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子供時代の体の使い方は一生続く その2 ゆる体操を役立てよう

今回は、今の高齢者と、若い世代の体の使い方の違いについて、前回の続きで書いていきます。

前回はあるYouTuber(現在30歳)の「60歳か65歳になったらヨボヨボ」という発言をもとに書きました。

果たして本当に現在の60歳以上が「ヨボヨボ」と言えるほど衰えているかと言うと、実は潜在的能力的にはけっこう優れていて、体のムダな力みが取れてくると、若い世代より体が使えることがよくあるのです。

何故なら、今、60歳以上の人たちは、子供の頃に家事手伝いをよくやらされた世代です。昔の家事労働は、現代とは違い、体を大きく動かしたり、子供には扱うのが難しいような道具の使い方が大切だったので、知らず知らずのうちに、

あまり力を使わないで、楽にできる方法=「合理的な体の使い方」が身についていることが多かったのです。

そして、子供の頃によくやったことというのは、基本的に人は忘れないものです。例えば自転車に乗れるようになった人は一生自転車の乗り方を忘れないですよね。それと同じです。

年をとってからできなくなるのは、体のあちこちにコリが溜まって(それが要するに老化ですが)いて、それが邪魔をしているだけなので、ゆる体操でコリが取れてくると、昔できていたことが自然にまたできるようになります。

高齢者はおおいにゆる体操をやって、昔の自分が持っていた能力を取り戻していただきたいです。

ここまでが前回のまとめです。

若い世代は合理的な体の使い方が苦手?

水彩画の道具

今回の記事では、若い世代の体の使い方について、少し私の実体験をお話ししてみたいと思います。

現在30歳前後の人たちが、小学生だった2000年ごろ、私は絵画教室に行っていました。その教室には水彩画を習いに来ている小学生が十数人いました。

ある日先生が「この頃の子供は体の使い方を知らない」と嘆いておられたのでどういうことかお聞きしますと、「筆洗いの水を運ぶのが下手で見ていられない」とのことでした。

具体的に言うと、

教室の終了時に、水をなみなみと張った箱型の筆洗いを洗い場まで運ぶのに、子供達は両手の平から指先にかけて、ぴーんと板のように張って、筆洗いを左右からグッと挟むように持つのだそうです。これはやってみると分かりますが、水を張った筆洗いはけっこう重いですから、手から腕、肩にかけてかなり力が入ります。力を思い切り入れていないと落としてしまい、筆を洗った後の汚れた水を床にぶちまけてしまいます。

前腕から肩をガチッと固めて使う、非常に窮屈な体の使い方です。下の写真を見てください。指先から肩まわりまで緊張してつらそうです。体に余裕が感じられません。

<筆洗いの運び方1>指先から肩まわりまで、ギューッと力が入っている。無駄な力みがいっぱい。

この時に、両手の親指を筆洗いの上の縁にかけ、残りの4本の指を底面に添えて筆洗いの重みを支えると、肩から腕の力が抜けて簡単に楽に運べます

下の写真を見ると、上の写真に比べて、肩が脱力しているのが分かると思います。実際にやってみられると、よく分かるはずです。

<筆洗いの運び方2>親指と他の指を別々に使うことで楽に運べる。肩が脱力する。

話を戻しますと、絵画教室の先生は「その楽な方法を教えてもこの頃の子は誰もやらない。なんでわざわざしんどいやり方で運ぶのか、不思議で仕方がない」と言っておられました。

先生はその当時で70歳くらいでした。高齢の先生にはごく自然にできる合理的な体の使い方が、孫の世代に当たる子供たちにはできなかったわけですね。

水を張った重い器を両手でささげ持って運ぶ動作は、例えばキッチンで料理を手伝ったりする時にはしょっちゅうやります。

または、洗面器に水を張って運ぶのも同じ動作ですね。

私自身の子供の頃の話をしますと、家族が風邪で発熱して寝込んでいる時など、洗面器に水を張ってタオルを浸し、家族の寝ている枕元まで運んでいくのをよくやらされた記憶があります。その時に、上手い持ち方をしないと、部屋の畳の上に水をこぼしてしまいかねません。

もう数十年前のことなので、記憶も定かではありませんが、どう考えても水を張った洗面器の持ち方は、親(昭和ひとケタ生まれでした)が教えてくれたのに違いないのです。

絵画教室の子供たちは、きっと親からも、他の場所でも、そういうことを習っていなかったのですね。

彼らは今30歳前後ですが、その後、水を張った器を運ぶのが上手くなったでしょうか。どこかで教えてもらったでしょうか・・・?そうとも思えないですね。

知らないことは人にも教えることができませんから、彼らが子供を持っても、自分の子供に教えることはないでしょう。

こうやって、合理的な、上手な体の使い方がだんだんに社会の中から失われていくということなのでしょう。残念なことです。

若い世代がどういう老人になっていくか

タブレットを使う少年

以前のような肉体労働を要する家事はすでにほとんど存在していませんね。家事に代わって彼らが主に時間を費やすのは、座った姿勢でスマホのタッチパネルやキーボードのような手指で「叩く」「押す」ことを中心とする体の使い方です。

昔の家事労働に比べると、たいへん単純な運動です。

スポーツや武道、ダンスなどの身体運動に打ち込む子供達も多いではないか、それによって昔のような家事労働などよりもずっと高度な身体能力が身につくはずだという意見もあるでしょう。

私はそうした意見にはあまり賛成しません。それについてはまた別の機会に書いてみようと思います。

話を戻しますと、若い世代が現在の60歳代以上のことを「ヨボヨボ」「老害」と感じるのは自由ですが、ご自分達が60歳になった時には、合理的な体の使い方を知らない分、今の高齢者よりももっと悲惨な体になっているのではと想像します。

というのも、合理的な体の使い方ができないとは、上の筆洗いの例でもわかるように、。同じことをやるのに、無駄なエネルギーを使って、疲れるような難しい方法でわざわざやるという意味ですから、貴重な生命力のムダ遣いを毎日、それこそ四六時中やっていることになります。

それが長年繰り返されるとどうなるのでしょうか・・・・。

AIの発達がいずれ彼らを助けてくれるだろうという考え方もあるでしょう。けれどもAIを設計する技術者達自身が、すでに体の合理的な使い方を知らない世代ですから、根本的な設計の部分に問題があるかも知れませんね。本人が知らないことは、できるはずがないのですから。

その技術者達が、上の世代の体使いの優れた人をよく研究し、指導を請えば、状況はまた変わるかも知れませんが。

ゆる体操で合理的な体使いを身につけてほしい

ゆる体操をやると、脱力が上手くなり、関節や筋肉の上手な使い方(合理的な体の使い方)が自然に身につきます

例えば上にあげた筆洗いの上手な持ち方は、前腕の回外運動が含まれているのですが、実はゆる体操の中の「肘クルン体操」で簡単にトレーニングできます。肘クルン体操を日ごろ練習していると、大人から教えてもらったことがなくても、ある日ふと、良い持ち方ができるようになる、ということが期待できます。

ぜひ、若い人たちがゆる体操で合理的な体の使い方を身につけて欲しいと願います

そうすれば年を取って行っても、能力の衰えを最小限に食い止めることもでき、長く一線で活躍することも可能です。

前回記事の冒頭にあげたYouTuberは、現在年収が数億を超えている大変に優秀な人ですが、ある時「自分はフリーランスで30代で思い切り事業で稼いで、40歳でセミリタイアする予定。60歳とか65歳になってヨボヨボになってからだと、もう何もできないと思う」と言っていました。

彼がどんな人生設計をするかは彼の自由ですが、ぜひ、ゆる体操を実践して

中年になっても、それ以降も、どんどん体が合理的に楽に使えるようになり

死ぬその日まで自分は体も脳もスキルもアップしていき、世界に貢献する

といった生き方の可能性もぜひ獲得していただければ、もともとが高い能力の持ち主ゆえに、たいへん素晴らしいことが起こるだろうと思います。

もちろん、若い世代の全ての人にゆる体操をやっていただきたいし、絶対に良い効果を得ていただけるという自信が私にはあります。

まとめ

この記事では、次のことを書きました。

  • 若い世代は昔のような家事労働の手伝いをやっていない分、上の世代に比べて合理的な体の使い方を知らない
  • 今後、若い世代が老いていくと、今の高齢者以上に悲惨な体になるであろう
  • それを防ぐために今からゆる体操をやって合理的な体の使い方を身につけて欲しい

以上です。読んでくださってありがとうございました。

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中田ひろこ@ゆる体操

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