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用語定義

運動進化論

高岡英夫著『究極の身体』序章「人間の身体はどこまで高められるのか」より引用

(前略)私は、近い将来この考え方を核として「運動進化論」という、一つの学問領域が形成されると考えている。その「運動進化論」の定義というものについて、ここで説明しておこう。

 人類は単細胞生物からずっと進化を繰り返し、今日の姿に至ったわけだが、その進化のルートで経験した重要なものについては、すべてDNAの中に保存されていると考えられている。そして私は、人間の「身体能力」というものも、構造上の制約があるためすべてではないにせよ、人類の祖先たちが経験した多くのものを内包していると考えている。

 人類は最終的に「人間という形態」としての新しいDNAを持つに至った。その新しく持った人間らしい構造と機能によって、人間は広い意味での「身体文化」を創造してきた。

 (中略)

 そして「文化」は広がり、「高度化」していく。この「文化」の高度化というものは、個人の段階で見ると「上達」という言葉で表現できると思う。

 「上達」は、ある段階までは人間らしい身体構造・機能によって担われる。しかし、そこからさらに上の段階になると、人体の中に温存されて来た過去の遺産、つまり魚類や「四足動物」から伝承されて来たDNA情報や身体構造、あるいは潜在的な機能というものを、進化の流れとは逆に、発掘し直していく作業が必要になるのだ。

 「四足動物」からさらにさかのぼって、爬虫類、さらにはその先の魚類の構造・機能まで開発すれば、不世出と呼ばれるような選手になれるはずだ。

 実は、こうした考えが、私の言う「運動進化論」の定義なのだ。

出典

『究極の身体』(講談社、2009年8月)

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