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掃除とゆる体操

みなさんこんにちは、ゆる体操やっていますか?

前回の記事で料理とゆる体操についてお話ししましたが、ゆる体操はもちろん掃除にも役に立ちます。

今日は掃除とゆる体操についてお話したいと思います。

掃き掃除

絨毯の掃除

まずは掃き掃除から見ていきましょう。

掃き掃除は主に掃除機を使うと思います。掃除機は勝手にゴミを吸い込んでくれるし、絨毯をローラーではたきながら吸い込んでくれるので、楽ですよね。

しかし私がクリニックでリハビリをしていて気づいたのですが、手や腕を悪くする人に聞いてみると、せっかく掃除機が勝手に吸い込んでくれるのに、モップをかける時のようにわざわざ力を入れて絨毯を押し付けるようにやっているという人が多いのです。

モップをかけることと、掃除機をかけることは似ているように見えて全然違うことです。

モップでも力んでかけることはお勧めできませんが、それでも力を入れた方がまだ床の汚れが取れるということはあるでしょう。しかし絨毯に対して掃除機を力んでかけても結果は何も変わりません。掃除機を絨毯に押し付けることの効果はほとんど0です(笑)

ですので絨毯に掃除機をかけるときは力まないで楽にかけましょう。

さて、ここで役に立つゆる体操はなんでしょうか。掃除機の吸い込み口のコロを楽に動かせば良いのですから、腕の力はプラーンと抜けているのが良いですよね。

はい、ということで役に立つゆる体操は「腕プラーンおじぎ体操」です。

掃除機をかける時は、腕プラーンおじぎ体操でできるだけ腕の力を抜いてやってください。

フローリングなら箒がおすすめ

さて、床は絨毯ばかりでなく、フローリングの場合もありますね。フローリングの掃除にお薦めするのは掃除機でなくて箒です。

この時に大事なのはやはり力を入れないことです。

箒は先が細くなっていて、弾力があります。ですので、無駄な力を抜いた方が弾力をうまく使えて隅をきれいに掃けるのです。

それに比べて掃除機の場合は、構造上どうしても端っこや隙間は先を取り替えなければうまくできません。

絨毯に落ちているゴミは箒で取ることは難しいですが、フローリングに落ちているゴミは絨毯と違ってサラッと掃けば良いので、集めてからちりとりかハンドクリーナーなどでとってしまえば良いのです。

あとは掃除機にしても箒にしても中腰になるので、腰が痛いという方も多いですね。

中腰で腰が痛い場合に役に立つのは「ウッススリスリ体操」です。腰が痛くなったら掃除中でもできるという面では「壁もたれ腰モゾモゾ体操」もおすすめです。

正式名称がウッススリスリ体操です

ウッススリスリ体操はもも裏で体を支えることによって腰の負担を減らしてくれます。もも裏で言うと先ほどの腕プラーンおじぎ体操ももも裏を鍛える効果があります。
また下腹フワ腰フワ体操はお腹のインナーマッスルを使えるようになることで腰の負担を減らしてくれる効果があるのでそちらもおすすめです。
どの体操も重心が高くなるので楽に動けて良いですよ。

拭き掃除

拭き掃除にはゆる体操、さらに広義には「体をゆるめること」の醍醐味が詰まっています。

たかが拭き掃除で?

と思われた方もいるでしょうから、少しご説明します。

拭き掃除は鍛えどころ満載!

壁にしても床にしても掃除するのは「面」ですから、手が面に対してピタッと添うようにすれば汚れは良く落ちます。

それには手の力をよく抜いて、床の面に勝手に合うようにしてしまえばいいのです。

手は関節が多いので力が抜けていれば対象の形に添います。

ここでも役に立つのは「手首スリプラ体操」や「手スリスリ体操」ですね。

また、ゆるんだ手は床に対する「センサー」として働くようになります。ですので床や壁の状態がまさに「手にとるように」わかりますし、手がセンサーとして働くようになると、手を駆動するのはより体幹に近い肩甲骨や肋骨になってきます。そうなってくるとより腕の重量が乗るようになるので、腕の力を抜いているのに壁や床の汚れが取れるという状態になってきます。

このレベルでするならば、役に立つ体操は「肩甲骨モゾモゾ体操」や「肘クルン体操」、「上腕ジョワーン体操」、さらに「手首押し伸びアーックルン体操」なども良いですね。

さらに床を拭き掃除するときは四足になります。四足はゆる体操ではゆるネコ体操でやりますが、高いレベルになると、立甲といった高度な身体運動を含むものです。

具体的に挙げると手の脱力、床や壁に対する面の意識、肩甲骨、肋骨の運動、腕の重み、さらにはゆる体操で言うと長座系の体操で学ぶ肘抜き、これらは立甲だけでなく上半身の「極意」である「ベスト」や「肩包面」のトレーニングと直結しています。
そして掃除も移動運動ですので、それを根本的に支えるセンターと裏転子などなど・・・。実に本質的かつ多様な身体運動を含むのが掃除なのです。

ちなみに上で述べたようなゆるんだ体の使い方をせずに、例えば、拭き掃除の際に体を固めて肘を張って手に力を入れるようなやり方をしていると、効率が悪い上に辛いので、次もやりたいと言う気持ちが生まれません。

その点今述べたようなゆるんだやり方だと、汚れを見ると自然に手が出るようになるものです。

超絶!「掃除の達人」

さらにこれは高岡先生から聞いた話ですが、高岡先生は体の向きを変えずにトイレやお風呂を拭き掃除すると言われていました。

これがどれだけ難しい身体運動かは、みなさんが実際にやってみられればすぐお分かりのことと思います。

どこが難しいかと言うと、手が届きやすいようにどうしても体を捻ったり、足の位置を変えたりしてしまうものなのです。

これをスポーツに例えると、例えば格闘技で体幹部は微動だにせず、全く正面を向いたままで、いろんな方向からパンチが飛んでくる・・・とういう感じでしょうか。

卓球などでいうと、実際に球が飛んでくるまでどこから打ってくるか予測がつかない・・・という感じでしょうか。

これらのことが全て高度にできると、それは「身体運動のセンスがある」というレベル以上のものです。

もしこのことをご存知なかった方はぜひこの事実に感動してほしいと思います。

そして江戸時代の浮世絵などから推察されるように、昔の人はいわゆる「普通の人」レベルの人が当たり前のようにそれらが出来ていたのです。

浮世絵富嶽三六景から
葛飾北斎「冨嶽三十六景」より 肘の伸展位で手ぬぐいを洗っている

普通の人がそうなので、その時代の「アスリート」である剣術家や舞踊の師匠などは何をかいわんやです。

掃除で健康に

現代人は体を使う能力があまりにも落ちすぎています。落ちすぎているので自分の能力が落ちていることに気づいてすらいません。

ですので、せめて日常から何かで体の使い方をチェックする機会を持つ必要があります。

掃除、特に拭き掃除はその運動が多様であるにもかかわらず、高度な具体力は求められません。

言い換えると、誰でもできるが上手下手は本質力に左右される割合が高いと言うことになりますので、掃除は体の使い方をチェックするには最適の運動なのです。

となれば日常生活にでもいくらでも本質力を上達させる機会はあると言うことになります。

重ねて言いますが、ゆる体操・ゆるトレで学んだ体の使い方を掃除で実践すれば、日頃からセンター・ベスト・肩包体・軸(=センター)・裏転子といった身体意識を鍛えることができるのです。

掃除にそんな能力が必要なのか?という意見もあるかもしれませんが、別に掃除を大谷翔平やレブロン・ジェームスやメッシのレベルの本質力でやってはいけない、というルールはありませんからね(笑)

私は15畳程度のフローリングの床の掃除を、箒で掃いたあと、消毒も兼ねてアルコールスプレーを床に噴いて、それをキッチンペーパー1枚で拭き取るという作業を毎週することにしています。

そうすれば電気代も使わないし、水も汚さないし、現代のようなコロナ禍の中では良い除菌作業にもなりますよね。

当たり前のことですが、掃除をすること自体は清潔さを保つために大変重要なことです。

そして、自分の体をよく使うことで、環境の配慮にもなりますし、無駄なゴミも出さないですし、一石二鳥にも三鳥にもなりますよね。

ぜひ皆さんも掃除でゆる体操の効果を実感していただけたらと思います。

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