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文鳥は達人(鳥?)だ

みなさんこんにちは。ゆる体操やっていますか?

我が家には文鳥アズキ(♀1歳10ヶ月程度)がいます。私は時々SNSに彼女の動画や写真を流しているのですが、いつも思うことは

ああ、コイツってやっぱり達人(達鳥?)やなぁ・・・

って事です。

今日は文鳥を中心に鳥類について運動進化論的な視点で!?お話しできればと思います。

最強の転子・裏転子

まず我が家の文鳥アズキをご覧ください。

かごに止まる文鳥

ひと目見てどうでしょうか。まあ、普通は

かわいい!

ということに目がいくと思いますが(←親バカならぬ飼い主バカ)、私がいつも思うことは股関節の中心が身体意識化された「転子」と、それを支える前方力を司る身体意識である「裏転子」の強さが尋常じゃないという事です。

鳥類は恐竜の子孫であることが近年の研究では明らかになっていますが、文鳥のように英語でフィンチと言われる鳥は、脚の軸に対して体軸は斜めを向いています。ですので、特にティラノサウルスをはじめとした獣脚類の特徴を引いている(現代で最もティラノサウルスに近いDNAを持っているのは鶏ということですが・・・)容姿をしています。

この文鳥の転子、裏転子ですが、普通の人間と違い、どんなに動き回っても常にそこに中心感があるので、体のバランスがいつも見事に取れているのですね(もちろんたまにずっこけることもありますが)。

私などはいくらトレーニングをしても、疲労が溜まったり、少し難しい動きすると裏転子が弱くなってしまいます。要するに自分はまだまだその程度のものということです。

しかし、文鳥を含め、ほとんどの動物は人間とは違い、転子・裏転子を使う以外の動き方が基本的にできないといった方が良いでしょう。

それほど強い裏転子・転子を動物は持っているという事ですが、それにしても文鳥の裏転子は強いように感じます。

運動科学では有益で非常に強い身体意識のことを「極まった身体意識」という意味で「極意」と言いますが、まさにこれは極意と言えます。

これらの身体意識の強さから昔の恐竜、特に獣脚類の動きをある程度予測する事ができます。

自分が文鳥(恐竜に比べると、ずいぶん可愛くなってしまいましたが)を飼っていて思うことは、文鳥もそのDNAの一部を運動進化論的に引き継いでいるのではないか、ということです。

まず鳥類は脚がかなり強く自由に使えます。

四足動物と違って、普段は腕を使いませんので左右にもかなり開く事ができ(四足動物は足を開くことを極端に嫌がるそうです)、これでものを抑えて餌を食べるのです。

そして、羽は飛ぶ時以外は使いませんから、餌を食べる時は脚で抑えて体幹を使って餌を引きちぎるような動作もします。

獲物をおさえて引きちぎる

このように書くと、本当に獰猛な肉食動物に対する表現のようですが、文鳥は雑食とはいえ、基本的に粟などの穀物を主食としているのです。体も小さく(たったの25グラム!)、自然界ではどちらかと言えば捕食される側の動物に、このような能力が身についていることはある意味驚きとも言えます。
実際のところ四足動物の中でも草食獣はあまりこのような動作はしませんよね。

これは私見ですが、おそらく恐竜でも肉食の獣脚類はこのようにして餌を食べたのではないでしょうか?近年再現された恐竜のCGを見ると、明らかに昔に比べて体幹部を柔軟に描こうと意識しているのがわかります。これは運動科学での体幹部の捉え方が、一般的にも認知されてきた事と、鳥類が恐竜類の子孫であることが明らかになったので、現代の鳥類の動きを参考にして描いた結果なのだと思います。

さて、このような文鳥ですが、運動性の高さからなのでしょうか? かわいい見た目とは裏腹に意外に気が強く、SNSなどで見ると、自分よりはるかに体格の大きなインコなども威嚇したりするのです。

我が家のアズキも気に入らない事があると飼い主だろうがスマホだろうが容赦なく威嚇してきます(そのギャップがかわいいんですけどね・・・)。

スマホのストラップを威嚇する文鳥アズキ

そのように気が強い文鳥ですが、「手乗り文鳥」という言葉がある通り、大変に人懐っこい動物でもあります。つがいになると、相手のことをずっと気遣うという性格でもあるようです。おそらく恐竜時代においても、小型の獣脚類はそのような性質を身につけて過酷な環境の中で生き残りを図った種があったのでしょう。

文鳥はそういった種の末裔なのかもしれませんね。

文鳥のセンター

さて、このかわいい文鳥ですが、他にも極意と言える身体意識を多数備えています。

特に鳥類に限らず人間以外の動物は非常に強いセンターを持っているわけですが、文鳥のセンターも当然素晴らしいものです。

まずは、人間で言うウナに当たる部分から見ていきましょう。

運動科学では足裏の中心をウナと呼びますが、人間の場合、見た目でもどこにあるか少し分かりにくいところがありますよね。

しかし、鳥類は足裏の中心がどこかは一目瞭然です。次の写真をご覧ください。

文鳥の立ち姿
足の中心に乗る

そうですね、足の指が前後に分かれているところです。構造上、体が乗れるところはそこしかありません。哺乳類、爬虫類も含めて、人間以外の動物は基本的につま先立ちで、人間のようにベタ足では立ちません(上の写真では脚で羽毛が生え始めているところが踵です)が、地面と接地している部分の中心という意味で、仮にこれを文鳥のウナと呼びましょう。

もう一度先ほどの写真をご覧ください。
前かがみになっているのですが、確かに文鳥のウナの部分で立っているのがわかります。

そして、爪の部分に注目してください。

そうですね。しっかりと地面を掴んでいるわけではありません。
もちろん止まり木に止まる時などは、前側の爪でひっかけて、やや後ろ乗りで立つ場合も多く、場合によって色々なポジションで立つのは他の動物と同じです。鳥類は力を抜くと足の爪が閉じるようになっているらしいですが、それにしてもぎゅっと掴んでいるのではありません。
しかも止まり木に止まっている時は片足で寝たりするんですから、これはまさに極意状態!ですね。

人間のように垂体一致(重心から立ち上がる軸である垂軸と体をコントロールする軸である体軸が一致している状態)している構造ではないとはいえ、二足で立っているので、四つ足動物よりは不安定であることは間違いないのですが、脚で踏ん張ることもなく、楽々とバランスをとっているのです。
言い換えると、人間のように足回りに筋肉がないので、踏ん張ることができないとも言えますね。

これはまさにセンターの作用であり、中でも特にバランスをとる軸である垂軸の作用と言えるでしょう。

このように垂軸に注目して文鳥を見ると、色々な動作が垂軸を中心に行われていることが見えてきます。

また、基本的に動物は非常に高重心ですが、特に鳥類は頭に位置の中心があるので、地面のほうが動いても基本的に頭の位置は固定されたまま状態の時がよくあります。

これはやはり、「飛ぶ」という運動において、頭の位置がブレることは致命的な問題になる事が関係していると思われます。四足動物でも、チーターが高速で走っている時に頭が全くブレていないのと同じなのでしょうね。

また、体が小さく小枝にも止まれるので、立っている枝が揺れても周りがちゃんと見えるような体の機能が必要であるということなのでしょう。
鳥類は哺乳類より頚椎の数が多いのも、首の柔軟性を確保しているという意味で必要だったのでしょうね。

実は人間はすごい

こんなにすごい文鳥なのですが、では人間はだめなのかというと、本来は人間の方がより完成された構造を持った生物であることも感じます。

一番それを思うのは呼吸の能力です。

文鳥は根本的に垂体一致していない構造です。また、四足動物のように完全に垂軸と体軸が直交しているわけでもありません。いわば垂体斜交の状態です。

ですので寝ている時に体全体が動いてぶれてしまうのです。呼吸運動そのものは体軸を中心に均等呼吸(胸側、お腹側だけでなく、背中側でも呼吸をすること)なのですが、文鳥の場合、呼吸の軸が垂軸に対して斜めになっている(垂体斜交)ので呼吸をすると体が揺れて動いてしまうのですね。

これがどの程度、文鳥という生物のシステムに影響を与えているかはわかりませんが、垂体斜交よりも四足動物の垂体直交の方が体はぶれないですみますし、垂体直交よりも垂体一致の方が、より身体運動としてのエネルギー効率は良いと思われます。

このように呼吸のような根源的な運動に関しては、鳥類はおそらく運動としてのエネルギー効率は悪く、人間の方が本質的には優れていると思われるのです。

ただ、一番問題なのは、やはり人間はその高度な能力を全く使えていないということでしょう。

また、鳥類でも文鳥の場合は基本的に脚の交互動作はほとんどしません。また、腕も飛行に使う以外、複雑な使い方はしませんので、体幹を割って使う「割脊」という身体操作は基本的にしません。

なので基本的に「丸っこくてかわいい」という印象がします。

先ほど文鳥は獣脚類の子孫という話をしましたが、鳥類は空を飛ぶために胸椎がいくつか癒合していて、体幹部はそれほど自由には動かない構造になっています。これに対して例えば、恐竜類でも運動性の高い獣脚類であれば、相当に動く体幹をしていたでしょうし、最強のプレデターであった(これに関しては近年色々説はありますが)ティラノサウルスであれば、獲物を捕らえるためにより高度な体の使い方をしていたでしょうし、おそらく体幹を左右別々に使う「割脊」のような動作を日常的にしていた可能性はあります。

このように、過去にも現代にも文鳥よりも運動能力的にも身体意識的にも優秀な生物はたくさんいそうです。しかし、どちらにせよ、その高度な能力を全く使っていない現代の人類と比べれば、実は本人(本鳥?)は常に体をゆるめようと努力をしているのです。

翼をストレッチする文鳥

上の動画で人間でいう立甲のような動作をしていますが、去年よりも翼の可動域が大きくなっています。
人間とは違い、体の手入れをものすごく頻繁にしているということだと思います。

私は魚以外の生物を飼うのは実は文鳥が初めてで、犬も猫も飼ったことはありませんが、犬や猫もおそらく同じように人間よりも高い能力を持っているのですから、同じように体をゆるめる努力をしているのでしょうね。
と言うよりも、体が固まってくると気持ち悪くてゆるめる動作をしてしまうのでしょう。
ですからゆる体操、ゆるトレで明確に上達を目指す人は動物から学ぶことは非常に大きいと思います。

私は文鳥アズキがそういう動作をしているのを見るたびに、自分も負けてはいられない、もっと上達せねば!と思うのです。
と、言いながら、かわいいのでついモミモミしてしまいますが・・・。

手乗り文鳥

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