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リハビリちょこっと話 ⑤足
私は整形外科でリハビリをしています。
リハビリといっても怪我の回復期のリハビリをすることは少なく、やっている事はゆる体操や達人調整を利用した身体のお手入れの仕方、といった感じでしょうか。
私が勤めている整形外科でも足まわりのトラブルに関するリハビリは大変多いですね。
さて、足まわりに関しては、扁平足・開帳足。外反母趾・モートン病・シーバー病・足根管症候群・足根洞症候群・有痛性外脛骨・・・などなど挙げればキリがないほど病名があります。
しかし足に関しては運動科学の理論を使えば一発で問題を解決できます。
それは重心落下点と脛骨直下点の理論です。
要するにあるべき重心の位置と正しい立ち方を知ってその方法を学べば改善すると言う事ですね。
私の勤めている整形外科では運動総研から許可をもらって重心の位置を教えるトレーニングをしていますが、ゆる体操には直接にはそれを教えるメソッドはありません。
しかし、「基盤トレーニング」としてゆる体操開発者である高岡先生が動画で公開しているので、それを見ていただければ誰でも無料でそのメソッドを学ぶことが出来ます。
さて、足裏の重心落下点は脛骨の真下、足裏の位置で言うと踵の前ぐらい、土踏まずの後ろあたりになりますが、脛骨の真下なので「脛骨直下点」と言いますが、普段は簡単に「ウナ」と言います。内、外で言うと内側、前中後で言うと中側にあたるので、頭文字をとって「ウナ」と言うのですね。
この「ウナ」のトレーニングですが、動画でもあるようにまずはその位置を確認してそこを刺激します。
すると刺激によって一時的に足裏のウナが身体意識化され、ウナによって脳がコントロールされた結果、ウナポジションで立てるようになるのです。
しかしこれはあくまで一時的なものなので、本当に足のトラブルを解決するには毎日ウナを刺激したりして、ウナが潜在意識化されるまでトレーニングを続けなくてはなりません。
しかしウナポジションによる姿勢のコントロールの効果は絶大ですので、リハビリでちょっとやっただけでもみなさん実感としてかなりの変化を感じられるようです。
まあ、普段足の前の方で踏ん張っていてそれがいきなり抜けてしまえば、楽になるのは当然ですよね。
それにしても
正しい重心の位置は脛骨直下点で、そこに乗って立つにはそこを刺激すれば良い
なんて、やってみればそうなんだ、と言う感じですが、実際にそれを自分で見つけ、考え出す事は不可能に近いほど困難な事です。
アインシュタインが発見した方程式で
E=MC^2
という有名な式がありますが、この式の意味は教えられれば中学生でも分かります。しかしこの方程式をアインシュタインという個人が発見するまでの歴史や思考過程はとても常人でできるものではありません。
私は運動科学の理論は全般的にそれと同じと思っています。要するにやることは簡単ですが、それを思いついてメソッドの形にするのは実際にできる事ではありません。
ウナを開発するメソッドには特にそれを感じます。
正しい重心の位置すら知らない一般の方々にとっては、いきなりこのメソッドを教えられて、簡単に、しかも即時的に足が楽になるという体験は、かえってこのメソッドの価値をわからなくしているかもしれません。
加えて、一時的にウナに乗れて立てたとしても、ウナポジションで立てなくなる本当の原因は足だけでない、足も含んだ全身のコリですから、ウナから軸(=センター)を通そうと思えば、本当は猫背や肩こり首こり、腰もふくめてゆるめないと本当にはうまくいかないのです。
しかし、このメソッドが一般の常識として(個人がやるやらないは別として)世の中にむかえられたら、人類の健康年齢が上がることは間違いありませんし、本当にそうなったら、意外にそこらじゅうにセンターが通っている人間だらけになっていくかもしれませんね。
それには私のような末端の人間の指導活動が大事だと思っています。