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本当に取り組みたいものがある方はゆる体操も一緒にやったらきっといい事があるという事を訴えたい46歳のオレ
つい先日SNSでゆる体操から受けた恩恵で自分にとって最も価値のあるものは『「本当に取り組みたい」と思ったことに対して、自分の現在の仕事や生活を犠牲にすることなくエネルギーを注げるようになった』という事だと書きました。もしかしたらゆる体操に取り組む方にとってモチベーションになるかも、と思ったのでもう少し詳しく書かせていただけたらと思います。
ー目次ー
1.何かに取り組むという事は?
「何かに取り組みたい」と思う事ってありますか? 世の中に何かに取り組んでいる方はたくさんおられると思います。その理由も様々だと思います。「仕事で必要だから」という場合もあるでしょうし、趣味でずっと続けているという方もおられると思います。ただ、「何かやりたい」と思う事と、「何かに取り組みたい」という事は少し意味合いが違いますよね。「取り組む」という言葉には少しじっくりした意味合いがあると思います。
少なくとも「取り組む」対象はある程度時間と手間をかけないと達成できなさそうなものですよね。そういうものは仮に「やりたい」「やってみたい」と思ったとしても、日常生活や仕事のスキマにやるには少し重たすぎることもあるのです。ですから少ししり込みしてしまったりして結局始められなかったりしますし、始められたとしても忙しくていつの間にか辞めてしまうこともあります。ゆる体操の代表的な効果として、そういう時に普通始められないような難しい事が始められたり、中断してしまいそうな事でも中断せずに続けられる事があります。それはなぜでしょう?
それは体がゆるんでいるからです。始めるのに躊躇せず、途中で辞めてしまう事もなくなる、という事とゆるむことにどういう関係性があるの? という疑問もあるでしょう。
その前になぜ始めるのに躊躇したり途中で辞めたりしてしまうのかをもう少し真面目に考えてみたいと思います。
2.始められない理由と辞めてしまう理由
まず躊躇する理由ですが「ある程度時間をかけないと達成できなさそうな事」だから、「自分には出来なさそうだな・・・」、とか思ってしまう訳ですね。もっと深く踏み込んでみると、仕事や家庭での日常生活の間にそのような“重たい”ことに取り組んでしまうと、息抜きの時間が無くなってしまうのでそれが不安に感じるのです。
以前私が勤めていた会社の上司はいつも「新しいプロジェクトに反対する理由は、突き詰めるとほぼ100%“しんどい”か“めんどくさい”だ」と言っていました。少し極端な物言いだとも思いましたが、一理あるなとも思っていました。なぜなら、普通は通常の勤務で手一杯で、通常勤務をこなしながら新しいことに「取り組む」事は体力も気力も限界を超えてしまうからです。私のいた会社は中小企業でしたから特別にそれ専門の部署を立ち上げることはできません。ですから通常業務をこなしながら新しいことに取り組まないといけないのです。若いうちは体力で押し切ることもできますが、体が固まってくる40歳以降はなかなかきついと言わざるを得ません。普通では「体が固まると気力も体力も落ちる」という視点がないので漠然と「しんどい」か「めんどくさい」と思ってしまうのですね。その上司の言い分は、仕事では面と向かってそんなことは言えないのでそれを隠すために色々なもっともらしい理由を上げているのだろうが、根本的な部分は自分の対応能力がないからだ、という事なのでしょう。仕事でもそうなら趣味などではなおさらでしょう。
受け身でできるコンピューターゲーム(古い言い方だなぁ(笑))などは、たいして気力もいりませんから続けることはできますが、一部の例外を除いて自分で創造、思考していく部分が少ないものが多いので飽きてしまう場合が多いし、結局のところ次のゲーム、次のゲームとソフトを変えていくので「取り組む」ものではないと思います。
途中で辞めてしまうのはどうでしょうか? これは二種類あると思います。一つは同じように気力体力が続かないために辞めてしまうという場合と、もう一つはそれが自分にとって本当に価値があるかかどうかという事が判断できなかったという場合です。後者について真面目に考えてみると、とりあえず面白そうと思って始めてみた事でも実際にやってみると色々大変だったり、思ったより楽しくなかったという事はありますよね。辞めてしまう事がわかっていれば誰でも始めたりはしないと思います。挫折から学ぶというのはある程度続けて得た経験が次に生きる場合に言うのであって、何となくつまらなくて辞めてしまう場合には当てはまらないと思います。ここで思うのは、自分にとって必要な事と自分にとって価値のある事は必ずしも一致しないという事です。必要かどうかは自分の社会的な立ち位置で決まるものです。自分にとって価値のあるものかどうかは自分で判断するものです。必要であっても自分にとって価値を感じられないものはたくさんあります。必要なものはやった方がいいです。でもそれに価値を感じられないと続けていくことは非常に苦しいことになります。
ではゆるんでいるとなぜそれが自分にとって価値があるものなのかがわかり、しんどくてもめんどくさくても続けられるようになるのでしょうか?
3.軸(センター)が育つと
3-1.体の軸は認識の軸でもある
それが自分にとって価値があるものかどうかがわかるようになるという事は、ゆるプラクティスを学んでいると身についてくる軸(センター)の作用が大きいと思います。軸についてよくご存じの方は「軸ってスポーツや武道でよく言われるもので価値の判断云々とは違うものなのでは?」と思われる方もいるかもしれません。でも少し考えてみると、日本語の“軸”という言葉はそもそも何かの“中心”という意味ですがそれは精神的なものにも物質的なものにも両方に使われます。もう少しわかりやすく言うと“支柱“という言葉も同じですね。”精神的な支柱”という使われ方にもあるように“軸“や”支柱“という言葉には物質的な”中心”という意味だけでなく“思考や精神の中心”という意味でも昔から使われていたわけです。
物の中心がわかると何が周辺かがわかるようになります。例えば建築物でも何が中心か、それに対して何が周辺かがわかることは設計者にとって非常に重要な事だと思います。中心と周辺の判断がつくと大事にすべきものとそうでないものの区別がつくようになります。同じように昔の日本人(中国人もですが)は体の軸がある人間は認識にも軸があると考えていたのです。
3-2.体の軸が出来ると対象の軸もわかる
ですから、ゆるプラクティスで物体としての身体に軸が通ってくると精神・認識の面でも軸ができるので、自分にとって意味のあるものかどうかを判断できるようになります。当然その程度は人によって様々ですが、以前の自分よりはるかにそのような判断が出来るようになります。
誰でもスポーツや勉強・仕事である段階になると何となく「コツ」がわかってきて、そのあとは難しいと思っていたことでもすんなり出来るようになった経験がおありだと思います。ざっくりいうと対象の軸がわかるとはこういう事です。ある程度センターが出来てくると始める前から何となく対象の中心がわかるように段々となるものです。そうなると人に流されることも無くなるので、何かを始めるにあたってそれが本当に自分に価値のあるものかどうかがわかるようになるという事です。では軸ができると物事を続けられるようなるのはなぜでしょうか?
当然先に述べたようにこれから始めることが前もって自分に価値があるかどうかがわかれば始めてからの充実感が違いますから、続けていくにあたって障害を乗り越えられるようになります。またあまり自分にとって価値を感じられなくてもそれが必要な理由=意義を感じられるとそれがだんだんとモチベーションにかわってきます。誰にとっても意味のない事など世の中に存在できませんから、それが存在する理由が必ずあります。ゆるプラクティスを続けて軸が育ってくるとその理由もだんだんとわかるようになります。ですから何もわからずにただやっているだけという状態にはならず、しっかりそれに対して取り組めるようになります。
このあたりの事はぜひ高岡先生の著書「センター・体軸・正中線」にあたってみてください。
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4.ゆるむとストレスを許容できる
4-1.体のゆるみは精神の余裕になる
もう一つ、物事を続けられる大きな理由は、体がゆるんでいるとストレスを許容できる範囲が広がるからです。誰でも緊張したりすると体がきゅっと縮こまる経験がおありだと思います。これはある意味精神的なストレスを体を縮こませる事で吸収していると言えます。縮こまると固まりますが、もし例えば肩こりのように最初から固まっていたらどうなるでしょうか? 肩が凝っていると非常に気分が悪いですが、そのうえでさらに精神的なストレスを受けるとそれ以上縮こまる事すらできなくなり、受けたストレスを許容できなくなります。逆にいうと十分にゆるんでいる体はストレスを許容する精神的な余裕も十分にあるという事です。
この「ストレス許容スペース説」についてさらに詳しく知りたい方は高岡先生の著書「ゆるめる身体学」にあたってみてください。
個人的にですが、私はこのストレスを許容する能力というのはあらゆる生物の中でも人間は極めて高いのではないかと思っています。人間以外の生物をその生物にとってストレスの多い環境に置くとあっという間に死んでしまうという話を時々聞きます。生物という存在自体、進化するにしたがって少しずつストレスに耐える能力も増していったのかもしれませんが、中でも人間は特別その能力が高いように感じます。
4-2.人間は本来ストレスの許容能力が高い
過去に進化し地球上を席巻した生物種は色々いたかもしれませんが、人間という種の選んだ方向性は自由度や汎用性の高さで、ほかの生物種に比べて極めて高い「ストレスや障害を許容する能力」でもって人間は世界中に進出できたのではないかと考えるのです。ストレスにより縮こまり固まることは決してよい事ではありませんが、その能力が他種に比べてずば抜けているおかげで人類の繁栄があると私は思うのです。それでも現代社会は人間にとって限界に近いのかもしれません。だから現代人の体はもう許容する範囲がないほどガチガチに固まっているという感じがするのです。
新しいことを始めるのはそれが楽しいことであっても脳や体には負荷がかかるものです。このようなストレスの多い社会ですからたとえ必要なことであっても続けられないことは多いのだと思います。
さてこうなってくるともうゆるプラクティスの出番という事になりますね。結局体をゆるめ、軸(センター)が通ってくると何が自分にとっても社会にとっても必要なのかが分かり、ストレスを感じてもそれを受け取る許容スペースが広がるので、現在の生活を犠牲にすることなく新しい事に取り組めるようになります。
5.私の場合
私は若いころなりたい職業があり、その為の勉強をしたいと思っていましたが色々な理由でそれが出来ませんでした。
しかしそのことはずっと頭に残っておりいつか勉強したいと思っていました。そうしたら40歳を超えてそのチャンスが来たのです。それは通勤時間でした。転職して遠方に通勤するようになると電車内の時間は馬鹿にできません。これが最後のチャンスと思いその時間を勉強に充てることにしたのです。勉強したとしても今からその道のプロになれるわけではありませんし、自分の現在の仕事にもほぼ役に立ちません。が、私にとって非常に価値のあるものだと私が判断したのです。
ただし実際に始めるまで1年考えました。自分自身元々の性格が適当なタイプなのはわかっていたので、本当にしたい事かどうかを1年考えたのです。結果、どうしてもやってみたいという事が自分の中ではっきりしたのでその勉強を開始しました。結果もうすぐ2年になりますが、少しずつ着実に進んでいます。
別の分野でも10年以上中断していた趣味を再開しました。これについても途中で辞めると技術がすぐ落ちてしまう事なので始めるにあたって1年考えました。その結果本当にやりたい事だとわかり、時間的にも気持ちの面でも中断せず続けられるという事がわかったので始めたのです。
このサイトもそうです。40歳で前の仕事を辞めた時は「いつかゆるプラクティスを普及するために活動するときが来そうだ」という感じはしていました。しかしそれがいつなのかは自分でも予想がつきませんでしたし、それがどういう形なのかも想像できませんでしたが、これまでの自分の経験が結果的に生きて、さらに色々な方の協力を得て現在サイトも完成してこのように普及のために活動しているのです。2019年の9月に思い立ち、少しずつ進めていましたが、途中コロナ禍で外出できなくなりましたのでむしろ一気に仕上げる事が出来、2020年の6月にアップできたという訳です。
私はこのことについてアイザック・ニュートンがペスト禍の中、田舎に疎開しているときに彼の人生において重要な研究論文3本を完成させたことを思い出します。
自分を人類史上最も偉大な物理学者の一人であるニュートンと比較する気は毛頭ありませんが、ニュートンの前例はコロナ禍の中でこのサイトを立ち上げるプロジェクトを進めるにおいて大きなモチベーションになりました。本当に身体がゆるんでいる人物にとっては社会全体を揺るがす大きなストレスすらも「仕事に集中するよい時間が出来た」程度の事なのかもしれません。ニュートンの例はコロナ禍の中で我々を勇気づけてくれる非常に良い例だと思うのですが、びっくりするほど世の中で紹介されませんね。それほど現代社会全体がゆるみ(=余裕)を失い硬直化しているからなのでしょうか?
私は海外でロックダウンが出だしたときに最初に思い出したのはこのことだったのですが・・・。
自分の話で恐縮でしたが、ゆる体操をはじめとするゆるプラクティスをやっていなかったらとても今の環境でこのようなことをやっていくことは出来なかったと思います。しかしこれは私だけでなくゆるプラクティスにじっくりと取り組んでいる方々には別段珍しい事ではなく、むしろ当たり前の効果として存在しています。
どうでしょうか?何かとりとめもなくつらつらと書いてしまいましたが、これからゆるプラクティスに取り組む方も、今取り組んでいらっしゃる方々も参考にしていただけたらと思います。
ゆるポータル神戸では「ゆる All Day」(記事の終わりにリンクあり)と銘打ってじっくり一日かけて体をゆるめセンターを通す企画を行っています。
よろしければどうぞ!!