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脳疲労は取っておこう

みなさんこんにちは。達人調整師の中田了平です。

脳疲労という言葉があります。その字の通り「脳の疲労」のことですね。最近ではメジャーな言葉になっていますが、私がこの言葉を聞いたのは20年ぐらい前の運動科学総合研究所の講座の時が初めてでした。
しかも一般になんとなく思われているような大脳の疲労ではなく、下位脳(小脳や中脳、間脳と言った進化の過程で動物時代に完成していた脳)の疲労です。

私がその言葉を知った当時はまだゆる体操がなかった時代で、運動科学のトレーニングは今思うとかなり高度なものばかりでした。
私はトレーニングをした後に妙に目の奥や後頭部が疲れる経験を何度かしていたので、下位脳の疲労と言われると、なるほどそういうことか、と納得した記憶があります。

それに比べて現在一般に使われている「脳疲労」という言葉は大脳の疲労しか考えていないニュアンスがありますね。それと同じように「脳トレ」という言葉も大脳のトレーニングしか考えていない言葉となってしまって、運動科学が語るような深い意味合いがありません。

これは余談ですが、「ゆるむ」や「脳疲労」などの運動科学独自の用語はしばらくすると一般でも使われたりすることが多いですが、そのような時は本来持っていた深い意味が失われ、単純で浅い意味で使われることが多いです。
やはり上っ面だけ真似をしても良いことはありませんよね。

さて、「脳疲労」の件ですが、私は高岡先生について本格的にトレーニングをするようになって、講座の時などに先生から直に

「普段から疲労をとっておくことが大変大事で、それが出来ないと上達はできない」

といった趣旨のことをよく聞いていました。

その頃私はまだ30代で「トレーニングをすればそれだけで上達する」といった気持ちがありましたし、実際その頃はそうでしたから、前述の件については「それはそうなんだろうな」、と頭では思いながらも実はその本当の重要性に気づいていませんでした。

それはまだ自分が低いレベルの段階で、上達そのものがそれほど困難で無かったことと、若く身体の回復力が今以上にあったので、要するに雑なトレーニングでなんとかなったからなのです。
ですが現在はやはり回復力の衰えはありますし、30代の頃よりはるかに運動科学のトレーニングに対して上達はしていますから、疲労をどうやってとるか、ということは年々大きな課題になってきていると思います。

さて、このように本当の上達、本当の健康のためには、脳疲労をとっておくことが大変重要なのですが、脳疲労に関して見落としがちなことは、

「自分が普通と思っている状態でも実はすでに脳疲労している」

ということです。

先ほどの私の件で言うと、30代は働き盛りでもあるし、一般的にはまだまだ元気、と思われていますが、実は現代人の30代などすでに脳疲労で脳の働きはガチガチに固まっていて、本来持っている脳の能力から比べればろくなものではありません。

「え?そうなのか?」

と思っても、自分と健康な赤ちゃんを比べると、大抵の人は疲労が感じられるようなうつろな表情をしていることに気づくでしょう。
鏡の前でいくら表情を作ってもやはりそれは見せかけのもので、疲労していないという感じではないですよね。

さて、そういうことで人はいつも脳疲労している、ということを気に留めていかなければなりません。これを仮にベーシックな脳疲労と呼ぶことにしましょう。
自分が特に体調が悪くないと思っていてもベーシックな脳疲労はあるので、脳はすでに使えていない状態です。
その上もし自分が「脳が疲れている」と自覚したのなら、その脳疲労は大変なもので、かなりの危険信号だ、と思った方がよいのです。
そもそも疲労や痛みというものは自覚できるレベルになっているともう赤信号と思ったほうが良いかもしれません。
ですからゆる体操の背もたれ首モゾモゾ体操などで疲労を積極的にとるアプローチをした方が良いのです。

赤信号の状態では、実は何をやっても良いパフォーマンスにはなりませんが、実は現代人が一般的的に求められる仕事は、脳疲労を前提としてその脳疲労なりで出来てしまうような作業が基準になっているので、ベーシックな脳疲労をしてしまっている現代人でも仕事はとりあえず出来てしまいます。
例えば先史時代の人類は狩猟や採集がメインの仕事ですから、1日に何十キロと歩いたでしょうし、猛獣と戦わなければいけないこともあったでしょう。そういう時代の 人類が現代人ほど脳疲労していると、とてもではありませんが生きてはいけなかっただろうろと想像できます。

しかしこれが人間にとって本当に良いことと言えるでしょうか?

確かに高いレベルを基準にしては集団での作業は成り立ちませんが、出来るだけ底のレベルが上がるような意識付けを常にしていく必要はあると思います。
トレーニングをして、してしまった脳疲労は普通は元にもどりますが、ベースとなっている脳疲労は脳疲労をとるためのトレーニングも並行してしていかないと取れません。

結局は長い目で見ると、老化によってさらにベーシックな脳疲労がさらに溜まってきてしまうので、その脳疲労のレベルが上達限界となってしまうのです。

自分のスキルや健康度をあげたいならば、根本となる本質力をあげなければなりませんし、さらにその本質力を上げるトレーニングのさらに根本になるトレーニングがベーシックな脳疲労をとるということなのです。

私の経験で話をすると、脳疲労が比較的とれている状態だと、例えばゆる体操なら苦労せずにやった分だけ身体の拘束が取れてゆるんでいきます。

ゆるんでいると、例えばセンター系のトレーニングをすれば身体が勝手に地芯に乗ろうとしだします。
そしてセンターのほうから身体が固まっている場所を教えてくれる感じになるので、そこをゆるませれば、さらにセンターが通ってという好循環に入ります。

もちろんこういう状態になることは私に限って言えば滅多にあることではありませんし、まだその状態になるやり方も自分では分かっていないレベルなので困っているのですが、そもそもやり方などというものがあるかどうかもよく分かっていない状況ですね(笑)

逆に脳疲労している状態だと、まず固まっているところを感知することができません。
これは冷静に考えてみればその通りで、拘束を感知して顕在意識で認識するのは脳の能力なのですが、脳が疲労していると感知する能力そのものが落ちてしまっているので、拘束を認識することが出来なくなるのです。
ですから知識で色々ああせねば、こうせねばと思っても、それらがすべて空回りしてしまいます。良い時のイメージも全く役に立ちません。イメージそのものが顕在意識が作った幻想でしかなく、それを支えているベースの部分は全て潜在意識下にあるからです。
そういった状態では、トレーニングの基本である地芯に乗るということもそもそも身体がゆるんでいないので乗れません。頑張れば頑張るほどトレーニングは苦しいばかりです。

そもそも顕在的に乗ろうとしても乗れないのが地芯というものです。追っかけても追っかけてもどんどん嫌われる、みたいな感じになってしまいます。

というわけで、地芯に嫌われる前に(笑)脳疲労を取りましょう。

ゆる体操がもちろんベースとなるのですが、本当に脳疲労している時は先ほど述べたように、自分の拘束に気づく能力そのものが低下しているので、なかなか自分だけではどうにもならないことも現実的にはあります。

そんな時は達人調整の出番です。

達人調整では背中をゆるめるだけで脳の疲労は結構取れるものですが、中でも手頸開き、手巾脳洗法などの術技は直接脳の疲労をとってくれます。

以前国家的プロジェクトに携わっていた技術者の方が月2回のペースで達人調整に来られていたことがありましたが、その方は手巾脳洗法に対して

「ジュワッっと脳疲労が出ていきますね」

という感想を言ってくれていました。

その方は主に土日のいずれかに来られていたのですが、次週に難しい仕事やプレゼンがある時は追加で来られたりしていました。そうやって脳疲労が取れた状態だと、普通なら緊張してしまうようなというような難しい時に、自然と前向きになって仕事や会議に向かえるという事でした。

難しい計算や他部署とのバランスが気張らなくても解決の方向に向かう、上司に対しても前向きになれるし、さらには失敗に対する検証の発表という、最も難しいプレゼンでも構えずに発表が出来たということです。どっかの政治家共とはえらい違いですね(笑)

その方はゆる体操をベースに高度運動科学トレーニングにも取り組んでおられましたので、脳疲労がとれるとトレーニングの効果がさらに良いものになったと思われます。

私は今までたくさんの方を調整してきましたが、上記のような感想を色々な方からいただくにつれて、本当の健康、本当の上達を望むならば(あくまで理想の話ですが)やはり達人調整を定期的に受けるべきだと最近は思うようになりました。

ゆる体操、高度運動科学トレーニングに熱心に取り組んでおられる方なら、できれば月2回、最低でも月1回は受けた方がよいと思います。

もし、それほど体操はしたくない(!)けど健康でいたい、というならば毎週受けたほうが良いですね(笑)。
でないと必ず老化に負けてどこかのタイミングで身体が固まり始めます。

それが短い時間も含めればのべ1万回以上にわたって達人調整を施してきた私の率直な感想です。

さて、達人調整を受けてもやはり自分でゆる体操をしないとその効果は半減してしまいます。
脳疲労をとってくれるゆる体操としては

  • 大脳ジャブジャブ体操
  • 後脳ゴロゴロ体操
  • 眼脳ユルユル体操
  • 脳幹モゾモゾ体操

などがあります。

これらの体操はある程度気功の要素が入っているので、自分で頑張ってやるより、リードを聞いてやった方が、より潜在意識に入りやすいので一人でやるよりもはるかに効果が上がります。
この辺りのことは達人調整を受けることと同じ理由で、ある程度上手な人に頼った方がより上達が早いと言うことですね。

それぞれリンクを貼っておきますので、是非毎日のトレーニング、疲労回復にご利用ください。

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