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至高の健人
「至高の健人」と言う言葉をご存知でしょうか?
ゆる体操・ゆるトレなどの本質力のトレーニングを続けていくと色んな変化が体に現れてきますが、高岡先生はトレーニングの結果として向かう方向性を3つ挙げています。それは
「後天的天才」と「本物の達人」
そしてもう一つが
「至高の健人」
です。
今日は特に「至高の健人」について、自分の思うところをお話してみたいと思います。
ー目次ー
高岡先生はこの3つの概念に対してはっきりとした定義をまだ発表されていないと思いますが、今までの著作・文章を読んだ限りでは私は次のように考えています。
後天的天才
天才とは生まれつきある分野の能力の習得が異常に早かったり、ある分野で誰も思い付かないような発想をする人のことを言いますが、この能力は基本的に本質力と深いつながりがあります。
「後天的天才」は本質力のトレーニングをすることにより、元々はその分野の能力が特になかったにも関わらず「先天的な」天才と同じように異常なスピードで身につけることができるようになったり、常人では考えつかないような発想をしたりすることができるようになった人のことです。
(高岡先生の今までの著作を読むと「後天的天才」には上記のような一般的な基準とは違い、運動科学による別の基準があるようにも思いますが、話題が煩雑になりますので今回はそのことについては述べないでおきます。)
本物の達人
「本物の達人」とは、ある分野において、本質力に裏付けられた高度な技量を持つに至った人のことです。「本質力に裏付けられた」能力が前提ですので、非常にレベルの高い身体意識を身につけています。
どのレベルの本質力の持ち主を「本物」と呼ぶかはどこに基準を置くかにもよりますが、高岡先生の評価では、マスコミに登場するようないわゆる「〇〇の達人」の中には「本物の達人」はほとんどいないと言うことです。実際のところ、現在の私のレベルでも「本物」は中々いないように感じるほどですから、高岡先生の視点ではほとんどの人は「本物の達人」とは言えないのでしょう。
こう考えるといくら天才でもその人が「本物の達人」であるかどうかは別の問題ということが言えますね(ただし超一流の人たちは「先天的天才」であり同時に「本物の達人」であることも多いです)。
至高の健人
そして3つ目の「至高の健人」は本質力を身につけることにより、代謝をはじめとする身体の健康を維持する機能(恒常性維持機能)が最高度に発揮された存在のこと、と私は考えます。結果、長寿であり、しかも年老いても人としての生活能力、行動力を十分に維持しているということになります。
当然のことながら極端な運動能力や、ある分野の技術の習得度は直接関係ありませんので、これも前述の二つとは違う方向性ということになります。
さて、ゆる体操・ゆるトレに日頃取り組んでいるみなさんはこの3つのうち、どれに一番興味がありますか?
私は元々武術やスポーツの世界からゆる体操・ゆるトレの世界に入ったこともあって、「後天的天才」や「本物の達人」に興味があったのですが、人生も半分を過ぎて思うようになったことは、
最も困難なのは「至高の健人」なのではないか
と思うようになりました。
最もハードルが高いのは・・・?
なぜかというと、どれぐらい深くゆるむ必要があるかという点において、「至高の健人」は必要とされるベースラインのハードルが非常に高い(と、私は思う)のです。
例えば「天才」や「本物の達人」は病気で亡くなってもそれまでに天才や達人になっていればその評価は得られるわけです。
実際に若い頃は優秀な成績を残したスポーツ選手が、引退後若くして亡くなった例は多く聞かれます。
しかし特にスポーツなどの現役の寿命が短い分野では、ある一定の期間だけでも超一流であれば天才・達人との評価を得られるのです。極端な話、それがどの程度世間に記憶されたかにもよります。「早世の天才」とはときどき使われる言葉ですよね。
また、天才や達人といった評価は基本的に作品や成績の結果に対してされるものです。
そしてほとんどの場合、結果とはその分野の技術の習得度に左右されます。技術というものはつまるところ、体を動かすのに必要な筋肉・骨格レベルの能力に拠ります。
これは基礎ゆるの分野でいうと、骨のゆるである「ほゆる」や、筋肉のゆるである「きゆる」に当たります。
ですので、少なくとも世の中で天才や達人と呼ばれるためには筋肉・骨格レベルのゆるみが高度に達成されていればよいと言うことになります。
また、スポーツ選手は本当に一部の例外を除いて、引退してから体がガチガチに固まってしまうことがほとんどですが、それでも現役時代に結果を出せば、体が固まって本質力がガタ落ちになってもその評価は揺らぎません。
つまりものすごくゆるんでいないと「天才」や「達人」との評価は得られないわけですが、結果さえ得られれば、それは人生において一時期でも良いし、しかも筋肉や骨格レベルのゆるみでも天才や達人と呼ばれるのは可能です。
それに比べて「至高の健人」はどうでしょうか?
「健人」である以上は少なくとも癌や血管系の疾患等で早く死ぬことは許されませんね・・・。
現代の基準で言うと少なくとも100歳以上までは生きないと「至高」とは言えないでしょう。そして死ぬ瞬間まで自分の身の回りのことは自分でできないと、これも「至高」とは言えないでしょう。
「至高の健人」は100歳以上まで生きて、自分で一切の家事をやりきって、死ぬ日まで自分で歩いて、棺桶にも自分で入る(笑)人です。
うっかり感染症にもなれないので、感染対策といった具体的なことも普段から気をつけてやりきれるような気力も必要です。
病気に対する抵抗は基本的に免疫系が行います。免疫系は筋肉・骨格レベルではフォロー仕切れない領域です。筋肉・骨格レベルより1段上の内蔵のゆるでも足りません。それ以上、少なくとも細胞レベルの身体意識を身につけている必要があります。
細胞レベルの身体意識を身につけるための具体的な方法としては、運動科学総合研究所の講座、「呼吸の達人」「宇天気功」「細胞正常力アップ」の講座などが挙げられます。また、息ゆるなどのゆる体操でも、高岡先生の書籍「呼吸五輪書」で紹介されているような深いやり方を知れば、身につけることはもちろん可能です。
外部リンク
しかし、明らかに筋肉・骨格系よりもより深い身体意識の領域になりますので、例えば身体運動の世界で活躍する人が細胞レベルの身体意識を身につけているとするならば、少なくとも現代のレベルで言えばそれでほぼ超一流と言えるでしょう。
(ちょうどこの記事を書いている時に武術専門誌「秘伝」での高岡先生の記事で、細胞レベルのゆる(セル・ルースニング)の話が出ていました。ご興味ある方は「月刊秘伝」2022年5月号をぜひご覧ください。)
逆にいうとゆるみが細胞レベルに達していなくても、筋骨格レベルの本質力と高度な具体力があれば(いや、これがものすごく大変なことなんですけど)少なくともオリンピックに出ることはできてしまいそうです。
しかし「至高の健人」でいるためには人生の長い間、というよりも人生の全ての期間、細胞レベルの身体意識を維持しないといけないのです。
おお、なんて大変なことなのでしょうか!
現在の自分のレベルではちょっと想像がつきません!
確かに高岡先生の「細胞正常力」等の講座に出ると、「ああ、これが細胞意識なのかな?」
という実感(のようなもの・・・)は得られますが、それが「四六時中、いつ何時においても」となるとまだ私のレベルでは想像がつかないのです!
どこまでも深い深いゆるみが必要です。
道教や仏教の修行者はおそらくこのような境地を目指したのでしょうが、そのためには俗世を離れるというある意味ショック療法が必要でした。
世間の雑多な情報は、道教でいう「真人」、仏教で言う「悟り」の境地に至るには邪魔なものでしかないからでしょう。
俗世間を離れることも一つの方法かもしれませんが、ゆる体操には体をゆるめるために出家するという発想はありません(笑)
そうなんです。今までの人類の価値観で言うと、細胞レベルのゆるみというのは出家したり山にこもったりといった大変な手続きが必要だったのですね!そんなに困難なことをあくまで在野でやってしまおうという・・・
ヤバイぞ、「至高の健人」!
そういう意味で言えばプロスポーツ選手もほとんど(生活を競技に捧げているという意味で)出家している状態ですから、ゆる体操・ゆるトレ自体がちょっと異常な世界かもしれませんね。
どうでしょうか?日頃ゆる体操・ゆるトレに取り組んでおられる皆さん、「至高の健人」ってすごそうじゃありませんか?
今はまだ想像できませんが、自分もまだ道半ばなので、コツコツトレーニングしていると10年後ぐらいはこのブログでもうちょっと前向きなことを書けているかもしれません。
例えば、この方向でやっていれば至高の健人が見えそうだとか、最近細胞レベルの意識状態でいられる時間が増えてきた・・・とか。
とはいっても現在のところそのようになれそうな実感は全くなく、あくまで希望的観測ですが、それも楽しみだと思って、今は淡々とトレーニングを続けていきたいと思っています。
P・S
この記事の原稿を書いた後、運動科学総合研究所の動画講座「細胞正常力アップ総合講座Ⅰ-1上級」を受けました。
その感想なのですが、一言で言うと、一時的にせよ細胞の意識が普段よりも身近に感じられるようになりました。
なので、今は「至高の健人」が全く想像がつかないという感じではなくなりました。ずっと遠くですが、「ぼんやりとある」といった感じでしょうか・・・。
ですので、この記事を書き始めた時と今では自分の感覚、認識はずいぶん変化したため、一旦はボツにしようかとも思いましたが、自分のトレーニングの上達の記録として、また、これからゆる体操・ゆるトレーニングで健康になりたいという方々のために、このブログの内容はそのままにしておきたいと思います。
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