と勝手に思っているのですが)した回でしたね。
先ほども言いましたが、少し前から、
「ああ、これは一ノ瀬が点を取るぞ・・・」
と思いながら読んでいたのですが、一ノ瀬のゴールは筧との絡みで本来持っていたフォワードとしての能力を披露した場面となりました。
実は僕はフットボールネーションでは一ノ瀬のファンです。
僕は自分のTwitterでもつぶやいたこともありますが、主人公沖の能力に嫉妬しながら、本人もすごい才能を持った選手であり、実はいわゆる努力(練習)型の天才である一ノ瀬は、見ていてグッとくるものがあるんですね。
沖も当然努力(練習)はしているのですが、どちらかと言えば沖は楽しみの中から色々なプレーや体の動きを自由な発想から生み出すことのできる”創造的”天才であるのに比べて、一ノ瀬は自分では全く何もないところから新しいプレーを創造することができない(少なくともこの巻までの時点では)のです。しかし、あるプレーや動きを認識するとトレーニングによって必ずそれを身につけることができるタイプの天才です。
(このあたりのことも「上達論」ということに関してNo.139で非常に興味深い描写があるのですが、今回はそのことは取り上げないでおきます)
沖は一ノ瀬がそう言うタイプであることは最初から分かっていたのですが、一ノ瀬からするとそれがムカついてたまらない。
常に自分が上から見下ろされている気がしていたのでしょうね。
ただ、一ノ瀬もこちら側の人間だ、と直接言われることで、肩の荷が下りたのか、そこから本来持っていたフォワードとしての能力が試合で覚醒します。
(一ノ瀬側では監督と筧はそれをはっきり認識していたと言う意味で、同等の才能の持ち主だと言うことが今回明らかになります。)
このサイトで紹介しているゆる体操、ゆるトレも、続けているとまず一ノ瀬タイプに段々となってきます。
つまりすごいプレーヤーたちの動きが自分の体で認識できるようになり、また、それが自分でも身につけられるようになると言うことです。
その後さらに成長すると、自分の中から思いもしなかった動きが自然と現れるようになると言われます。
今回の一ノ瀬はこの段階に入ったのでしょう。
独断と偏見で選ぶ16巻の(運動科学的)ベストショット
さて、今回も16巻のベストショット自分なりに選んでみましょう。私はゆる体操指導員で達人調整師なのでもちろん運動科学の視点から選ばせていただきますが、今回のベストショットは・・・・、
もう、ズバリ、No.142(電子版の位置でいうと155P)から一ノ瀬の
「ふっ」
です!
ほとんど無表情で息を「ふっ」と出す(吐くと言うより出す感じ)。
ここですね、わざわざこの部分に大きなコマを使っているのが、本当にいいと思うんですね。
この直後、一ノ瀬は重心は高いまま体が少し落ちながら、その後反転するために重力の落下エネルギーを使う(見開きの一番大きなコマ)のですが、その時に息を深いところから、「ふっ」と出すことでその動きを作っているんですよ(と言うよりも落下させた結果そういう息が出ると言った方が良いかもしれません)。
ちなみに初動を生み出すのに最も効率的な動きは重力による自由落下運動です。単純な筋力で初速を出すよりもはるかに「早く速い」動きを生み出せます。古来より日本や中国の武術ではこのことを知っていて、日本では「沈身」中国では「沈墜勁」と言ったりして、基本的(しかし高度な)な技術なのですが、スポーツの世界でもトップレベルの選手たちは皆普通に使っている身体操作です。
ここで一ノ瀬が落下運動を使っているのがわかりにくい方は一ノ瀬の左膝に注目です。直前のコマで体を支えていた左脚の膝がカクンと斜め下方に落下したようになっているのがわかります。落下しているかどうかはもも前がスルッとしていて筋力を発揮していないことからわかりますよね。重心が高いと言うのは軸足だけが落下するような運動なので体幹が高い位置に残るからです。
いやー、実際これを密着状態でやられたら、ちょっと反応できませんよね。しかも当たり前のことですがサッカーなのでディフェンスはボールも見なくてはいけないので、余計分からないというわけです。
スポーツの漫画を書く方は当然プロの写真を参考に書くでしょう。ですから画力があれば、かっこいいコマは書けると思います。バスケ漫画の金字塔「スラムダンク」はおそらくそうであろうショットが満載でした。
しかし今回の一ノ瀬の「ふっ」の部分は作者本人の身体感覚があって初めて書けるものなので、日頃運動科学の鍛錬をしている自分としてはこういうシーンは結構ゾクっとくるのですね!
呼吸と体の動きは当然密接な関係があります。そしてそのことを知っていないとわざわざ一コマを使ってこのようなシーンは書きませんから、明らかにここには大武さんのメッセージが込められていると思います。
ここではこの件についてはこれ以上詳しくは述べませんが運動科学者の高岡英夫先生がちょうど呼吸法の本を出されたばかりなので、ご興味がある方はぜひそちらもご覧になってください!
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ここは試合の流れ上でも16巻最高の見せ場(そしておそらく次の17巻以降は沖が見せ場を作るはず)ですので、こういう盛り上がりの部分に身体運動面からの描写を入れるような表現が今後もあらゆるメディアで増えて欲しいと思います。
そして17巻のウンチクは股関節の話になることも確定しました。そう思いながら筧を見ると確かに股関節っぽいやつだな・・・とも思いますがいかがでしょうか。
時間的にも空間的にも状況を広く読むことができ、動きも良い意味で細々していて小回りの効く感じの筧のセンスは、股関節の身体意識によって支えられていると言うことですね。(今連載ではその辺りに入っているのかなぁ・・・)
この話を聞いて「えっ?股関節?」と思った方は高岡先生の股関節本でぜひ予習を‼︎
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さて、今回も独断と偏見で自分なりの感想を書かせていただきました!
まあ、ホンマに言いたい放題勝手な事書いちゃった感はありますが・・・。
ということで、次の17巻も非常に楽しみです!
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