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拘束腰芯の話

ゆる体操コラム

みなさんこんにちは。

早速ですが、タイトルにもなっている「拘束腰芯」という言葉をご存知でしょうか。

ほぼ全ての人が一度は腰痛を経験すると思いますが、結局のところ、特に慢性的な腰痛のほとんどは、疲労や老化で腰回りが固まっているのが原因と言えます。

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その固まっている腰のうち、中心(=芯)になっている部分を拘束腰芯と言います。

今回は長年腰痛を抱えている(が、コントロールできている)私の体験も含めて、拘束腰芯と、それを解体するとどうなるかということをお話しできればと思います。

拘束腰芯の場所

拘束腰芯とは運動科学総合研究所の高岡英夫先生が提唱した概念です。

高岡先生の書籍でも多く紹介されていますが、まずは拘束腰芯の場所を確認しておきましょう。

拘束腰芯の図
拘束腰芯

図のように腰椎の4番5番と仙骨、仙腸関節を含む付近が拘束されている(要するに凝っている)状態を拘束腰芯と言います。

もう少し正確にいうと、腰を動かさないで安定させようという身体意識の状態が腰椎の4番5番や仙骨あたりに形成されやすく、そういうこわばった意識が腰に形成された状態を拘束腰芯というのです。

腰痛ほか、パフォーマンスを破壊する原因になる

腰を動かさないで安定させようとする潜在意識の状態なので、腰はもちろん動かなくなります。
動かないので、急な力が身体に加わった時、ぎっくり腰を含む様々な腰の症状が出やすくなります。慢性的な腰痛も拘束腰芯という意識状態が形成されることでおこりやすくなります。

腰はがっしりと安定したほうが強いのでは?と思われる方もおられるでしょうけど、確かにある種の強さは必要ですが、柔軟性がないと、むしろ弱くなってしまいます。柔軟かつ強靭、これが本来の理想的な腰の姿です

人間だけではなく、高層ビルのような建築物も剛構造よりも柔構造の方が良いと言われています。柔構造とは現代の技術で言うと、揺れに耐える「耐震」という発想ではなく、揺れを逃す「免震」という発想で考えられた構造で、ただ頑丈に作るのとは違って、むしろ揺れに対して基部が適度にずれ合うような構造になっており、阪神淡路大震災を境に本格的に実用化に向けて研究されたようです。

私は神戸の人間ですが、神戸市内にいわゆるタワーマンションと言われる高層建築が震災以降むしろ増えたのは、柔構造による建築技術の進歩かと思われます。

要するに強いだけで固いと折れてしまうので、柔らかいしなりが必要と言うことですね。

地震の時にしか動かないビルですら柔構造なのですから、歩いたり走ったりして、移動する人間の骨格はもともと柔構造でできているのですが、この拘束腰芯の部分は構造的にしなりにくいようになっているので、固まりやすい(=痛めやすい)のです。

もう一度上の図を見てください。

仙骨は大きな腸骨の間に挟まれています。この間は仙腸関節という関節があるのですが、一般的には間に軟骨がありませんし、もちろん潤滑液もありません。ですから肩や股関節といった他の関節と比べて、関節としての機能は低くなっています。

腰椎の4番と5番も腸骨の間に埋もれているような構造ですし、仙腸関節も含め、この辺りは靭帯で強力に結びつけられているので、そもそも可動性が悪く大きく動かすことはできません。

なぜこのように締め付けられた構造になっているのかというと、やはり腰は「月に要」と書くように、上半身の体重を支え下半身と結びつける部分だからですね。それだけ負荷が大きいので補強が必要ということなのでしょう。

このように仙骨は構造上の理由もあり普通の関節より簡単に固まってしまうので、大人になると動かなくなるというのが一般的な見解です。

ただし、構造的に可動範囲は悪くても、その範囲ではもちろん自由自在に動くようにはなっているのです。

「腰が抜ける」という表現

拘束腰芯については面白い話題があります。

昔の言葉には「腰が抜ける」という表現がありました。

今の若い方はご存知ないかもしれませんが、びっくりした時や精神的なショックを受けた時などに一時的に立てなくなる状態のことを言い、転じて「びっくりする」といった意味に使われます。

私はゆる体操・ゆるトレを始めてしばらく経った時、この言葉について深く感じ入ったことがありました。

ゆる体操・ゆるトレなど、運動科学のトレーニングに取り組んで、ある程度腰回りがゆるんでくると、立ったまま腰の力を抜くことができるようになります。

逆に言うと、ゆるんでいないと立ったまま腰の力を抜くことはできません。ですから「腰が抜ける」という表現はそもそも拘束腰芯が小さい人達の間でしか成立しない言葉なのです。
漬物石のような固まった腰では少々びっくりしたぐらいでは抜けることはないでしょう。

私が子供の頃はまだ「腰が抜ける」という表現は普段使われていましたが、ではその頃の日本人が腰が抜けるほど拘束腰芯が小さかったのかというと全くそうではなく、おそらくそれ以前の世代で生きて使われていた表現がまだ言葉としては残っていたということなのでしょう。

現代で腰が抜けるという表現が使われなくなったのは、腰が抜けている人、もしくは腰が抜けた人を見なくなったからでしょう。

最近はTVを見ていないので、わからないのですが、私が20代の頃までは関西の芸人さんの間で、脱力系キャラが気の抜けたことを言ったりしたりすると、その場にいるメンバーが「アヘアヘアヘ」とか言いながら崩れ落ちる、というパフォーマンスがありました。

これはおそらく「腰が抜ける」という状態を表現したものだと思うのですが、その場の芸人さんたちは拘束腰芯が小さいわけではなく、おそらく、自分の1世代もしくは2世代上ぐらいの人たちがそうなっているのを見たことがあるので、パフォーマンスとしてこんな感じだったかな、という、ある種の「型」の演技なのですね。

本当に腰の力を抜くとどうなるのかというと、斜め後ろの方向におしりから崩れ落ちるように倒れてしまうのです。

もちろん一瞬で抜くと重力に従って腰が自由落下(⁉︎)してしまうので危ないのですが、それでもなんとか立っていようと思うと、グラグラしながら崩れ落ちる、といったような感じになります。

しかし今思い出しても当時の芸人さんの演技は、普通に腰が固い人が膝を中心とした運動で腰が抜けたような状態を表現しているに過ぎないので、(本人達は思っていなかったでしょうが)腰が抜ける演技としては不十分だっと言えるでしょう。

「腰が抜ける」という言葉は「びっくりする」という意味で使われますが、「腰が抜ける」という言葉が生きて使われていた時代の日本人はそれこそ腰が抜ける(=びっくりする)ほど拘束腰芯が小さかったわけです。

それほど拘束腰芯が小さい昔の日本人にとっても、「腰が抜ける」という表現はマイナスイメージです。ですから暗に「抜けない方が良い」という前提があります。でも本当は拘束腰芯としての腰は抜ければ抜けるほど良いのです。理想を言えば、腰が抜けたまま立っていられるのが良いのです。ではこの「腰が抜ける」の腰は拘束腰芯なのでしょうか?

「腰が抜ける」の本当の意味

まず拘束腰芯がなくなると、またはそこまでいかなくても小さくなっていくと、身体はどんな感じがするのでしょうか?

以前このサイトで言及した「割腰」は拘束腰芯が小さい人物の代表的な身体運動ですが、基本的に拘束腰芯が小さくなっていくと、その周囲の身体のパーツはゆらゆらゆれているような感じになります。

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常にゆらゆらゆれているので、潜在的にどこにでも、どのようにでも動けるといった身体の状態になりますし、身体がそのような状態なのでメンタルもそのような状態になり、あまり細かいことにこだわらなくなります。
そして拘束腰芯が小さいと、そこから起こる微細なゆれを常にコントロールしている必要があるので、実は大変に繊細な身体のコントロール能力が必要となります。

これを言い換えると「全体のバランスをとりながらに細かいところも見えている」と言った感じでしょうか。

「全体のバランスをとりながら細かいところも見えている」というのはどこかで聞いたことがありますね。

そうです。これは典型的に軸(=センター)の作用でもあるのですが、もし拘束腰芯がなくなってしまうと腰を支える装置(脳のプログラムと言っても良いでしょう)がなくなってしまうので、軸で立つ以外には方法がなくなってしまうのです。ですから拘束腰芯が小さい人はそれに反比例して軸(センター)が強力です。

逆にセンターがあまり強くない人が拘束腰芯を取り去ってしまうようなトレーニングをすると一時的に立てなくなってしまうことがあります。これは高岡先生の実験でも明らかになっている事実です。

このように考えると腰が抜けるという表現も、本当のところはもともと拘束腰芯がほぼないと言っていいぐらい小さい人が、何かにショックを受けてセンターが一時的に消えてしまったような時に、腰からヘナヘナと崩れ落ちてしまう、というのが正しい言葉の解釈と言えるでしょう。身体意識としての拘束腰芯はある意味非常に強固なものです。それに対して軸(=センター)は大変高精細で緻密なものですから、どんな時にでも身体をコントロールする装置としてあり続けることは脳にとって負担です。
ですから昔の人は何かに非常におどろいたり、恐怖から解放されたりして気が抜けたときに、一時的に軸(=センター)が消えてしまい体を支えられなくなるような事があったのでしょう。
ということで実は「腰が抜ける」といったときの腰は実は拘束腰芯ではなく、腰の部分の軸(腰軸)であると言えます。
現代人の感覚ではこのような状況自体が信じられないようなことですが、先ほど言いましたように「腰が抜ける」という表現自体はマイナスイメージです。
しかしもっとすごいことに、古い言い伝えでは腰が抜けること自体がマイナスイメージでない場合があったのです。

腰は入れて強し、抜いてさらに強し

「腰は入れて強し、抜いてさらに強し」という言葉があると言うのです。

高岡先生は以前、月刊誌「秘伝」での連載でこのことについて言及しておられました。

単行本にはなっていないので、皆様が見ることができないのが残念ですが、書籍「身体意識から観る人間学」が秘伝誌に連載されていた時(連載時の名前は「高岡英夫の人類遺産」でした)に、書籍化するにあたっていくつか割愛された章があったのですが、その一つに大相撲の伝説の横綱、谷風梶之助の章があり、その中で述べられていたことです。

腰を入れるというのは皆様も聞いたことがある言葉かと思いますが、これは正確には仙骨を入れるという身体操作です。仙骨は先ほどの図の通り背骨の土台になっているので、仙骨で支えながら仙骨の角度をつける(つまりこれが腰をいれるという動作)と上部の背骨と股関節がフリーになったまま前方力を出す事ができます。しかし現代人は仙骨を入れて使うことができないので、腰を入れるというと腰椎を入れてしまう使い方になってしまいます。
腰椎を入れても背骨はフリーにならないどころか固まってしまい、典型的にスティフな動きになってしまいます。
仙骨を入れる身体操作は拘束腰芯があるとうまくできません。上の図のように拘束腰芯は腰椎の5番と仙骨を中心にして存在し、そこを動かさないようにする身体意識なので、腰を入れるといっても拘束腰芯があると仙骨でなく上部の腰椎が入ってしまいます。

腰椎を入れると、典型的に太ももの前側と連動しやすくなるので、これは(特殊な場合を除いて)全く間違った使い方です。腰を入れるという動作は、本当は仙骨を中心に背骨とさらには軸をコントロールする方法で、運動科学のメソッドで言うと最も初歩的なものでは「両膝休み背腰ダラー体操」、高度なものではリアスクワットに代表される身体操作です。

仙骨を入れる最も初歩的な体操「両膝背腰ダラー」

実は現代人にとってはこれだけでも困難を極める身体操作ですが、入れるより抜くほうが強いという身体操作があるのですから驚きですね。前に進む時は腰を入れたくなると思いますし、それはそれで間違いではないのですから、頭で考えていたらそこで腰を抜こうという発想は生まれてこないと思います。

この件に関して私が個人的に思い出すのは、高岡先生もよく引用される富嶽百景の「暁の不二」です。

MET Open Access Policy より転載

よくみてみるとこの二人の飛脚は全く違う走り方をしています。
そもそも走り方がこれほど違うということが現代ではあり得るでしょうか?

出典は忘れてしまいましたが、以前高岡先生はジンブレイド(脚にできる身体意識で身につくと流れるような高度な身体操作が可能になる)の観点から、奥の飛脚の方がレベルが高いというお話をされていたことがありました。
手前の飛脚は仙骨から腰が綺麗に入っていて、非常に素晴らしい身体操作なのですが、背骨や腰の使い方と言う点で見たとき(ちょうど腰の部分が見えにくいですが)、奥の飛脚は腰から背中が丸く後方に抜けています。

そもそも「腰は抜いてさらに強し」という言葉があるという事は、その言葉が生きて使われている時代では、もともと皆が共通の認識として強靭な腰の軸(=腰軸)をもっていて、腰の力をタラーンと抜いても奥の飛脚のように姿勢が崩れないというのが当たり前という事なのですね。
つまり最初から拘束腰芯なんかないのです。
逆に強烈な腰軸がない人(=拘束腰芯がある人)がむりやりこの姿勢をとったら一瞬で後ろにひっくり返ってしまうでしょう。
このことから考えると「腰が抜ける」という表現も「腰は抜いて強し」という表現も最初から拘束腰芯がほとんどないという身体を前提にしているのですが、「腰は抜いて強し」の方は腰が抜ける時のエネルギーやモーメントを自分の運動に利用できる、というレベルのゆるみ度を持っているのが前提と言えます。そのように考えてみると、軸それも3軸は拘束腰芯より前にある装置ですから、そもそも腰の力が抜けないと腰軸は通らないわけです。昔の人はバイオメカニクス的な理論はわからなくても、実感としてそれが分かっていたのでしょう。

このように、昔の文献や資料に見られるように、腰は抜いて使う方が高度な使い方だと言われている訳です。そして辺りを見渡しても奥の飛脚のような走り方をしている人は現代では見かけることができません。しかし現代でそのような使い方をしている人が全くいないのかといえばそうではありません。

以下の動画をご覧ください

現代というには少し昔になってしまったかもしれませんが、80年代から90年代のNBAで「GOD」と言われたマイケル・ジョーダンのプレイです。

優秀な選手は加速する時腰(仙骨)を入れて加速します。しかし、ジョーダンは拘束腰芯がベロベロに抜けているので、プレーする時に極々自然に腰が丸くなっている瞬間があります。上の動画でわかりやすいのは2:45ぐらいからのドリブルでしょうか?
わかりやすいシーンを絵にしてみました。下手で申し訳ありませんが参考になるかと思います。

ジョーダンのドリブル
ジョーダンのドリブル

ドリブルで腰から背骨全体が丸くなっていると、姿勢を低くしても体が立ってきます。そして体が立っているので腕を前後に自由に使え、しかも懐が深いという状態が作れます。
(実際に上のイラストのポジションをとられるとボールを奪うことは難しいでしょう。)


ここで大事な事は背骨が丸くなっているからと言って前かがみに屈曲しているのではなく、ジョーダンはあまりにもゆるんでいるので、必要に応じて腰が入ったり抜けたりすることで上半身やボールとのバランスや加速・減速のバランスをとっているという事なのです。
一見背中を丸くしているようにも見えますが、腰が固いまま背中をまるくしてしまうと、首が下を向いてしまうのでいちいちルックアップが必要になり、視野がむしろ狭くなってしまいます。また前ももが入りやすくなり、プレーとしては高級なものとはいえません。

さらにジョーダンほどになると、移動運動とは軸(=センター)の移動なので、物体としてのバランスをキープする垂軸と、運動をコントロールする軸である体軸がキープされていれば腰を入れようが抜こうがどんなやり方でもいいのです。

例えばある局面で1on1となってほぼ静止した状態で相手と向き合うとします。この時は脛骨直下点をキープしながら股関節を後ろに引いて懐を深くし、間合いをとる姿勢が普通で、これは分類すると腰(仙骨)を入れる動きです。それが基本にあって相手によって上半身の姿勢が自由に変わるのが良いのでしょう。ジョーダンももちろんそういう動きはします。

しかし普通の人は腰(仙骨)を入れる姿勢を真似してもただ膝を曲げて重心を低くするだけになってしまいNBAの選手のようには動けないのです。

仙骨を入れる代表的な姿勢は「両膝休み背腰ダラー体操」のような脛を垂直に保ちお尻(股関節)を後ろに引くような姿勢です。この場合、垂軸と体軸は大きく分離します。この姿勢は裏転子がよく効きますし潜在的な加速力もあるので、普通ボールをキープするような時は少なくとも仙骨の部分はこのポジションで、上半身はフレキシブルにボールと相手に対応したような姿勢が良いのでしょう。

しかし、背骨がベロベロにゆるんでいるとそのように大きく姿勢を変化しなくても、比較的体を立てたまま腰が抜けることで体のバランスが取れてしまいます。実際、この時に拘束腰芯が限りなく小さいと、ちょうど腰芯の部分で腰が丸くなるような姿勢が取れるようになります。ジョーダンは激しいプレイ中でも状況に応じてこのポジションに自然になっています。
この時体軸そのものは後弯した状態になりますが、この後弯も本来の体軸のポジションに対してバランスをとるような丸まり方をします。
このように姿勢を変えても体軸が潜在的にある状態を潜体軸と言います。
このあたりの軸の操作に関してさらに詳しく知りたい方は高岡先生の著書、「センター・体軸・正中線」をぜひご覧になってください。

センター・体軸・正中線―自分の中の天才を呼びさます

※リンクを押すとアマゾンの該当ページに移動します

こういう身体操作ができるようになると、相手に対しての運動の選択肢が圧倒的に増えます。見た目は体が曲がっていても潜体軸がいつでも垂体一致出来る状態なので、次のプレーへの移行がスムースです。
実際に上の動画ではゴールに近づくにつれ体の軸に腕脚やボールがまとわりつくようなフェイントを多用していますし、特にダンクシュートの時などは垂軸に吸い込まれるように潜体軸が一致していきます。ジョーダンの空中姿勢が美しく、「エア」と呼ばれたのも潜体軸が垂軸と(潜在的に)常に一致していたからだと私は思っています。
そしてジョーダンは加速する場合も気配がありません。ですから見た目は現代の選手よりむしろゆっくりに見えてしまいます。

しかし、「なるほど、腰や背中を丸くすればボールを取られないのか」と思って、無理にそういうプレイをしようとしても自分のパフォーマンスが破壊されるだけです。
ジョーダンはゆるみと軸(=センター)が凄まじいので、垂軸と潜体軸を一致(もちろん状況に応じて分離)させた結果こうい動きになっているだけなのです。

現在、「GOD」と言われたマイケル・ジョーダンと「KING」レブロン・ジェームズはどちらが上かという論争が絶えません。時代もポジションも違う二人を単純に比較することは難しいかもしれません。もちろん私もレブロンが歴史上最高級の選手だという意見は支持しますが、数字は一切抜きにしてこと身体操作という点だけで見ると、ゴッドの方がやはりゴッドなのかなと私は思っています。

実際のところ腰を入れる動作の代表である両膝休み背腰ダラー体操も、正しくやるのは至難の技です(もっとも私もそれを目指してトレーニングしている、という状況ですが・・・)。

ちなみに腰を入れるという動作自体も拘束腰芯が小さい方がよりスムースにできます。しかし抜く動作がバスケットのプレー中に自然に現れるという状況は、そもそも拘束腰芯がないと言っていいほどでないと不可能と言えるでしょう。

しかも相手も超一流の選手という状況でジョーダンがそれをやっていたということを考えると、やはり彼が歴代NBAの選手たちの中でもとてつもない身体能力・身体意識のレベルの持ち主だったと言えると思います。

そして北斎の話に戻ると、江戸時時代の飛脚にはジョーダンのように腰を入れて走る人と抜いて走る人が普通にいて、腰(特に仙骨)に関しては抜こうが入れようが場合によって使い分けていたので、ごく自然にあのような絵を描いたと言えると思います。下にもう一枚ジョーダンのドリブルのシーンのイラストを載せておきますが、北斎の飛脚と背中の感じや足捌きが似ていますね。

マイケルジョーダンのドリブル

最後に

さて話が多岐にわたってしまいましたが、今回の文章で述べたことはあくまで自分が20年以上運動科学のトレーニングを続けていて、過去と現在の自分の上達状況を検討し、高岡英夫先生の書籍の内容も考慮した結果の末至った「認識」のレベルであって、自分がそのようにできるというわけでは全くありません。さらにはその認識もあくまで現在のものであって、今後も自分の上達に伴って色々訂正をすることもあるでしょう。

しかしここはブログですから、自分の現在の状態を記録として残しておくことも意味があると考えて、今回かなり踏み込んで文章にしてみました。

ちなみに自分の腰回りがどういう「感覚」なのかと言うと、調子の良い時は確かに仙腸関節の間に隙間があり、その隙間の形もある程度わかります。また仙骨や腰椎の4番5番あたりは椎体と椎弓が別々にあるのがわかる、といった感じですが、自由自在に動くかというと、ある程度は動くのですが左右差もありますし、自由自在といういうレベルには程遠いという状況でしょうか。

ですので先ほど述べた「GOD」と「KING」の論争にしても、MJやレブロンの身体操作には程遠いレベルの自分の主観にしかすぎません。

ですからこういう視点や意見もあるんだなと思ってもらうとありがたいです。

最後に拘束腰芯を解体する効果のあるゆる体操をご紹介しておきましょう。

ここでご紹介するゆる体操のみで拘束腰芯を解体することは論理的には可能です。

とは言っても、やはり一般のゆる体操のレベルでは拘束腰芯を解体するというところにいくには現実的に難しいかもしれません。その為の深い裏メカ・裏テクを知っておく必要はありますので、本気で取り組まれる方は運動科学総合研究所の高岡英夫先生やNido先生の講座を受講されるのが良いでしょう。

外部リンク

拘束腰芯を解体するためのゆる体操

  • 寝ゆる黄金の3点セット
  • 腰クネクネ体操
  • 膝膝クルクル体操
  • 腕支え腰モゾモゾ体操
  • 足パタパタ体操
  • 寝ゆる黄金の3点セット

寝ゆる黄金の3点セット

定番中の定番ですが、やはりこの3つを外すことはできません。腰モゾモゾ体操にも色々な方法がありますので、深く学びたい方は高岡先生の拘束腰芯溶解法などの講座に出てみるのが良いと思います。

腰クネフリ体操

腰の横(運動科学の用語では「側腰」)をゆるめる体操です。側腰の中心となる中臀筋が凝っていると、その奥にある拘束腰芯まで辿り着けません。普段からしっかり取り組むことが必要かと思います。

膝膝クルクル体操

これも仙腸関節を割っていく効果のある体操です。
寝ゆるですので気力的にも負担がありませんから、テレビでも観ながらやって毎日の習慣にして、時々追い込んでやる、といったスタイルでされると良いかと思います。

腕支え腰モゾモゾ体操

寝ゆるの腰モゾモゾ体操とは少し違うアプローチで腰をゆるめることができます。
これも運動科学総合研究所の講座では、相当にハイレベルな体操へと深化していきます。

足パタパタ体操

一見拘束腰芯と関係ないように見えますが、この体操を長時間疲労せずにやろうと思うと、腰が割れていないとできません。自分のレベルをチェックするのには非常に良いかと思います。また、股関節周りや脚全体をゆるめる効果もありますので、間接的にも非常に役にたつ体操です。足パタパタおじぎ体操も同様です。

このほか息ゆる等で腹腰呼吸ができるようにしていくのも良いアプローチかと思います。また上半身がゆるんでいないと、どうしてもこれ以上拘束腰芯が小さくならないというレベルがありますので、やはり全身をくまなくゆるめていくことが大事になります。

今回はアスリートの話題を中心にお話しましたが、日本の江戸時代の浮世絵には入れるにしても抜くにしても拘束腰芯が非常に小さいであろう人物が普通にいくらでも登場します。

拘束腰芯を解体することは高能力だけでなく、本当の健康にも関わってきます。その辺りの話題にもいつかは触れたいと思いながら、今回はこれで終わりたいと思います。

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