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ペットはゆる体操がお好き?
この記事はこういう人のために書きました。
- ペットを飼っている ゆる体操愛好者
- ペットの健康が気になる人
- ゆる体操のさすり効果について知りたい人
- ゆる体操の動きと、動物の関係について興味がある人
1.ペットはゆる体操が好き?
私の教室の生徒さんの中には、自宅で犬や猫を飼っている人が何人もおられます。その人たちにお聞きすると、
「私がリビングの床に寝転んでゆる体操を始めると、飛ぶようにやってきて、仰向けになっている私のお腹の上に乗っかって、気持ちよさそうにじーっとしています」(トイプードル)
「ウチの子は、寝ゆるをやっている腕と脇腹のあいだに必ず入り込んできて、眠ってます」(ヨークシャーテリア)
「私が腰モゾモゾ体操をやっていると、自分もお腹を上に向けて、同じようなことをやってたりします」(日本ネコ)
・・・といったお話が出てきます。
こうした話から推理するに、どうも犬や猫はゆる体操が好きなのらしいですね!
犬や猫が家に居る人は、彼らがこういうポーズで体を動かしているのを見たことがあるのではないでしょうか?
仰向けになって、背中を床にこすりつけるように、モゾモゾ、モゾモゾする動きです。
・・・えっ?これって、ゆる体操にそっくりなのがあるじゃないですか!と思った方がおられるでしょう?そうなんです。
T Vの、野生生物を紹介する番組などでもたまに、ライオンなどの猛獣が仰向けになって、モゾモゾと首から背中、腰までを地面にこすりつけている場面を見かけます。平らな地面のこともありますが、樹木の根っこが地面に出ているようなゴツゴツした凹凸のあるところを選んでわざわざやっていることもあるようです。
彼らはひとしきりモゾモゾしたあと、クルリと起き上がって、全身をブルブルッと震わせてから、すっきりした感じで歩いていたりします。
家に居る犬や猫も全く同じことをしています。モゾモゾモゾモゾ、しばらくやったあと、スパッと起き上がって気分よさそうにしています。私が以前に飼っていた日本ネコやダックスフントもそうでした。モゾモゾしたあと、四本の足で立ち上がって、いかにも「あ〜、スッとした!」という様子でした。
これは四足動物が本能的に知っている、全身のコリをとる運動です。野生動物などは、体の不調があっても医者に診てもらえるわけでもないですから、普段からこうした運動を良くやって、自分で体調を整えているんですね。猛獣にとっては餌となる他の動物を捕らえる運動は、全身の激烈な運動です。その後は当然のことながら、大変疲労しているので、こうした運動をひとしきりやって疲れをしっかりと取り除くのだそうです。
それを人間風に言い換えると、体のセルフケアをしているわけです。自分で行なう身体調整ですね。
これは腰モゾモゾ体操といって、腰を軽く床にこすりつけながらほぐす体操です。ゆる体操教室では毎回、必ず行なう基本的な体操で、腰痛の緩和や防止に大きな効果があります。自宅でセルフケアとして健康増進のためにやっている人も大変な数に上りますし、以前は某有名プロサッカー選手がこの動きをYouTubeで公開していました。
どうですか?四足動物と全く同種の動き(身体運動)ですよね。
これと同種の動きに「背中モゾモゾ体操」「首モゾモゾ体操」というものがあります。床に背中や首をこすりつけながら、ゆるめときほぐす体操です。腰モゾモゾ体操と同じように、やった後は体の中から疲れが抜けて、すっきりします。
このゆる体操には犬や猫のような「四足動物」(しそく、と読みます)の動きが入っていたんですね!
ゆる体操に愛好者が多い理由は、「自然で無理のない動きで楽にできるだから」ですが、それはこのように、人間が太古の昔、まだ四足動物だった頃からやっているような、いわば遺伝子レベルで習得しているような動きが取り入れられているからなのですね。
2 .ペットの不調にさすりが効いた
ゆる体操の中にはさすりを取り入れたものが多数あります。「気持ちよく」と言いながら、気になるところやゆるめたいところをさするだけの運動(擦動緩解運動)ですが、これが大変に効きます。
「気持ちよく」と言いながらさするのは、「気持ちよくさすりましょう」という意味合いで、ただ手を動かしてさする動きをするのではなく、「気持ちよくなるようにさするんだ」ということを自分の脳に指示している言葉なんですね。
気楽に、「気持ちよく」とつぶやき続けながらさすることで体のいろんな部分が楽になってきます。
これが何と、ペットにも効いた例があります。
愛犬が下半身不随に・・・
私が以前飼っていたダックスフントが、歩けなくなったことがあります。数日間高熱が出て、熱が下がった日から、後ろ肢が全く立たなくなってしまいました。人間で言うと、下半身不随の症状でした。
驚いてすぐに動物病院に連れて行き、診てもらいましたが、ダックスフントはもともと四肢が極端に短いその体型や、肥満しやすい体質のせいで、腰椎や肢の動きに関係がある神経を傷めやすく、後ろ肢が不自由になることが多いということでした。
しばらくして症状が改善しなければ犬用の車椅子が必要だと言われました。「大丈夫です、良くあることですから。車椅子をつければ散歩にも行けますし」と言われました。
診察後、家に連れ帰りましたが、ただただ悲しかったのを覚えています。あんなに駆け回り、力強いジャンプをしていた子の肢が突然萎えてしまったのです。何で高熱を出した時にもっとちゃんと手当てしてやらなかったのかと悔やみましたが後のまつりです。
愛犬介護の日々・・・
排泄も犬自身ではもうできなくなっていました。オスだったので、細い管を挿入して、尿を数時間おきにとってやる日常が始まりました。ダックスフントは元々が猟犬ですから、割合に筋肉質の体つきをしているものですが、私の飼っていたその子はスタンダードダックスといって、少し大型のダックスフントでしたから、後ろ肢も良い筋肉がたっぷりついていました。
その立派な筋肉が日に日に衰えて小さくなっていくのを見るのは非常につらいものがありました。
ところが、彼は尿をとってやる時などに撫でてやるととても気持ちよさそうに、じっとしているのです。そして、利かなくなってタランと垂れている後ろ足を撫でてやるとうっとりしているのです。それを見て「良くなるとも思わないけど、こんなに気持ちよさそうにしているんだから、せいぜいさすってやろう」と思い、今度は意識的に、できるだけ長い時間撫でてやることにしました。
肢が動いた!?
すると何日かした頃、なでている太腿の筋肉がピクと動きましたので、「これは」と思い、さらに「気持ちよく」「気持ちよく」と言いながら撫で続けていると、今度は、後ろ肢を後ろに蹴る動きがわずかに出てきました。これは歩きや走りにつながる動きです。「これは望みがある!」と毎日何度も、よくさすり続けました。
だんだん、後ろ肢を後ろにグッと突っ張るように強く蹴り出す動きが出てきたので、さらにさすりを続けました。
そうするうちに、お腹の下に手を入れて軽く支えてやると、短時間ですが四つ足で立てるようになってきました。神経の機能が回復し、後ろ肢の筋力が戻り、自分の体重を支えることができるようになったのです。
獣医さんもびっくり・・・!
それからもさすりを続け、四つ足で立てる時間がだんだん長くなってきたところで再び動物病院へ連れていくと、先生は「こんなことは100に1つの例もないくらい、珍しいことです」と言われ、「何かしてやったのですか?」と不思議そうに聞かれたので「良くさすってやっただけです」と答えました。先生は無言でしたが、内心たいへん驚かれているのがお顔に表れていました。
その後、私のダックスフントは再び散歩にも出かけることができるようになりました。残念ながら片方の後ろ肢を高くあげて放尿する動作は、もう出来るようにはなりませんでしたが、それでも、あのままだと動けなくなってしまったかも知れないことを思うと、再び自力で歩き、軽くではあるけれども走れるようになったのは大変うれしいことでした。
回復後の彼の写真をここに載せておきます。名前は「サスケ」と言いました。(けっこうハンサムでしょう?)
私の犬だけではありません。私の教室の生徒さんの中にも、飼っているミニチュアダックスの後ろ肢が立たなくなった方がおられたので、サスケの例を教えてさしあげたことがあります。それからその方は毎日「気持ちよく」と言いながらさすってやったところ、その子は見事に後ろ肢が立つようになって、散歩に再デビューできたと言う例もあります。近隣の方でしたので、実際にその子が回復して活発な動きで散歩しているところにお会いしたこともあります。
以上はさすりがペットに効くという実例でした。「気持ちよく」と言いながらさするとより効くのだということを覚えておいてください。犬や猫はその言葉を理解できるわけではないのでしょうが、さすってやる飼い主の体や手が「気持ちよく」と言い続けることで、この上なくゆるみます。そのゆるみがペットに伝わって彼らも気持ちよくゆるみ、血行が良くなり、体調が整うというわけなのです。
3.まとめ
皆さんのお家に居るペットたちと、飼い主である皆さんのために今回は書かせていただきました。
2020年のコロナ禍以降、自宅にこもっている時間が増え、仕事もテレワークに切り替わるなどして、ペットとの時間が以前よりも増えている人が多いと思います。
ペット達も今までのようには散歩に連れていってもらえないなど、ストレスが溜まっているかもしれません。皆さんが腰モゾモゾ体操をしている時にくっついてきたら、受け容れてやりましょう。ゆる体操をしているあなたの体の柔らかい振動が気持ちよく彼らの体に伝わり、彼らもゆるみます。ペットとの素敵なスキンシップの時間になりますね。
また、ただ撫でてやるのではなくて「気持ちよく、気持ちよく」と言いながらさすってやると、とても喜ぶ子が多いですよ。覚えておいてくださいね。そのかわり、用事をしていても「ね〜、さすってさすって、ほらいつもの『気持ちよく』ってやつ!」と言わんばかりにすり寄ってこられるというデメリット?もありますが。(笑)
今回の記事がご参考になればうれしく思います。
参考文献
『究極の身体』 人間の運動と四足動物の運動の関連について、さらにもっと専門的な内容が豊富に解説されています。ダンス、ヨガ、スポーツなどあらゆる身体運動の専門分野の人々に広く読まれているロングセラーです。
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