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リハビリちょこっと話⑦ ダラーはすごい
私は整形外科でリハビリをしています。
リハビリといっても怪我の回復期のリハビリをすることは少なく、やっている事はゆる体操や達人調整を利用した身体のお手入れの仕方、といった感じでしょうか
股関節のリハビリの大まかな話に関しては「ちょこっと話③」でご説明しましたが、その日はリハビリ三回目の女性の方で、一回目で基本的な体操をやって、二回目こられた時は確かに体操の効果を感じられていたようなので、それぞれの体操のコツみたいなものを初級のリードに沿ってさらに詳しくやってみたのでした。
さて三回目はどうなっているかを少し期待していたのですが、調子が悪いといわれるのです。特に仰向けになると脚が真っ直ぐ伸ばせないといいます。
症状としては大腿四頭筋が硬直すると脚は伸ばせなくなるので、腰や大腿四頭筋が固まっているんだろうな、とあたりをつけて、色々話を伺ってみると前回からその日までの10日間の間、娘さんがお孫さんを連れて帰宅していて、その間仕事は休んでいたのだけれども、仕事しているよりも忙しかった、と言われます。
女性にはよくある事なのですが、娘さんがお孫さんを連れて帰ってくると、その時ぐらいはお母さんに甘えにくるので、はっきり言ってその娘さんは家のことなど何もしませんよね。そして母親の方も小さなお子さんを抱えた娘さんの苦労がわかるので、色々とやってあげたくなるものなのです。
まず私は、要するにそういうことですね?と聞いてみると、笑いながら激しく同意されますw。
「自分の方がしんどいのにね」
とかいいながら、
「でもつい、やってあげたくなるんですよ」
って感じですね。その結果自分が思っている以上に身体がカチカチになってしまっているのですね。自分では良いことをやっているつもり(まあ、良いことなんですけれども)ですから、それで身体が固まるという認識がないのですね。
要するに
娘が孫を連れてきて1週間泊まると身体が固まる
という認識がない訳です。はっきり言って自分の身体にとっては悪いことをしているという認識がない。かといって来るのを拒むというのも可哀想で、となるなら、これは自分が覚悟をして身体をゆるめるしかない。まずはそういうふうに考えてくださいという事を言いました。
あらためて言われると、ご本人も納得の様子。
ではちょっと膝コゾコゾ体操でもやってみましょうか、という事でやってもらうと、悪い方の股関節が固まっているので、膝コゾすら上手に出来ません。
こういう時には必殺技がありましてね、ということで
「両膝を立てた状態で、思いっきりダラーッて言ってください」
と言います。
二人で
「ダラー」
とか言うのですが、まだまだリミッターが外れていません。
「もっと心の底からダラーッて言うんですよ」
とかいいながら二人でさらに
「ダラ〜ッ」
なんて言っていると、あら不思議背中がベッドに馴染んでくるのです。
「ほらほら、もっと頭空っぽにしてダラーですよ」
なーんて言っているうちに背中と腰がベターっとしてきます。
「じゃあ、膝コゾやってみましょうか」
って感じでやってみると、
「あれさっきより脚が軽くなって、普通に出来ます」
とおっしゃる。ですよねー(ニヤッ)って感じで、
「じゃあ、脚をゆっくり伸ばしてください」
「!!??えー!?楽にのびるわ!!」
「はい、そんなもんです。だから言ったでしょ。娘さんとお孫さんで身体が固まっていたんですよって。これからはそういうものだと思って体操やって下さいね。」
ただし、一番良いのは自分がお孫さんよりゆるんでいる事なのですけど、現実はなかなか難しいですよね(笑)